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ウクライナ副首相「NATO諸国製やウクライナ製など1750機のドローンを戦場の最前線に送ります」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「ウクライナ国内でのドローン製造も加速していきます」

2023年9月にウクライナの副首相のミハイロ・フェドロフは自身のSNSで、1750機のドローンを戦場の最前線に送ることを明らかにした。副首相はショート動画の中で最前線に送るドローンの紹介もしていた。NATO諸国で使用されている監視ドローンやウクライナ製の攻撃ドローンなどが含まれている。副首相は「今回、最前線に送るドローンの中には既に戦場で実績のある秘密のドローンも含まれています。毎日ウクライナ政府は戦場の英雄たちにドローンを送り続けています。さらにウクライナ国内でのドローン製造も加速していきます」とコメント。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ウクライナ軍では監視・偵察目的で導入した民生品ドローンに爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍の上空から落下させてダメージを与えている。小型民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいく、いわゆる神風ドローンによる攻撃もよく行われている。今回の副首相のメッセージ動画の最後にもFPV神風ドローンがロシア軍の標的に突っ込んでいき爆破するシーンもある。

デジタル推進も担当しているミハイロ・フェドロフ副首相は、ロシア軍がウクライナに侵攻した直後から、ドローンの開発と調達を積極的に進めてきた。今回、最前線に送られるドローンもNATO諸国で使用されているものとウクライナ製である。副首相はウクライナ国内でのドローン製造だけでなく、世界中の政府や団体などにもドローン提供をよびかけており、多くのドローンがウクライナ軍に提供されている。

ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もイラン製軍事ドローン「シャハド」でウクライナ軍に突っ込んできたり、ウクライナ軍と同じように民生品ドローンに爆弾を搭載してウクライナ軍に爆弾を投下して攻撃を行っている。そのため両軍によって上空のドローンの迎撃と破壊も頻繁に行われている。ウクライナ軍はロシア軍のドローンを毎月数百機ほど破壊している。ウクライナ軍のドローンもロシア軍によってかなり破壊されている。

ドローンは監視・偵察用も攻撃用も何台あっても戦場では足りない。戦場での兵器は数がものを言う。クラウゼヴィッツも戦争論の中で「数の優位は戦術においても戦略においても勝利の最も一般的な原理である」(クラウゼヴィッツ著・清水多吉訳「戦争論(上)」中公文庫、2001年、P276)と語っていた。

▼1750機のドローンを戦場の最前線に送ることを発表するウクライナ副首相の公式SNS

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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