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【日光市】ミシュランにも紹介!日光の老舗料亭「髙井家」で味わう美なる時間

フルリーナYocライター/音楽講師/作詞家(日光市・鹿沼市・益子町・那須町)

文化2年(1805年)創業の老舗料亭「日本料理 日光 髙井家」は、日光田母沢御用邸正門通りにひっそりと佇む日光の名店中の名店。その風雅な佇まいと庭園、美味しい料理と温かなおもてなしは、ミシュラングリーンガイドにも『大猷院&東照宮、髙井家の夜』と紹介されています。この記事では、特別な日の想い出に、自分へのご褒美に、ぜひ訪れていただきたい、高井家の魅力に迫ります。 

創業約220年 日光の名店「日本料理 日光 髙井家」

日光田母沢御用邸記念公園の正門へと続く石畳の「御用邸通り」。かつては御用邸に向かう馬車が通った歴史ある道は、まるでタイムスリップしたようなレトロで美しい小路です。

その御用邸正門通りに面して立つ「髙井家」は、江戸時代後期から旅人をもてなしてきた名店。創業当初は「栗山蕎麦 髙井屋」として開業し、明治・大正期にかけては、田山花袋や国木田独歩など多くの文人たちにも愛され、また、大正時代には田母沢御用邸に打ちたての蕎麦をお届けしていたそうです。

上の写真は明治時代から玄関前にある七福神の福禄寿の石像。その手の巻物には、「婦多ら山 ふたつと阿らぬ 名物乃 奈も髙井屋乃蕎麦は 此楚ば (ふたらやま ふたつとあらぬ 名物の なも高井屋の蕎麦は このそば)」と刻まれています。

写真提供:高井家
写真提供:高井家

髙井家は創業以来、約200年に亘り日光二社一寺の祭礼関係の御料理も担当し、日光山輪王寺門跡の宮様より「鎹山」(かすがいやま)のご紋章を受け、代々髙井屋山三を襲名しています。

今日では蕎麦は特別な時だけの献立となっていますが、江戸後期から脈々と受け継がれている髙井家の味は、本格懐石湯波料理で味わえます。

温かなおもてなしと美なる空間

髙井家は昼の部も夜の部も、完全予約制。庭園を眺めながら、ゆったりと美味しい料理を楽しめます。

暖簾をくぐり扉を開けると、木張りの美しい空間と女将の温かい笑顔に迎えられます。200年の歴史を経た廊下や建具は美しい艶を放ち、あらためて日本建築の美しさに目を見張ります。

廊下の一角からは、小さな池と筧(かけひ)と蹲(つくばい)も。

円形の畳の座布団、亀の置物など、風情溢れる小物使いも素敵!

髙井家にはアップライトピアノと大きなオーディオ&スピーカーのある「音楽室」もあり、この部屋がまた、素敵なんです。実は現在の九代目店主は、大のJAZZ好き。「音楽室」に置かれているレコードのコレクションも素晴らしいので、ぜひ覗いてみてくださいね。

優しい時間が流れる「髙井家」の美食タイム

写真提供:高井家
写真提供:高井家

わたしが髙井家を訪れたのは、今年4月。通された部屋は、広縁から庭園に出られるお部屋でした。芽吹き始めた新緑を眺めながら、至福のランチタイムが始まります。

まずはお茶が運ばれてきました。春だったので桜茶。桜の香りとやわらかな塩味、ほんのりピンクの愛らしいお茶です。

お茶を頂きながら、床の間の掛け軸や季節のしつらいにも心が和みます。

献立表が運ばれてきました。この日私が頼んだのは、先付からデザートまで全8品の「季節の湯波懐石」。

日光の「ゆば」は、湯葉ではなく湯波と書きます。一重で引き上げる京都の湯葉は、料理の名脇役として用いられることが多い薄くて繊細な湯葉。二重で引き上げる日光の湯波は、主に料理の主役として用いられるボリュームのある湯波。

古来、山岳宗教の盛んな時代に僧や修験者によって伝えられ、修験者たちの重要な蛋白源として愛用された日光湯波は、その後、寺社への供物や精進料理の主役として発展しました。今では日本人はもとより外国の旅人にも、「日光名物」として愛されている日光湯波です。

その歴史ある「日光湯波」を美しい懐石料理で楽しめるのが高井家の「季節の湯波懐石」。最初に運ばれてくる先付は「ごま豆腐」。わさびのピリッとした辛みが、濃厚なゴマ豆腐によく合います。

椀物は「合鴨と湯波の茶わん蒸し」。縁起の良い文結びにした平湯波と淡い桜色の麩、卵色茶わん蒸しの色合いが、はんなりと美しい一品です。合鴨の茶わん蒸しは初めてだったのですが、濃厚な合鴨と茶わん蒸しの相性も抜群。とても美味しくいただきました。

お造りは「海老屋製引き上げ湯波」と「筍」、紫蘇の葉などのつま一式も付いてきます。とろりとミルキーな引き上げ湯波、胡瓜、筍の素材の味わいと共に、食感の違いもまた楽しいお造りです。

こちらは強肴「しの巻湯波と椎茸の煮物」「玉子焼き」「くらげの酢の物」3種。

「しの巻湯波」も老舗「海老屋」製。上質の湯波だけを使用した数量限定の巻湯波で、口の中に入れると、とろけそうにやわらかく、一口噛むとジュワっと上品なお出汁が溢れます。 そしてまた、椎茸の煮物や玉子焼きなど、家庭の食卓にも並ぶお料理の奥深い味わいにも感動です。

こちらはクラゲの酢の物。コリっとしたくらげ、ねっとりとしたあんぽ柿、シャキッとしたキュウリの食感のハーモニーが楽しい一品です。

お料理が出てくるタイミングも絶妙で、ゆっくり会話や庭園の風景を楽しみながら、お食事が進みます。料理を運んでくる女将さんの笑顔と、交わす会話もまた嬉しいひと時。

次に出てきたのは、煮物「たぐり湯波 茸あんかけ」。「たぐり湯波」は大きな俵形をしています。この湯波は大正時代に「海老屋」が宮内省大膳職からのご注文を受け、大正天皇のために田母沢御用邸などに献上した湯波。やわらかくボリュームのある湯波で、餡の上に散らした山椒の葉が、料理の味を一層ひき立てています。

次に運ばれてきたのは揚げ物「湯波巻き海老 日光の野菜」。サクッと軽い口当たりの天ぷらに、香り豊かな抹茶塩がよく合います。

そしてお食事が運ばれてきました。

この日のお食事は「氷見うどん」。氷見うどんは富山が誇るうどんで、手間暇をかけ手延べ製法で作ります。細麺ながら強いコシがあり、なめらかなのど越しの美味しいうどんです。汁がまたいいお味!

高井家のお料理の締めくくりは、大女将が生み出した美しいデザート「大黒ゼリ」ー。大豆のミルク(大)と、純黒糖(黒)で作ったゼリーから、「大黒ゼリー」と命名されました。甘さがとても上品で、季節のフルーツの爽やかな酸味がステキなアクセントになっています。

高井家のお料理は、季節感あふれる旬の素材を使い素材の味を生かした上品な味付けで、一品一品の深い味わいを堪能できました。特に筆者が感動したのは、食感の違う素材の取り合わせや、料理の色どり、器使いの美しさ。庭園の風景や季節のしつらいと共に、五感で楽しめる見事な料理でした。
※お献立は季節などによって変わります。

お食事が終わった後は、しばし庭園散策。四季折々の風情溢れる、美しい庭園は美味なる時間を締めくくる素敵なエピローグとなりました。

写真提供:高井家
写真提供:高井家

高井家の昼の部の湯波懐石は7,260円と8470円の2種のコースがあり、。夜の部の
湯波懐石コースは9,680円~(税サ込)となります。

また高井家では、高井家の料理をリーズナブルに味わえるテイクアウトのお弁当も販売しています。「光」弁当 3,672円、「花」弁当 2,484円、「福」弁当 1,512円(お子様用)の3種類があります。昼のお食事、夜のお食事、お弁当共に完全予約制なので、予約を入れてから訪れてくださいね。

写真提供:高井家
写真提供:高井家

10月下旬から11月上旬には、庭園の木々も色づきます。秋ならではの旬の食材を使った料理も登場しますので、ぜひ訪れてみてください。

日本料理 日光 髙井家
住所:栃木県日光市本町4-9
TEL :0288-53-0043(代)
営業時間:昼12:00~15:00(L.O.14:00)
夜17:00~22:00(L.O.19:00)
お弁当お渡し時間:11:00~18:00
※p弁当は前日までに電話予約が必要(都合により、お受けできない場合もあり)。
定休日:不定休。社寺関係の祭礼により休業

ライター/音楽講師/作詞家(日光市・鹿沼市・益子町・那須町)

自然と美味しいものが大好き。92歳のばばちゃまをのせた車いすを押して、心に響く風景や美味しいものを求めて、あちこち出没しています。Yahooエキスパート、日光市観光協会公式WEB「日光旅ナビ」、トラベル.jp、その他多数の旅行・グルメ情報webサイトに寄稿しています。

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