【那覇市】「¥500で食べられる琉球料理の感動食レポ」
毎月第3木曜日は沖縄県が指定する「琉球料理の日」だそうだ。和食、泡盛(過去記事参照)に続け、と沖縄県では琉球料理のユネスコ無形文化遺産登録を目指している。県庁前から国際通りに入ってすぐの「くにんだ那覇」は開業1周年を迎えたばかりだが、この「琉球料理の日」に特別価格(税込¥500)のランチメニューを提供している。通常、¥3,000~¥10,000くらいはする料理だが、一体どうなっているのだろうか?さっそく取材を申込み、厨房に立つ琉球料理伝承人でもある下地加寿子さんにお話を聞くことが出来た。食事も同額で提供いただいた。
この特別価格提供は来月以降も継続予定で、月に一度のこの貴重な機会に、「少しでも多くの方々に琉球料理の魅力を伝えたい」「琉球王朝時代からの伝統を後世に紡いでいきたい」という思いから、実施されている。各料理の名称もうかがったので、写真に名称を入れてみた。
琉球料理はおもてなしの料理であり、中国からの冊封使をもてなしたという史実も残っている。てぃあんだー(手の油)という言葉が残っているように、料理に時間をかけて心をこめて丁寧に作りなさい、という哲学が脈々と生きている。さらに薬膳料理という側面もあり、例えば、上記のゴーヤーンブシーについて下地さんが補足説明したのは、ゴーヤーは身体を冷やす作用があるため、冬場はンブシー(蒸し煮)のような調理方法の方が身体に良いのだとか。医食同源、ぬちぐすい(命薬)といわれる、沖縄が世界に誇るべき食文化である。
下地さんは琉球料理伝承人なのだが、この制度の説明をしておこう。沖縄県では調理師または栄養士の資格を有し、10年以上の実務経験がある方を対象とした「琉球料理担い手育成講座」の全カリキュラムを受講した者を、県が琉球料理伝承人と認証している。認証後も様々な研修があるようで、歴史的・地理的背景、行事食の由来、器などに至る総合的な理解を深め、調理法や味を受け継ぐための知識及び技術を習得し、次世代への継承及び観光資源としての活用に資する様々な取組みを行う、となっている。2026年には首里城正殿が復活するが、除幕式では全琉球料理伝承人が集められ琉球料理が招待客にふるまわれる計画があるという。史実にのっとった厳格な料理になることが予想される。松本嘉代子さんなど伝承人に琉球料理の神髄を教える料理研究家の方々も80歳代を超え、レシピを惜しみなく提供し文化伝承に勤めている。下地さんは70歳代だが、レシピをなぞっただけでは味わいは出せず、長年の試行錯誤が必要で、現在でも勉強すべき点が先輩研究家からの指導には多々あり、琉球料理の奥は深いと言う。
くにんだ那覇という店名を聞いて筆者が最初に思ったのは、おそらくオーナーさんは、久米三十六姓(くにんださんじゅうろくせい。明王朝時代に中国から派遣された役人。琉球王国に帰化した。琉球王国にて中国の灌漑技術や、儒教の教えなどを伝え、王府の要職に就く人物も現れた。)の子孫で、家系図などと一緒に自宅に王国時代の門外不出のレシピなどが残っており、という「琉球料理店美榮」のようなストーリーがあっての琉球料理店なのではと想像していたが、考えすぎだった。ただ、下地さん(旧姓渡久地)の先祖を辿ると程順則(名護親方)とのことで、歴史の重みを感じながら食するという体験が感慨深かったりもする。
次回の「琉球料理の日」は、2025年1月16日(木)に開催されるが、80食限定のため、予約が出来るのか、お店で並ぶ必要があるのかなど、お店のインスタグラムをチェックいただきたい。尚、お店では、合計14品、¥3,500で通常ランチメニューを提供しているので、そちらも次回食したいと思う。
*基本データ
名称:くにんだ那覇本店
場所 : 沖縄県那覇市松尾1-2-7 真喜屋ビル1F
営業時間 :
昼の部11:00〜15:00 (Lo.14:30)
夜の部17:00〜22:00(Lo.21:30)
定休日 : 無し
電話 : 070-1266-5821
公式サイト : https://kuninda.jp/
インスタグラム : https://www.instagram.com/kuninda_naha/