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出掛ける前からジャズ気分:Trinite スピンオフ@六本木・音楽実験室 新世界

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

●公演概要

5月10日(金)開場19:00/開演20:00

会場:六本木音楽実験室 新世界

出演:shezoo(ピアノ)、壷井彰久(ヴァイオリン)、小森慶子(クラリネット)、岡部洋一(パーカッション)、委細昌嗣(perform)

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スピンオフによってTriniteの“開かずの間”がいま開かれる!?

Trinite(トリニテ)Official Site Triniteスピンオフ
Trinite(トリニテ)Official Site Triniteスピンオフ

Trinite(トリニテ)は、ピアノと作曲のshezoo(シズ)の呼びかけで集まった4人によるユニット。2001年、9.11テロの残像がまだ生々しいなか横浜ジャズプロムナードで演奏されたshezooオリジナル曲「prayer」第1章が発展・変容していったプロジェクトと表現すればいいでしょうか。

すでに組曲「prayer」の一部はアルバムのかたちに収められましたが、いまだ増殖中。それはまるでアントニ・ガウディの建築物へのコンセプションを音楽に持ち込んだのではないかと、誰もがダブル・イメージしてしまうほどです。

そんな完結への道筋を明らかにしようとしないTriniteがスピンオフをするというのです。

スピンオフとは科学やビジネス、芸能制作の現場などで使われる用語で、「派生的に生じることや派生により生じたもの、副産物」を意味します。似た意味の用語にスター・システムというのがあって、こちらは助演や客演だったキャラクターが新たに主演となって物語を構成する方式を指します。スピンオフは、あくまでも設定や舞台背景が共通しているなかでサイド・ストーリーが語られていく方式という、厳密な棲み分けがあるそうです。

つまり、Triniteのスピンオフとは、コンセプトやサウンドのバランスはそのままに、これまでとは異なる視点でTriniteが「prayer」をイメージするという試みになるはず――。

影の存在が光の位置を気づかせてくれるように、スピンオフによってTriniteの隠れていた表情が現われてくるのではないかと思うと、とても楽しみです。

ピアノと作曲のshezoo(シズ)、ヴァイオリンの壷井彰久、クラリネットの小森慶子、パーカッションの岡部洋一、4人のユニット。

トリニテはどこか懐かしく、かつ新鮮なメロディーと、卓越したプレーヤーが醸し出す豊かな世界観を持つ。テーマごとに作られた作品群を組曲として発表している。

2001年9月11日の同時多発テロから1ヶ月後、横浜ジャズプロムナードで第1章「prayer」を初演。その祈りは決して宗教的な意味ではない。

人間は弱い存在である。先の見えないことに対して誰もが不安を抱く。自ら犯した過ちに恐れる。愛するもののため、その日の無事を願う。

そして人は祈る。日々の何気ない行為として、生きている証として人は祈り続ける。

組曲は今後、第2章「月の歴史」、第3章「神々の骨」へと展開する。

出典:profile|Trinite

♪Trinite / Dies Irae for God's Bones 怒りの日「神々の骨」より

♪クロ と カゲ

では、行ってきます!

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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