料理人も「人間国宝」に認定されるようになる? その背景と気になる2つのこと #専門家のまとめ
人間国宝とは、文化財保護法にもとづき文部科学大臣が指定した重要無形文化財保持者として認定された人物。人間国宝に認定されると活動費として年間200万円が助成されます。毎年1回、文化審議会が審議・議決しており、存命している人間国宝の最大定員は116人。対象となる分野は伝統芸能や工芸であり、その「わざ」が無形文化財となります。料理やお酒は含まれていませんでしたが、新たな動きがありました。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
文化庁が2024年9月20日、料理人の社会的地位の向上や担い手確保のため、食の分野も人間国宝の対象にしようとする専門家会議を初めて開催しました。料理の他にも日本酒を造る杜氏なども対象にし、遅くとも3年以内に制度の運用を始めたいといいます。2020年4月に食文化を担当する専門部署が新設されてから、ようやく動き出した印象です。
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されました。日本人が世界の有名レストランでスーシェフ=2番手シェフを務めることが当たり前となっていたり、東京がミシュランガイドで世界最多の星付きレストランを有する都市となっていたりします。それにもかかわらず、飲食店の人手不足は深刻で、非正社員の人手不足の割合は業種別でトップ。
人間国宝の対象となるのは和食や日本酒だけか、フランスのM.O.F.=国家最優秀職人章のように透明性をもたせられるかなど、気になるところはあります。ただ、“食の人間国宝”が誕生することによって、日本の食文化の地位やイメージが向上し、人手不足解消の一助となったり、海外でさらに評価されたりするので、少しでも早い運用開始を期待します。