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空飛ぶ鬼軍曹・永瀬拓矢挑戦者(28)会心の十字飛車を決め渡辺明王将(36)に一矢報いる 王将戦第4局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月13日・14日。東京都立川市「SORANO HOTEL」において、第70期王将戦七番勝負第4局▲永瀬拓矢王座(28)-△渡辺明王将(36)戦がおこなわれました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 13日9時に始まった対局は14日18時1分に終局。結果は113手で永瀬挑戦者の勝ちとなりました。七番勝負はこれで挑戦者の1勝3敗となりました。

 第5局は3月1日・2日、佐賀県上峰町・大幸園でおこなわれます。

永瀬挑戦者、いちご連投で1勝返し第5局へ

 那須でおこなわれた第3局は、渡辺王将の勝ち。勝者は大田原名産のいちごを美味しく食べていました。

 第4局は挑戦者先手。序盤の駆け引きのあと、永瀬矢倉VS渡辺雁木という構図になりました。戦いが始まって1日目の終わり、永瀬挑戦者は華麗な十字飛車を決め、リードを奪いました。

 渡辺王将も1日目の段階で誤算があったことを自身のブログに記しています。

 2日目。永瀬挑戦者は飛車交換に持ち込みます。そして渡辺陣に飛車を打ち込んで、優位を勝勢に結びつけました。

 将棋は強者を相手に勝ち切るまでが大変なゲームです。渡辺王将は相手が一手でも誤れば逆転するよう、非勢の中、最善を尽くして勝負を続けます。

 しかし永瀬挑戦者もまた強者。本局はパーフェクトに近い内容で、鮮やかに勝ちきりました。

 第4局の勝利はもちろん、挑戦者の実力が発揮されての結果です。さらにはいちごを2日に渡って注文し続ける姿勢が実を結んだのかもしれません。

 渡辺玉は最後、1五に香を打って詰む形となりました。

 カド番から1勝を返し、第5局に持ち込んだ永瀬挑戦者。次戦もまた、いちごが美味しい佐賀県です。

 渡辺王将と永瀬挑戦者の対戦成績は、これで渡辺14勝、永瀬4勝となりました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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