SNSでは9割以上が間違えている「タッパー」12月28日での事業撤退を発表
米国プラスチック製保存容器の老舗メーカー「タッパーウェアブランズ」が今年(2024年)9月、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用をデラウェア州の裁判所に申請していました。
その時点では日本法人については何も発表がありませんでしたが、12月6日(SNS等では12月10日)になり、日本法人「タッパーウェアブランズ・ジャパン」が12月28日をもって事業撤退すると発表されました。2024年12月28日をもち日本での販売活動を終了、2025年1月31日で日本での事業を終了となります。
売上低迷の理由としては、ネット通販事業への対応の遅れと言われていますが、近年は日本でも公式オンラインショップがあったり、楽天市場の中に公式オンラインショップを展開していました。いずれも現在、閉店セール中です。
「タッパーウェアブランズ」とは?
「タッパーウェアブランズ」は1946年、米国人の化学者アール・サイラス・タッパー氏が創業し、自身が開発した軽量で耐水性に優れたプラスチック製の保存容器の販売を開始しました。販売員がホームパーティーを開催し実演販売をするというスタイルでの販売方法が成功し一時は世界市場を独占するほど。
日本では1963年(昭和38年)に米国タッパーウェア社の日本法人として「タッパーウェアブランズ・ジャパン」を設立し米国同様、ホームパーティーでの販売方法で爆発的な人気となりました。
多くの人が間違えている「タッパー」
一時は世界市場を独占したタッパーウェアなので、日本においても「タッパー」という単語が多くの人に知られています。
近年は家事をテーマにするインターネット記事やSNS動画が激増し、その中で食品保存容器を扱うものも増えていますが、多くの人が食品保存容器のことを「タッパー」と称しているのです。
メディア関係の編集者などには“間違えやすい言葉集”のようなものがあり「タッパー」が掲載されていますし、食関係のプロの方には周知の事実だと思いますが、「タッパー」や「タッパーウェア」は「タッパーウェアブランズ」の商品名であり、商標登録もされています。
他社の製品は「タッパー」ではないのです。
それが前述のとおりSNSなどでは食品保存容器のことが「タッパー」と称されていることがほとんどです。とあるSNSで「タッパー」で検索してみて、出てきた保存容器の中に1つもタッパーがなかったこともあります。
ネット記事やSNS動画でよく「9割の人が知らない」等のタイトルがつけられ、「いやぁそれはオーバーでしょう」と思うことも多いものですが、極端に言えばこれは“100%の人が間違えている”と言ってもいいでしょう。
同様の例として、チャック付きの食品保存袋を「ジップロック」と称しているものも多く見かけるようになりましたが、ジップロックはジップロック社の製品で他社のものはジップロックではありません。
ここまで多くの人が間違えている「タッパー」は、おそろしほどに認知度が高いと言うべきか、そうではないのか判断がつきづらいところですが、「タッパーウェアブランズ・ジャパン」が事業撤退したあとも「タッパー」の名前は間違えたまま使われるのではないでしょうか。
尚、「タッパーウェアブランズ・ジャパン」の事業撤退に伴い、過去に購入した製品のアフターサービスや保証についても12月20日の受付をもって終了と発表されています。
「タッパーウェアブランズ・ジャパン事業撤退」のリリースページ
https://www.tupperwarebrands.co.jp/information/news-all/info_241206