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新型コロナウイルスによって延期が相次ぐNBAの「8名ルール」

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
セルティックスのセンター、ロバート・ウィリアムス3世も陽性反応が出てしまった(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 12月23日(水)にTipOffされることになっていた、ヒューストン・ロケッツvs.オクラホマシティー・サンダー戦は、ロケッツが最低必要プレーヤー数となる8人を揃えられないとの理由で延期となった。

 1月10日(日)に行う筈であったボストン・セルティクスvs.マイアミ・ヒート戦、11日(月)に行われる予定だったダラス・マーベリックスvs.ニューオーリンズ・ペリカンズ戦、12日(火)に組まれていたシカゴ・ブルズvs.セルティックス戦も、それぞれ延期となった。ヒート、セルティックス、マーベリックスが、8名の出場選手を確保できなかったからである。

マーベリックスのPF、マキシー・クリバーも陽性との結果が
マーベリックスのPF、マキシー・クリバーも陽性との結果が写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 新型コロナウイルス陽性反応者が出た場合、周囲にいる濃厚接触者への対応が求められる。即、感染しているか否かの検査が行われ、NBAおよび所属チームの管理下に置かれる。

 こうなるとコンディション作りや戦術よりも、健康面が最重要課題となる。NBAの公式戦成立が可能なプレーヤーの数は8だが、仮に8名が出場できるとしても、その人数で12人、15人を揃える対戦相手と渡り合うのは厳しい。

 マーベリックスのPG、ジャレン・ブルンソンはケガで戦列を離れた
マーベリックスのPG、ジャレン・ブルンソンはケガで戦列を離れた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 コロナウイルス感染を防ぐために敵地でのトレーニング場を閉鎖し、濃厚接触者の割り出しを急ぐケースも見られる。

PGもFWもこなせるシモンズ
PGもFWもこなせるシモンズ写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 先日NBAは、フィラデルフィア・セブンティシクサーズに2万5000ドルの罰金を科した。9日のデンバー・ナゲッツ戦に8名で臨んだシクサーズが、主軸であるベン・シモンズの左膝のケガを隠していたことを問題視したのである。

ステフィンの実弟、セス・カリーにも陽性反応が…
ステフィンの実弟、セス・カリーにも陽性反応が…写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 シクサーズのガード、セス・カリーも新型コロナ検査で陽性反応が出た為、接触した可能性のある主力を離脱させなければならなくなった。3名の新人を使いながら、何とか試合を成立させたが、その判断が裏目に出た。

 しかし、決定を下したのはシクサーズの監督ではなく、NBA関係者であったとの情報もある……。

 TipOffしてしまえばTVの放映料は支払われるが、8名での戦いはクオリティーが下がる。実際、9日のシクサーズは103-115でナゲッツに敗れた。

 残念ながらコロナとの戦いは、まだまだ続く。やり切れないが、乗り越えねばならない。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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