ポイント還元潤沢経済社会、消費欲求が消えゆく日
KNNポール神田です。
4週目の『auPAY』の20%還元が、3日目の3月4日の水曜日になってもまだ10億円を使い切れなくなった…。
さらに2020年3月1日より開始となった『メルペイフィーバー』では、本人確認済みであれば最大50%ポイント翌日還元で、『ドラッグストアフィーバー』などで利用できるようになった。翌日から最大50%のポイント還元分が利用できるのが最大のウリだ。
しかしだ…。全国のドラッグストアでは、異変が起きている…。新型コロナウィルスでマスクの品切れれ状態が続き、朝からマスクを行列しても買えない…。アルコール消毒もずっと品切れ…。さらにトイレットペーパーのデマ騒ぎで煽られた人たちがトイレットペーパーを買い占めをはじめ、本当に品切れとなる現状…。さらに安倍首相の要請で、全国の小中高が3月2日(月)からの休校でさらに日常生活物資の商品が姿を消す。
■『同一商品は、お一人様2点まで』の購入制限
もはや、ドラッグストアチェーンは、薬だけを販売している店舗ではない。スーパーマーケット並、いやスーパー以下の価格で食品や飲料などを扱うようになった。利益率の高い薬の販売率を高めるために、食品、飲料部門は、ほぼ広告宣伝として赤字計上の価格で販売しているからだ。生鮮3品以外は、ドラッグストアでまかなえる店舗が増えている。
しかし、そんな状況から、ドラッグストアでは、ついに『同一商品は、お一人様2点まで』の購入制限を設ける店舗までが出てきた…。そう、買い占めを阻止するためだ。小中高の休校が最大の原因だろう。しかしそれだけではない。この『非日常』な空気感がそうさせている。
この買い占め行動なども、冷静な意思決定ができる人が多ければ、問題はなかったはずだ。普段からの『備蓄』で対応できる範囲のはずだった。今は、完全なる『非常時』ではないが、外出自粛という不安要素が生み出す『非日常』な空気感でいっぱいだ。
トイレットペーパーの買い占めなどの異常行動を取る、冷静な判断ができない人がホント増えている。まるで石油ショックの70年代の発想そのものだ。SNSでデマがさらに拡散されたこともある。しかし、それが現実となってしまった。
■ポイント還元潤沢経済社会、消費欲求が消えゆく日
消費税も上がり、ポイント還元キャンペーンが毎月開催されるようになった。しかも、ルールが複雑怪奇である。すでに一部のマニア層にしか理解できない仕組みとなっている。また、政府のキャッシュレスも含めて、すでに『還元』という言葉も、すでに消費意欲を喚起される人が少なくなったのではないだろうか?
日常的なポイント還元による『潤沢経済』な社会では、ベースとなる金額は増えずに購買力だけが上がっている状態だ。ベースの金額が増えないので、いくら購買力のみが上がっていても、金銭が目減りする『時間』だけを延長しているにしかすぎないのだ。
さらに、ポイントが還元された頃には消費時の記憶も忘れてしまっている。そういう意味では、メルペイの翌日のポイント還元は意味があるトライだと思う。1,000円で最大500円が翌日還元されるからだ。もちろん、メルペイ側は、本人確認済みユーザーがドラッグストアに何時何分にいくら使ったかの行動データを収集できている。そのデータ収集と利用経験への投資だ。しかし、3月だけで合計3000ポイント還元、つまり6,000円で9,000円分使えたとしても、6,000円分はドラッグストアなどで消費しなければならないのだ。要らないものまでを、得をするけど焦っては買わないという選択を選ぶことはできる。
しかしながら、なぜかトイレットペーパーのデマには過剰に反応する…。最低限、必要なものまでなくなるとイメージされると、結果として、早いもの負けが牽引する、社会的な負の連鎖による損失を生み出してしまう。
いくら、デマでも、トイレットペーパー品切れを、実際に目で確認してしまうと、ついつい緊急スイッチが入ってしまうのだろう…。20%還元も、10個買うと2個おまけ。5個買うと1つおまけのロジックと同じとわかると消費欲求が不思議と消えていくものだ…。