HSPが不安症の発症リスクを予防する「自動思考」のあり方とは。
こんにちは、精神科医しょうです。
不安症には、突然発作が起きるものや特定の対象物に恐怖を抱くもの、漠然とした不安に苛まれるものなど、いくつか種類があり治療法も異なります。
HSPさんにおいては、さまざまなことに対する察知能力が高いため、不安や恐怖を感じる機会が多く、不安症を発症しやすい傾向にあります。
HSPさんは、感度の高いアンテナを常に張っている状態のため、心だけではなく体も緊張しやすく、肩こりや腰痛、頭痛などに悩まされている方も多いようです。
真面目で責任感が強い方は、気負いしやすく気がついたら自分を追い込んでいることも高い頻度であるのではないでしょうか。
そこで今回は、HSPさんはなるリスクが高めだと言える「不安症」について、取り上げたいと思います。
2種類ある不安の対処法は?
不安には2つの種類があります。
「原因が分かっている不安」と「原因が分からない不安」です。
原因がはっきりしている不安は誰でも抱くことがあり、対処法を考えることで、軽減を図ることができますが、「心配なことは何もないはずなのに胸がドキドキする」といった原因が分からない不安の場合は、どうすることもできず、ますます不安に陥ってしまいます。
原因が分からない不安を感じる時は、脳がいろいろなことに過剰反応している状態とも言えますので、休息を取りあれこれ考え過ぎないように、心身を休ませてみましょう。
また、将来のことやお金のことなど、現時点で考えても仕方がないことを悩んでしまう時には、「今」を生きることに集中しましょう。
真面目で責任感の強い人は要注意!
どんな人でも「今日は心が重いなぁ」「つらいなぁ」と感じることがあるものです。
つらいことがあったり、どれだけ努力しても上手くいかないことが続いたりした時には、誰でも憂うつな気分になりますよね。
そんな時は心身にストレス負荷がかかり不安症を発症する入口に差し掛かっているのかもしれません。
さらには「うつ」などの大きな病を併発するリスクも高まっていると言えるでしょう。
しかし、そこで「まぁ大丈夫だろう」「何とかなる」と気持ちを切り替えることができれば、病のリスクはぐんと下がります。
特に真面目で責任感が強い人の場合は、大きな問題に直面した時に、一生懸命頑張って自分の責任で問題を解決しようとします。
しかし、いくら努力しても問題が解決できないと、心の中で自分を責めてしまいます。
「どうして解決できないのだ」「情けない」などと自分を批判すると心の逃げ道はなくなり、追い込まれ、耐えきれなくなってしまいます。
真面目で責任感が強い人ほど、このような自己批判をやりがちですので、不安症だけではなく、他の病の発症にも要注意だと言えるでしょう。
発症を防ぐための「自動思考」のありかたとは?
不安症を発症しやすい人の特徴として、「自動思考」が心を苦しめていることが考えられます。
自動思考とは、ゆっくりと頭で考える前に自動的に浮かんでくる考えやイメージのことです。
自動思考の多くは、経験や環境の中で知らず知らずに身に付けており、極端なものになっていると、物事のとらえ方が偏り、メンタルに影響を与えます。
自動思考にとらわれると、目の前で起きている問題が、現実以上に大きく見えたり、悲観的なものに思えたりして、前に進めなくなることがあります。
何か大きな課題に直面した時に、瞬時の内にネガティブな感情を抱いているなと感じた場合には、まずはそのことを自覚し、いったん打消した上でポジティブな発想に転換することをオススメします。
ちなみに自動思考には以下のようなものがあげられます。
・思い込み、決めつけ
「私はいつも失敗してばかりだ」と決めつけたり、根拠が不十分なのに正しいと思い込んだりするなどがあげられます。
・白黒思考
あいまいな状態に耐えられず、極端な思考で割り切ろうとする考え方です。
・べき思考
「こうするべきだ」と現実を無視して、自分の考えで心を縛ってしまうことがあります。
・自己批判
何でも自分の責任だと考えて、自分を責めてしまう考えです。
自分の力だけでどうにかしようと考えていると、常に心が休まらず、不安な感情は大きくなります。
・深読み
相手の気持ちを一方的に推測して、そうに違いないと決めつけてしまうことがあります。
もちろん、他人の気持ちなど分かるはずもないため、深読みすることで自分を追い込んでしまいます。
・先読み
自分で悲観的な予測を立ててしまう考えで、そのために自分の行動を制限してしまい、予測通りに失敗してしまうことさえあります。
結果的に否定的な予測をますます信じ込みむという悪循環に陥ることがあります。
まとめ
漠然とした不安感に苛まれる不安症の場合は、自分が病気であるという認識が薄いため、医療機関を受診しないことが多くあります。
そのため、長期間に渡って症状を抱え込み、「うつ病」などの大きな病につながってしまうケースも見受けられます。
2週間以上、何をしていても不安を感じてそわそわするという症状を感じた場合には、ぜひ迷わず医療機関を受診し医師に相談してほしいと思います。
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