トルコ軍事企業、標的に突っ込み爆破する神風ドローン「KARGI」公開
トルコの軍事企業LENTATEKが新たな軍事ドローン「KARGI」を公開した。KARGIは標的を検知すると突っ込んでいき、標的を爆破して破壊することができる、いわゆる「神風ドローン」である。トルコとアメリカやフランスなど他の諸国との軍事演習EFES-2022で披露された(実際に同機での攻撃演習は実施していない)。
小型攻撃ドローンは上空から標的に向かって突っ込んでいき、爆撃することから「Kamikaze Drone(神風ドローン)」、「Suicide Drone(自爆型ドローン)」、「Kamikaze Strike(神風ストライク)」とも呼ばれている。標的を認識すると標的にドローンが突っ込んでいき、標的を爆破し殺傷力もある。日本人にとってはこのような攻撃型ドローンが「神風」を名乗るのに嫌悪感を覚える人もいるだろうが「神風ドローン」は欧米や中東では一般名詞としてメディアでも軍事企業でも一般的によく使われている。
ウクライナ紛争でも米国政府が提供した「Switchblade300」と「Switchblade600」の標的に突っ込んでいき爆破する攻撃ドローンが使われており「神風ドローン」は一般名詞となり定着した。ウクライナ語では「Дрони-камікадзе」(神風ドローン)と表記されるが、ウクライナ紛争を報じる地元のニュースで耳にしたり目にしたりしない日はないくらいだ。
ウクライナ軍が多く使用しているトルコ製の軍事ドローン「バイラクタルTB2」は上空から爆弾を落下させる。自らが標的に突っ込んで爆破するタイプではないので「Kamikaze Drone(神風ドローン)」ではない。
攻撃ドローンが上空から地上に突っ込んできて攻撃をして破壊力も甚大であることから大きな脅威だ。敵も攻撃ドローンを察知したら、すぐに迎撃して上空で破壊しようとする。上空で破壊されて攻撃に成功しないことも多く、標的を認識したからといって百発百中で敵を破壊できるわけではない。そのため実戦で使用されるようになったら、大量生産が求められる。
トルコは世界的にも軍事ドローンの開発技術が進んでいる。ウクライナ紛争で多く使用されているのがバイカル社が開発した軍事ドローン「バイラクタル TB2」。同機はウクライナだけでなく、ポーランド、ラトビア、アルバニア、アフリカ諸国、アゼルバイジャンやカタールにも提供している。2020年に勃発したアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフをめぐる軍事衝突でもトルコの攻撃ドローンが紛争に活用されてアゼルバイジャンが優位に立つことに貢献した。タジキスタンも購入を検討している。
バイカル社以外にもトルコでは多くの軍事企業が軍事ドローンを開発している。国連の安全保障理事会の専門家パネルが2021年3月に発表した報告書で、2020年3月にリビアでの戦闘で、トルコの軍事企業STM社製の攻撃ドローンKargu-2が兵士を追跡して攻撃を行った可能性があると報告していた。これは攻撃に際して人間の判断が入らないでAI(人工知能)を搭載した兵器自身が標的を判断して攻撃を行う自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)が実際の紛争で初めて攻撃を行ったとみられるケースと言われている。