【豊田圭一×倉重公太朗】「日本人はラテンマインドを持つべきだ!」第3回~リーダーの条件~
倉重:さて、ちょうど日本でも働き方改革といわれる中で、管理職はその部下の労働時間は削減しなければいけませんから、ある程度いったらもう残業しないで帰れよと言って帰すわけですよ。
でも、やることが残っている場合は結局それを管理職が引き受けなければいけなくなったりして、プレーヤー的な要素を持ちつつ、でも意思決定をしなければいけないし、さらに上の顔色も伺いながら間に立たなければいけないしと、まさにリーダーは疲弊するという、もうこれから本当に日本は特にそうなっていくのではないかなと思うのですけれども。その中でやはり重要なのはアウェアネスのところ、つまり自分の強み、弱み、そして部下の強み、弱みを分かることです。
そして、あとは大事なのはその雰囲気づくりということですね。
豊田:ティール組織にも書いてありましたけれども、やはりそういう組織におけるリーダーの仕事は何ですかというと、やはり2つといわれていて、1つは方向性を示すこと、そして2つめが組織にポジティブな空気をつくることです。最近よくイノベーションが起きないのですよとかイノベイティブな人材をつくりたいとかよく言われますが。
倉重:よく言いますね。
豊田:しかし、あなたの会社では起こりにくいでしょうと、そう思ってしまうのは、例えばよくありがちな絵としては若い人が、「こういうことをやりましょうよ!」と言ったら、「そういう意見はいいけれども、まずやるべきことをやってから言ってください」と。まずはやるべきこと、やるべきことと言われて、それを3回も4回もいわれたら、別にそれで給料が高くなるわけでもないし、じゃあ新しい提案をするのをやめようとなるではないですか。
倉重:それでは何かやるモチベーションがなくなってしまいますよね。
豊田:ですから、そしてポジティブな雰囲気、一人一人のモチベーションが高い空気や状況を作って、一人一人が自分で考えて、進むべき方向に向かってこうやっていこう!というのが最高なわけです。
倉重:ワンピースのルフィ状態ですね。
豊田:今やワンピースですよ!それで、ルフィはリーダーだけど一番強いわけではないということです。
倉重:確かにそうです。ルフィが最強ではないですものね。
豊田:ではないのです。アンパンマンはやはり一番強いのです。
倉重:アンパンマンは負けないですものね。
豊田:ドラえもんはやはり最強なのです、全部道具が出てきて昔ながらのリーダーですよ。
倉重:最後「俺が引っ張っていく!」というタイプの。
豊田:ところが、ワンピースのルフィは最強ではないのです。でも、海賊王になるというビジョンがあるのですよ。
倉重:ビジョンを示して、方向性を示していますよね。
豊田:でも弱いところを開示しているから、周りの仲間たちが僕たちが何とかしてあげたいというポジティブな空気になると思うんです。
倉重:「仲間がいるよ」ということですね。
豊田:仲間がいるよと、今欲しいのはそれではないですか。
倉重:そういう雰囲気づくりをするのがリーダーの枠割ですと。
豊田:あとは、リーダーだから全部自分がやらなければとかはなくていいですよね。もちろん、プレーヤーとしても一番すごかったからリーダーになったのかもしれませんけれども、でも得意ではないこともたくさんあるわけで、それもきちんと開示してポジティブな空気をつくった上で自分もやるべき仕事をやると、ほかのプレーヤーと同じようにです。ほかのプレーヤーもそういうリーダーの弱いところも知っているから、ではそこは僕が得意ですからやりますよというような感じになっていくのがいいのではないのというところです。
倉重:やはり提案していくところに対して、いいね、やろうよとなったら提案したほうもうれしいですものね。
豊田:本当にそうだと思います。
倉重:それで、どんどんいい提案や循環が生まれる中できっとイノベーション等がどこかで起こってくるのでしょう。
豊田:イノベーションは本当は遊びの中というか、分からないけれどもそれをやってしまおうよというような、そういう空気の中でしか生まれないのではないですか。
倉重:ある意味ノリから生まれるようなものですよね。
豊田:ノリでしょう。(笑)
倉重:それを「やるべきことをやれ」とかいわれていたら、絶対生まれないですよね。
豊田:ですから、やはりそこはどういう空気をつくるかで。やってもいい、ちょっと遊んでしまってもいいという空気でしょう。
倉重:遊びから生まれると。
豊田:ちょっとふざけてもいい、だって自動車だってそうですよね。ブレーキに遊びがあるわけですよね。逆に遊びがなかったら危ないではないですか、ガチガチになってしまって。ですから、やはり遊びはすごく重要で、ですから僕らは遊んでいるのです。
倉重:やはりあとはその遊ぶための前提として、やはり心を全開放できる空気というか、強みも弱みも含めてお互い話し合えるような関係性でないと、そもそもそういったことを提案等はこれを言ったら怒られるかなとかでは絶対に出てこないですよね。
豊田:やはりそこは上に立つ人の義務というか。上が開示していないのに「あなた、もっと自分を出しなさい」といわれても、いや、「先にあなたに出してもらっていいですか」と。
倉重:なぜあなたにいわれなければいけないのですかとなってしまいますよね。そう言えばGoogleさんの調査でもありましたよね。自分がガンであることを告白したリーダーの下のチームは生産性が高いという研究結果がありました。やはりそれは何でも言い合える関係性を築けているからなのでしょうね。
豊田:本当にそれはあって、自己開示できるってすごく強いなというか、でもリーダーはやはりできる人だとすれば、できるからリーダーになったとすればその自信があれば弱みは開示できるはずで、開示してしまったほうが楽ですし、部下もついてくるし、組織にとってもプラスなのに、そこを何か隠したりとか何か弱みを見せたくないというようなのは逆にもったいないなと思います。
倉重:ですから、これからの時代はやはりどちらの方向に行くかなど多分誰も分かっていないので。
豊田:分かりません。
倉重:恐らくそのとき、そのときで最善の手を尽くしていくしかないのでしょう。
豊田:本当にそうです。いや、本当はいつの時代もそうなのでしょう。
倉重:でも、高度経済成長期とかというのはこちらに行くぞというようことがあったではないですか。
豊田:ありました。
倉重:でも、今は誰も分かりませんから。
豊田:分かりませんから。
倉重:そうすると、常に最善の手を打てるような雰囲気を今つくっておくというのが多分大事なのでしょうか。
豊田:やはり試行錯誤とかトライアル・アンド・エラーという言葉は昔からあるけれども、やはりそれができる雰囲気をつくっていくのはリーダーの役割だと思います。
(第4回へ続く)
【対談協力:豊田圭一】
株式会社スパイスアップ・ジャパン(代表取締役)
(経歴)
1969年埼玉県生まれ。幼少時の5年間をアルゼンチンで過ごす。
1992年、上智大学経済学部を卒業後、清水建設に入社。海外事業部での約3年間の勤務を経て、留学コンサルティング事業で起業。
約17年間、留学コンサルタントとして留学・海外インターンシップ事業に従事する他、SNS開発事業や国際通信事業でも起業。
2011年にスパイスアップ・ジャパンを立ち上げ、現在は東南アジアや南アジアなどでグローバル人材育成のための海外研修事業に従事。
その他、グループ会社を通じて、7ヶ国(インド、シンガポール、ベトナム、カンボジア、スリランカ、タイ、スペイン)でも様々な事業を運営している。
2018年、スペインの大学院 IE Universityでリーダーシップの修士号(Executive Master in Positive Leadership and Strategy)を取得。
【著書】
『とにかくすぐやる人の考え方・仕事のやり方』『引きずらない人は知っている、打たれ強くなる思考術』など全15冊
【その他】
レインボータウンFM "Go around the world"(ラジオパーソナリティ)
内閣府認証NPO留学協会(副理事長)
早稲田大学トランスナショナルHRM研究所(招聘研究員)
神田外語キャリアカレッジ(シニアアドバイザー)
Creww株式会社(顧問)
All About[留学/人材育成・社員教育](ガイド)