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MLB公式サイトが報じたダルビッシュのメッツへのトレード報道の信憑性は?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今オフにメッツへトレードされる可能性を報じられたダルビッシュ有投手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLB公式サイトが報じた衝撃の移籍報道】

 米国東部時間の11月1日午後5時をもって、すべてのFA選手が交渉可能になったMLB。いよいよ本格的なオフシーズンに突入したことで、米メディアも移籍関連の報道が活発化し始めた。

 そんな中、MLB公式サイトが11月2日、ダルビッシュ有投手のメッツへのトレードの可能性を報じている。果たして、その信憑性はあるのだろうか。

【ダルビッシュ投手がトレードされる2つの理由】

 今回の記事の元になっているのが、ニューヨーク・ポスト紙のジョエル・シャーマン記者の記事だ。彼は2つの理由から、ダルビッシュ投手のメッツへのトレードの可能性を指摘している。

 まず今年のオフシーズンで、メッツが最も資金力を有しているという点だ。

 すでに本欄でも報告しているように、新型コロナウイルスの影響で、今シーズンはすべてのチームが大幅減収を余儀なくされている、それはメッツも同様なのだが、ただメッツの場合はつい先日、MLBから球団買収が認可され、このオフからスティーブ・コーヘン氏をオーナーとする新たな経営体制に移行したばかりなのだ。

 当然コーヘン氏は、今シーズンの大幅減収の影響を受けていない。このオフシーズンは他チーム以上の潤沢な資金を投入できるため、FA市場やトレード市場で積極的に選手獲得を目指しているという。

【大幅な年俸総額削減が必要なカブス】

 もう1つの理由は、メッツとは正反対に、カブスが大幅な年俸総額の削減が求められているということだ。

 こちらもすでに本欄で報告しているが、カブスは大幅減収のため経営危機を迎えており、10月に100人以上の球団職員を整理している。もちろん選手の年俸総額も影響を受けるのは必至な状況で、大幅削減が予想されている。

 またカブスが抱えている、特殊な事情も重なっているという。

 来年のオフシーズンになると、クリス・ブライアント選手、ハビアー・バイエス選手、アンソニー・リゾ選手、カイル・シュワバー選手──と現在のカブスを支えている主力選手が皆FAになるため、彼らとの再契約のためにも、今のうちから資金を準備しておく必要があるのだ。

【今シーズンの最高年俸がダルビッシュ投手】

 このような理由で大胆な年俸総額削減が求められるカブスにあって、今シーズンの年俸最高額だったのが、2200万ドル(約23億円)のダルビッシュ投手だった。

 ダルビッシュ投手の場合、2023年まで総額5900万ドル(約62億円)が保証されている契約が残っている。もし他チームにトレードすれば、カブスは大幅削減に成功できることになる。

 まさにメッツとカブスの思惑は完全に一致することになるわけだが…。

 ちなみにシャーマン記者によれば、メッツはダルビッシュ投手のみならず、フランシスコ・リンドア選手、ザンダー・ボガーツ選手、ノーラン・アレナド選手ら大物選手の獲得にも乗り出すだろうと指摘している。

 シャーマン記者の予測は、果たして現実化するのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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