NY金10日:米雇用統計後の買い戻しが続き、二桁続伸
COMEX金8月限 前日比10.00ドル高
始値 1,092.80ドル
高値 1,108.20ドル
安値 1,088.80ドル
終値 1,103.80ドル
7月米雇用統計を受けてショートカバーが膨らんだ7日の地合を引き継ぎ、続伸した。
アジア・欧州タイムからじり高の展開になっていたが、ニューヨークタイム入り後に1,100ドルの節目を突破したことでストップロスを巻き込む動きが強まり、一気に二桁の急伸地合になっている。その後はやや上げ幅を削っているが、概ね本日の高値圏を維持して引けている。
7月米雇用統計は米雇用環境の改善傾向を支持する内容になったが、マーケットでは9月利上げ着手を確信させるようなデータを期待していた向きも多かったことで、短期の弱気筋には失望的な内容と受け止められている。このため、売りポジションの整理を進める動きが優勢となり、7日に続いて本日も上値追いの展開になっている。あくまでも、利上げ時期が9月になるか12月になるかといったレベルの議論に過ぎないが、7月下旬以降の急激なドル買い・金売りの加熱感が指摘されていたこともあり、一旦はポジションをクローズして様子を見たいと考えた向きが多かった模様。
また、他商品市況が急伸していることもポジティブ。CRB商品指数は前日比+4.13の202.45ポイントと急伸している。穀物とエネルギー部門に牽引された形だが、商品市況全体の中で割安感が意識されたことも、売りポジションの整理につながった可能性が高い。
一方、本日はフィッシャー米連邦準備制度理事会(FRB)議長がBloombergのインタビューに応じているが、そこでインフレ率の低さに懸念を表明したことも、利上げ先送りの警戒感につながっている。あくまでもインフレ低迷は資源価格の低下に伴う一時的な動きとの評価だが、雇用の改善傾向を高く評価する一方で、インフレ率に厳しい見方を示したことも、売りポジションの整理を促している。アトランタ連銀のロックハート総裁は、改めて利上げの時期が近いとの見方を示したが、これを手掛かりに売り込むような動きは見られなかった。
基本的には加熱していた早期利上げ期待の反動であり、積極的に上値を試すような地合にはない。このために自律反発局面というのが基本評価になるが、7月下旬の急落に対する修正つぃては、1,120~1,125ドル水準までの戻りリスクを想定しておく必要がある。米雇用統計後の買い戻し圧力については、瞬間的な戻り圧力の有無との視点で十分と考えている。ダウントレンドの基調そのものの転換までは想定していない。