若者のコミュニケーションライフはソーシャルメディアで
固定電話はほぼ利用無し、デジタルのコミュニケーションがメイン
各メディアは主にコミュニケーションのために用いられる。電話も手紙もインターネットのサービスも多くはコミュニケーションが目的となる。個人が意志発信のために用いるメディアの利用状況を、総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の結果から確認する。
次に示すのはコミュニケーションメディア、具体的には携帯電話(従来型、スマートフォン双方。通話)、固定電話(通話)、ネット通話(Skype、LINEなどの音声通話(ビデオ通話含む))、ソーシャルメディアの利用、電子メールの利用、計5種類のメディアの利用時間を示したもの。使わない人も合わせた平均利用時間であることから、大よそ利用者の利用時間と利用されている度合いそのものを推し量ることができる。
緑系は直接音声、赤系はデジタル系で色を区分しているが、赤系統の棒がよく伸びており、全般的に音声を用いたコミュニケーションの時間より、デジタル系の方が長いことが分かる(今件調査はインターネット経由のものでは無く、デジタルギャップによる調査結果のぶれは生じない)。
音声通話のみで動向を調べると、10代から20代まではネット通話が多用され、携帯電話が続く。これはLINEなどによる無料の通話が多用されているから。30代以降は両者の立ち位置が逆転し、携帯電話の利用時間の方が多くなる。60代に至っても固定電話はほとんど使われず、携帯電話の利用時間の方が長い。
デジタル系では全体においては電子メールの方が利用時間が長いものの、10代から20代に限ればソーシャルメディアの利用の方が長い。30代以降で一気に逆転の動きがある。若年層におけるデジタルコミュニケーションは、電子メールからソーシャルメディアへとシフトしつつあることが、今調査結果からも明らかなものとなっている。もっとも30代以降になるとソーシャルメディアの利用時間は大きく減退し、電子メールによるコミュニケーションがまだまだ主流であることも事実ではある。
1年間でどの程度のシフトが起きたのか
同じような条件下で行われた前年分、つまり2013年分調査の結果と見比べ、その動きを算出した結果が次のグラフ。マイナスはそれだけそのメディアが使われなくなったことを意味する。
激しい動きを示しているのが10代~30代。電子メールの使用が大きく減り、その分ソーシャルメディアが増加している。40代以降は電子メールとソーシャルメディアの双方が増加しているが、30代以下では電子メールからソーシャルメディアへのシフトが起きていることが明確な形となって表れている。またそのシフトでも、電子メールの利用時間の減少分が若年層ほど大きく、若年層ほど動きが加速度的なものとなっている。
ソーシャルメディアにおけるコミュニケーションは、当然ソーシャルメディアを利用しなければ使えない。そしてコミュニケーションそのものは相手も同じツールを用いていることが必要になる。ソーシャルメディアの利用率は急激に上昇を示していることもあり、今後利用者率が増加を示す中で、同時にソーシャルメディアを用いたコミュニケーションの利用時間はさらに伸びていく。それと共に通話系、さらには電子メールの利用時間もますます減退の動きを示すことになるだろう。
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