【掃除の裏技】加湿器や電気ケトルの「白いカピカピ」、正体と撃退法は?
空気が乾燥しがちな冬は加湿器が大活躍。また、のどもよく乾くので、お茶などのためのお湯を沸かす電気ケトルの出番が増えているご家庭も多いのでは。ステイホームの生活で、おうちで淹れたての味を楽しめるコーヒーメーカーもフル稼働かもしれません。
こういった「水」周りの家電というもの、共通した独特な汚れが付着しがち。それは「白いカピカピした汚れ」。よく「水アカ」なんていいかたもされますが、「スケール」「鱗状痕(りんじょうこん)」などと呼ばれたりもします。浴室の鏡などによく見られる、白いシミのような汚れも同じ汚れの仲間です。
今回は普通の洗剤ではなかなか落とせないこの「白いカピカピ」の正体、またその除去方法についてご説明します。
水を使う箇所に共通して付着し、固まり堆積する「カピカピ」
油汚れのようなベトベト、細菌汚れのようなヌルヌルとは異質な、この汚れの感触は「カピカピ」「パリパリ」「ガリガリ」としたものです。洗剤を使っても落としにくく、これはなんだろうと訝しがりながら、そのまま放置すると、いつしかこの汚れは「ガジガジ」「カチカチ」した石のような状態になってしまうのです。
ずばりその正体は、水道水などに含まれるミネラル成分。炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムです。これらは水に含まれているものの溶けきれず、水分が蒸発するにつれ徐々に現れ、堆積してしまうという性質を持っています。
水分を空気中に放出する「加湿器」であれば主にタンクやフィルター部分に、水を沸かすことを繰り返す「電気ケトル」や「電気ポット」ならその本体内部に、「コーヒーメーカー」では水を湯に変える機構全体に、この「白いカピカピ」が付いてしまうのです。
「カピカピ」は酸で溶かす
この「カピカピ」になるまで蓄積してしまった汚れ。やってみたことがある人はわかるのですが、通常の食器洗い用洗剤(界面活性剤)などでは歯が立ちません。
では、なにで落とせばいいかというと、酸を用います。酸で炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを溶解して落とすのです。ただ、酸といっても、なんでもいいわけではありません。加湿器にしても電気ケトルにしても生活に密着した道具ですので、酸の中でもなるべく安全性の高い種類の酸を使わなければなりません。
手近に入手しやすく、扱いやすく、比較的安全なのが「クエン酸」です。
クエン酸はニオイのない白い粉で、水に溶けやすい性質を持っています。そのため密閉しておかないと空気中の水分を吸って勝手に溶けてしまうほどです。
水に溶かして作る水溶液は弱酸性を示し、舐めると爽やかな酸っぱさをもたらします。クエン酸の「クエン」というのは漢字で「枸櫞」、これはレモン(檸檬)の親戚であり、柑橘類全般の酸っぱさはこのクエン酸によります。
クエン酸は通常酸味を与える食品添加物として広く利用されていますが、「食品」ゆえの安全性から、薬剤の成分が口に入ることが懸念されやすい電気ケトルや電気ポット、コーヒーメーカーといった道具に付着する「カピカピ」汚れを落とす洗浄剤としても使用されます。またフィルターやタンクに残留した薬剤の成分を呼吸してしまいかねないことを危ぶまれやすい、加湿器の掃除にも適しています。
クエン酸は、ドラッグストアや100円ショップ、生活雑貨を扱うスーパーなどで買うことができ、価格は200グラム100円程度が目安です。掃除などに利用できるものでも食品添加物でも生成方法にあまり違いはありません。
「クエン酸」をどう使う?
では具体的に、この「クエン酸」をどう使っていけばいいのでしょう。
その方法は実は単純で、1〜2%濃度になるよう、ぬるま湯に溶かしたクエン酸水溶液をまず用意します。
加湿器の場合はタンクやトレイ、フィルタ等、「カピカピ」汚れのついた箇所を漬け込む形で汚れを溶解させます。
30分〜2時間程度浸け置くと、石化した汚れもグズグズに崩れやすくなりますので、スポンジや柔らかいブラシなどで力をこめずにこすり落とし、その後水道水でしっかり濯いで乾かします。
電気ケトル、電気ポットの場合はこのクエン酸水溶液を通常の湯沸しの要領でまず沸騰させます。そしてスイッチを切って1時間ほど放置し、汚れをじっくり溶かしつつ湯を冷まします。その後、クエン酸水溶液の湯を捨て、水道水でしっかり濯ぎます。
石化させてしまった期間が長い場合には、一度の沸騰・溶解では汚れを崩しきれないことがあります。その場合はタワシでこするなど力づくでは落とさず、もう一回クエン酸水溶液の沸騰から繰り返すようにしましょう。
コーヒーメーカーの場合はコーヒーを淹れるときと同じように(しかし豆は入れず)フィルターやコーヒーサーバー、サーバーのふたなど部品をセットし、水タンクの中にこのクエン酸水を入れてドリップさせます。ドリップが終わったら10〜20分ほど置いて汚れをしっかり緩めたのちに、すべて部品を取り外して水洗いし、乾かしましょう。
クエン酸そのものにはニオイはないのですが、汚れを溶解する際に出る若干独特なニオイが残ることがあります。気になる場合は濯ぎを念入りにし、電気ケトルの場合は一度水道水での沸騰、コーヒーメーカーの場合は水だけでのドリップを行うと良いでしょう。
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】