不安障害の種類と嫌な事ばかり考えすぎる時の対処法について。
こんにちは、精神科医しょうです。
人はさまざまなことに「不安」を抱きます。
不安を感じることは日常生活を送る上で、誰にでも起こるものですが、不安を抱く度合いが高ければ高いほど、病の発症につながります。
不安が原因で発作を起こしたり、動悸や震えを感じたり、特定の行動を繰り返すなどの症状が表れている場合は、早めに医療機関を受診し治療を受けるようにしましょう。
今回は不安障害の種類と治療方法、医療機関を受診する目安について解説したいと思います。
主な不安障害と治療方法とは?
不安障害と言っても、症状の出方や治療方法はそれぞれ異なります。
不安障害を疑っていて、自分がどれに該当するか分からないという方もいらっしゃるかと思いますが、勝手な判断はせずに、まずは医師の診断を受けるようにしてくださいね。
あくまで参考までに、代表的な不安障害と主な治療法について解説したいと思います。
・パニック障害
予期しない時に激しい不安を伴って「動悸」「息苦しさ」「めまい」などのパニック発作が、繰り返し起こります。
発作は比較的短時間におさまりますが、一度起こるとまた起こるのではないかと不安に感じ、出かけることを避けるようになるなど、日常生活に支障が出ます。
治療方法としては、薬物療法や間違った思い込みを修正する行動療法などが行われます。
・社交不安障害
病気だと認識されて間もないことから、原因はよくわかっていませんが、人前で何かをしようとした時に不安に襲われ、極度に緊張してしまいます。
症状としては声や体の震え、動悸、吐き気、頭の中が真っ白になるなどがあげられます。
治療方法としては薬物療法と行動療法を併用することで、効果がでるとされています。
行動療法では、不安を引き起こす刺激に対して、危険を伴うことがない形で直面させ、克服を目指す「暴露療法」という治療法がとられることがあります。
・全般性不安障害
日常生活の中には不安や心配事があり、それには理由や根拠があります。
しかし、全般性不安障害になると、理由もなしに不安が次々とわき起こり対象を変えながら、心を占領してしまいます。
仕事のことや経済状況、家族の心配、健康のことなど気持ちが安らぐことがほとんどなく、このような状態が続けば疲れやすくイライラし、物事に集中できなくなります。
結果的にうつ病などの病につながる恐れもありますが、うつ病やその他の不安障害を患っている方を注意深く観察すると、全般性不安障害を併発していることもあります。
治療方法としては抗不安薬を用いたり、心配や不安などの偏った考えを修正したりする認知療法が有効とされています。
嫌なことばかり考えてしまう時には…
不安障害をはじめ、心の病を発症してしまう方の多くは、思考がネガティブだと考えられています。
ネガティブな思考を抱いてしまう背景にはその人の生い立ちや現在の環境、人付き合いなどさまざまな要因があるため、そう簡単にポジティブ思考に切り替えることは難しいかと思います。
そこで、取り組んでいただきたいことは「記憶の塗り替え」を意識することです。
職場や学校でイヤな思いをした、親や友人からひどいことを言われたなど思い出し、不安や恐怖を感じたらその記憶を楽しいものに変えてみましょう。
たとえば、職場や学校での楽しかったこと、頑張っていたことを思い出す、親と楽しい旅行をしたことや友人とショッピングに行ったことなど、幸せを感じた出来事を思い出すのです。
何もかも全て、嫌な思い出しかないということはないはずです。
毎日、嫌な出来事や感情を思い出しているからつらい、苦しいが増えてしまうのです。
できるだけ楽しい思い出や良かったことを思い出す内に、脳が記憶の塗り替えをしてくれます。
ぜひ、過去の楽しかったことを思い出して、思い出し笑いなんかしてみましょう!
医療機関を受診する目安は?
とはいえ、どのような症状がどれだけ続いたら、医療機関を受診したらいいのか?迷う方も多いのではないでしょうか。
目安としては、以下の症状が2週間以上続く場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
ただし、生命を脅かされるような状況であれば、直ちに受診するようにしてくださいね。
・気分の落ち込みで意欲がわかず、些細なことで動揺し集中力も続かない
・何を食べても美味しく感じられない、食欲がわかず体重が減った。
・眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める、普段よりも2時間以上早く目が覚めてしまう。
・疲れやすく、動悸や息切れ、めまいなど何らかの生活に支障をきたす症状がある。
まとめ
今回は不安障害について取り上げてみました。
不安は誰もが感じますが、常に心が「不安」に占領されている場合は要注意です。
考え方をシフトしたり、物事のとらえ方を変えてみても上手くいかない時はためらわず、医療機関を受診し相談してみましょう。
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