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MLBに新たな危機! 新型コロナ感染で2チームがフロリダ州のキャンプ施設を閉鎖へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
新たな難題に直面したロブ・マンフレッド・コミッショナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【フィリーズとブルージェイズがキャンプ施設を閉鎖】

 今も選手会との間で合意できず、シーズン開幕が決まらないMLBだが、さらに追い打ちをかけるような出来事が起こった。

 ESPNなどの複数メディアが報じたところによると、フィリーズは5人の選手と3人のスタッフが新型コロナウイルスに感染したため、フロリダ州のキャンプ施設を閉鎖することを発表した。

 さらにブルージェイズも、40人ロースター入りしている投手が新型コロナウイルスの症状を訴えていることから、同じくキャンプ施設の閉鎖を決めたようだ。

 両チームはさらに検査結果待ちの選手、スタッフがおり、まだ感染者が拡大する可能性が高そうだ。

【このままでは開幕が危ういブルージェイズ】

 これはキャンプ施設の閉鎖という単純なことではない。特にブルージェイズにとってはシーズン開幕すらも危ぶまれる重大な危機といえるのだ。

 ブルージェイズはシーズン開幕が決まった場合、トロントで公式戦を実施する方向で調整している一方で、現在もカナダ政府は新型コロナウイルスの影響で米国間の渡航を制限しており、通常の遠征ができない状況だ。

 そのためチームはオプションとして、キャンプ地ダンイーデンで公式戦を実施することも視野に入れていたのだが、キャンプ施設閉鎖に伴い、それがほぼ不可能になってしまったのだ。

 現時点でシーズン開幕が決まったとしても、ブルージェイズは開幕前キャンプを実施する場所さえ確保できない状況だ。

【隣接地のレイズにも大きな影響】

 ブルージェイズのキャンプ地ダンイーデンと、フィリーズのキャンプ地クリアウォーターは同じタンパ郊外の隣接地区であり、州全体から見れば同じ中西部地域だ。ここにはレイズの本拠地であるセントピータースバーグも含まれている。つまりレイズも感染者が広がっている地域に含まれているわけだ。

 同じくヤンキースも同地域にキャンプ施設を置いている。

 現時点でレイズに感染者は出ていないようだが、さらにこの地域で感染者が拡大するようなことになれば、レイズも本拠地球場のトロピカーナ・フィールドを閉鎖せざるを得なくなってしまうだろう。

 そうなればブルージェイズ、レイズがシーズン開幕に影響が出てくることになり、MLB全体として対応を迫られることになる。

【大量の中南米出身選手がフロリダ在住】

 実は現在のフロリダ州はこの地域に限らず、6月18日に州全体で1日としては過去最大の3000人を超える感染者が確認されており、新たなパンデミック発生地域になるのではとの不安が広がっている。

 そういう意味では、マイアミを本拠地にするマーリンズも決して安心できる状況ではないし、同州にキャンプ施設があり、選手に練習の場として開放している他のチームも同様だろう。

 それだけに留まらない。フロリダ州には、在籍チームに関係なく多くの中南米出身選手が居住しており、シーズン開幕に備え自宅で調整を続けている選手が多数存在しているとの情報を聞いている。彼らも同様に感染リスクを抱えているのだ。

 シーズン開幕が決まる前に、MLBは新たな問題に直面してしまったようだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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