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新型コロナワクチンは、今後いつ接種するようになるのか? いつまで無料?

倉原優呼吸器内科医
筆者作成(イラストはソコストより使用)

新型コロナの感染症法上の分類は5月8日から「5類感染症」に変更されますが、ワクチンの扱いは今後どうなるでしょうか。現行の接種、今後の費用、使用ワクチンの種類、そして接種間隔案について解説します。

初回接種の今後の見通し

現在接種されている新型コロナワクチンはのようになっています。オミクロン株対応ワクチンは、1・2回目の接種を終えた12歳以上のすべての方が接種可能です。

表. 現在の新型コロナワクチン接種(2023年2月6日時点)(筆者作成)
表. 現在の新型コロナワクチン接種(2023年2月6日時点)(筆者作成)

オミクロン株対応ワクチンは初回接種には使えませんので、自治体における初回接種は現在、従来株ワクチンの在庫を使っています。しかし、この在庫がなくなると、初回接種自体ができなくなります。実際、そのようにアナウンスし始めた自治体も出てきました。

しかし、アメリカ食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は、1月26日に「今後は使用ワクチンを統一すべき」という見解をまとめています(1)。

そのため、おそらく今後は初回接種からオミクロン株対応ワクチンが使用できるようになるでしょう。日本でもこの流れに追随する可能性が高いと思われます。

ワクチン未接種の人がいつでも接種できる仕組みを残しておくことが重要です。

ワクチン接種はいつまで無料?

現時点では、令和5年3月31日まで新型コロナワクチン接種は無料となっています。

5類感染症に分類されている季節性インフルエンザは、予防接種法によってワクチンは「定期接種」に分類され、自治体で実施されています。費用は原則、接種を受ける人が自己負担するようになっています。自治体によっては、子どもや65歳以上などで費用が助成されています。

新型コロナワクチンは、必要性が高いことから、改正予防接種法によって「特例臨時接種」という位置づけになっています。自治体に協力を依頼し、政府が主導する形で無料接種が継続されてきました。

法律上、ワクチンの費用負担は「5類感染症」とは直接関係ありませんが、関心を集めているのが今後の費用負担についてです。

これについて、現時点では公費負担が継続される見込みです。厚労省からも、「4月以降(中略)必要な接種については、引き続き自己負担なく受けられるようにする」という通知が出ています(2)。

よって、少なくとも1年程度は自己負担なく接種できるのではないかと考えられます。「5類感染症」に移行した後も大きな混乱がなく、また重症化リスクが低いままであれば、将来的に「定期接種」へ移行するかもしれません。

冬前に年1回、インフルと同時接種か

FDAの諮問委員会は、今後は年1回の新型コロナワクチン接種に移行する案を提示しています(1)。乳幼児、高齢者、免疫不全者などでは年2回の接種が想定されています。日本がこの考え方に追随するのか不明でしたが、2月8日に年1回の接種の方針で了承されました(2月8日追記)。

新型コロナワクチンによる感染予防効果は経時的に減衰していくので、数か月おきに接種したほうが効果は高いように思われますが、記憶リンパ球の存在から、重症化予防効果は長期間保たれるという見解があります(図1)(3)。

図1. 2回ワクチン接種後の記憶リンパ球(参考資料3より引用)
図1. 2回ワクチン接種後の記憶リンパ球(参考資料3より引用)

ただ、インフルエンザと新型コロナには決定的な違いがあります。それは、インフルエンザは季節性で、新型コロナは一年中流行するという点です。

限られたデータで判断することになりますが、FDAが諮問委員会の案を受け入れた場合、従来株ワクチンは段階的になくなっていくことになります。

日本では、2月頃に発表される北半球における次シーズンのインフルエンザワクチンの株を検討し、5~6月に型が決定されます。しかし、新型コロナは国によって流行する変異ウイルスにずれがあり、世界保健機関(WHO)が主導しにくいというハードルもあります。

冬前にインフルエンザワクチンと一緒に新型コロナワクチンを受けるというのが、これからの新型コロナとの付き合い方になるかもしれません(図2)。

図2. 新型コロナ・インフルエンザワクチンの今後の接種案(筆者作成)(イラストはソコストより使用)
図2. 新型コロナ・インフルエンザワクチンの今後の接種案(筆者作成)(イラストはソコストより使用)

※この接種案はFDAの諮問委員会の議事録(1)をもとに、2月6日時点の情報をもとに筆者が作成したものですが、国内でも同様の方針になるようです(2月8日追記)。

(参考)

(1) Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee January 26, 2023 Meeting Announcement(URL:https://www.fda.gov/advisory-committees/advisory-committee-calendar/vaccines-and-related-biological-products-advisory-committee-january-26-2023-meeting-announcement

(2) 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針について(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/001046577.pdf

(3) 第51回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会. ワクチン予防効果への寄与が想定される免疫記憶とウイルス排除機構について(URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/001044146.pdf

呼吸器内科医

国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医。「お医者さん」になることが小さい頃からの夢でした。難しい言葉を使わず、できるだけ分かりやすく説明することをモットーとしています。2006年滋賀医科大学医学部医学科卒業。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医・代議員、日本感染症学会感染症専門医・指導医・評議員、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本結核・非結核性抗酸菌症学会結核・抗酸菌症認定医・指導医・代議員、インフェクションコントロールドクター。※発信内容は個人のものであり、所属施設とは無関係です。

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