チャイルドシートの使用率は74.5%(2022年版)
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00321331/title-1666837986600.jpeg?exp=10800)
漸増するチャイルドシート使用率、直近では74.5%
万が一の交通事故の際に、確実に死傷リスクを減らす役割を果たすシートベルト。その子供向け版がチャイルドシート。直近調査において使用率は74.5%との結果が出ている。その実情を2022年10月に発表された、日本自動車連盟(JAF)が警察庁と合同で行った調査結果(※)から確認する。
まずはチャイルドシートの使用率だが、多少の上下を繰り返しながら、全般的には改善される方向にある。
![↑ チャイルドシート使用率](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00321331/image-1666838073246.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
チャイルドシートの使用は事故発生時における子供の死傷リスク軽減の前提条件となるため、数字の増加は好ましい状況と考えてよい(無論後述する通り、単に装着していればよいというものでもない)。2013年には初めて6割を超え、それ以降も使用率は上昇傾向にある。しかしながら、まだ1/4強が未使用な状況にあるのも事実である。
子供の年齢階層別に使用率の推移を見たのが次のグラフ。
![↑ チャイルドシート使用率(子供の年齢階層別)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00321331/image-1666838096677.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
たとえば2015年の5歳のように一部イレギュラーな動きもあるが、おおよそどの年齢区分でも年々上昇していることが確認できる。一方、子供の年齢が上になるに連れて使用率が落ちる傾向に変わりは無い。子供が窮屈がることや、シートの買い替えが面倒なことなどもあるが、リスクを考えればあまり好ましいとはいえない。
チャイルドシートを装着していない場合、どのような状況か
チャイルドシートを付けていない場合、子供はどのような状況だったのか。それが分かるのが次のグラフ。
![↑ チャイルドシート使用状況(2022年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00321331/image-1666838127368.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
一番使用率が低いのは5歳だが、大人用のシートベルトを使用している事例が2割近く確認できる。子供によっては5歳でも背丈がかなり大きくなり、大人のベルトでも問題無いと判断したのだろう。また、車両のシートに座らせてベルトをさせていない事例も2割強ほどおり、直上の事例「子供が嫌がる」「シート買い替えをしていない」の推測が正しいことが確認できる(なお道交法第71条の3第2項によれば「『適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有する幼児』はチャイルドシート使用の義務を免除される」(当然その場合、大人用のシートベルトの着用が義務付けられる)とあるため、今件のうち「大人用ベルト着用」は適切である可能性もある)。
一方で1歳未満では「保護者の抱っこ」が7.8%いるのが目にとまる。これもまた子供がぐずる場合を考えると「仕方無いかも」と思う面もある。しかし事故時の死傷リスクはシートベルト未着用と変わらないことから、お勧めはできない。なお法令上、原則的には認められない。ただし特例もいくつかあり、例えば授乳やおむつの交換の時は道路交通法施行令第26条の3の2第3項第5号により、チャイルドシートの使用は免除される。
取り付け・着座の仕方も肝心
チャイルドシートは単に取り付け、着座させればすべて問題無しというわけではない。「正しいチャイルドシートの固定の仕方をしているか」「正しいベルトの締め方・着座方法をしているか」が問題となる。そこで「シートそのものの固定が正しく行われているか」「シートの座り方は間違っていないか」について確認した結果が次のグラフ。
![↑ チャイルドシートそのものの取り付けとチャイルドシートでの着座状況(2022年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00321331/image-1666838151686.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
チャイルドシートの取り付け状況においては、乳児用で3割近く、幼児用では4割強が「問題あり」判定となっている。リリースにはその詳細があるが、「問題あり」の6割前後が「腰ベルトの締め付け不足」との結果が出ている。業者に確認、調整をしてもらえば容易に改善は可能。
一方でチャイルドシートでの着座状況における、問題のある利用方法の内情は次の通り。
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00321331/image-1666838170328.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ チャイルドシート着座時の問題のある使用方法(2022年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00321331/image-1666838179739.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
シートでの着座状況は種類によって違いが見える。乳・幼児用では「ハーネスの締め付け不適正」「ハーネス高さ調整間違い」「ハーネスよじれ・ねじれ」が多いのに対し、学童用では「体格不適格」「肩ベルトの通し方間違い」「座席ベルトのよじれ・ねじれ」が上位に連なっている。体格不適格の場合は大人用のものを使うなりすればよい。ベルトの通し方のミスなら正しい通し方を学んで実践してもらうことで、リスクを減らせることになる。
いずれにせよ、シートベルト同様にチャイルドシートもまた、法律上装着が義務付けられているのと同時に、「万が一」の際の死傷リスクを確実に減らす安全策の一つ。「事故が起きるはずが無い」との確信が事実である保証などどこにも無い。「後で悔やむ」の言葉通り後悔する場面に遭遇しないよう、正しい設置と装着を心がけて欲しいものだ。
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※日本自動車連盟(JAF)が警察庁と合同で行った調査結果
直近調査においては、調査期間は2022年4月22日から6月30日。使用状況調査・取り付け状況調査・着座状況調査の3通り行われており、使用状況調査は自動車に乗車している6歳未満の子供を対象に全国99か所で行われたもので、有効回答車両数は1万502台・対象人数は1万3110人。取り付け状況調査は全国16か所で実施されたもので対象調査数は420シート。着座状況調査は全国16か所で実施されたもので調査対象数は626人。なお本調査では乳児用シート、幼児用シート、学童用シートを総称してチャイルドシートと呼んでいる。また、道路交通法では6歳未満の子供の乗車に際しては、原則としてチャイルドシートの使用が義務付けられている。ちなみに2020年・2021年は新型コロナウイルス流行の影響により調査は中止されている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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