サルは著作権者になり得るのか?
「自撮りサルに著作権を=米愛護団体、裁判所に訴え」というニュースがありました。2011年に話題になった、動物写真家が放置したカメラを使ってサルが"自撮り"をしたことでできた写真の著作権はサル自身にあるとPETAという動物愛護団体が訴えているそうです(余談ですが、このサルの名前が「ナルト」であることを今知りました)。
PETAは「『この訴訟が成功すれば、動物に財産権が認められる初の事例となる』と意気込んでいる」、「『米国の著作権法では動物が著作権を持つことを禁じていない』と強調している」そうであります。
どこまで本気なのか、何を訴因にしているのかちょっと気になります。
このように裁判関連のニュースを調べる時には、アメリカは大変便利でPACERというオンラインサービスで(有料ではありますが)裁判情報がほぼリアルタイムで閲覧できます。今回は、PACERで調べるまでもなく、PETAによるプレスリリースから訴状へのリンクが貼ってありました。
訴状を見ると、何と「ナルト」が原告になっており、PETAがその後見人となっています。そして、被告はカメラを放置していた写真家とその写真を出版した出版社です。写真家が「ナルト」の自撮り写真の著作権を主張しているのに対して著作権は「ナルト」にあるという確認を求める訴訟ということになります。
日本でも、ウサギ等の動物が原告として環境破壊の差止めを求めて訴訟というようなニュースがたまに聞かれますが、これは裁判所に却下されるのを承知の上で、世間の耳目を集めるための広報活動という位置づけで行なわれていると思います。
一方、アメリカでは沖縄の基地移転関連の裁判で「ジュゴン」の原告適格を認めたケースがあります(Wikipediaエントリー「自然の権利」参照)ので、ひょっとするとこの裁判は単なる広報活動では終わらないのかもしれません。