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「下北沢の駅前で1カ月半暮らしていました」本田みずほ、46歳の告白

中西正男芸能記者
思い出の下北沢で自らの半生を語った本田みずほ

 フジテレビ系「とぶくすり」などの出演で知られる本田みずほさん(46)。現在はアーティスト名・「Em Zed Eych(エムゼットエイチ)」としてアロマキャンドルの分野で注目を集めています。光浦靖子さんら19人のクリエイターとコラボしたアロマキャンドル展「みずほ万博」(12月1日~15日、大阪・LAUGH & PEACE ART GALLERY)も開催。独自の道を歩んでいますが、その裏には「下北沢の駅前で1カ月半暮らした」という壮絶な日々がありました。

新喜劇からアロマキャンドル

 数年前までは東京・ルミネtheよしもとでの新喜劇公演に出してもらうのがメインのお仕事になっていたんですけど、ルミネで新喜劇をやらなくなってしまって。

 となると、私の表現する場所というか、そういうものがなくなってしまうことにもなる。じゃ、新喜劇以外に何ができるんだろうと考えた時に、一つの表現方法として出てきたのがアロマキャンドルだったんです。

 昔からモノ作りは好きで、趣味でキャンドルはずっと作っていたんです。それを仲間内の集まりがあったりした時に手土産として持って行ったりしていて、中でも「COWCOW」の善しさんから「これは、絶対に本格的にやった方がいい」と言われまして。

 善しさんがやっていたギャラリーで個展をさせてもらったりする中で、キャンドルの仕事を本格化させていったんです。

 キャンドルって、人間みたいで、芯とのバランスや、材料の配合、香料や顔料によって火がつかなかったり、扱いの難しい人間と付き合っているみたいな(笑)。その奥深さも面白くて、どんどんはまっていったんです。

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間寛平との出会い

 なんとか、今はここまで来ましたけど、自分で考えても、いろいろあったなと思います。

 16歳の時に吉本のオーディションを受けて、当時は女性コンビを組んでいたんですけど、相方の子がお父さんの転勤で東京を離れることになり、コンビを辞めたので、私一人になったんです。

 相方もいなくなって、もうお笑いをやることもできない。完全に辞めるつもりで周りの方々にも挨拶もしていたんですけど、そのタイミングでたまたま寛平師匠のネタを見たんです。

 私は関西の出身でもなかったので、正直、寛平師匠のこともそんなに知らなかったんですけど、ネタを見た瞬間、衝撃を受けたんです。直感的に「このオジサンみたいになりたい」と思って。完全にこの世界を辞めるつもりだったのに、寛平師匠のネタでまた道がガラッと変わりました。

 弟子にしてほしいと挨拶に行ったんですけど「女の子だし、若いし、女性として幸せな人生を送ってほしい」と言われて最初はずっと断られました。ただ、それでも粘り強くお願いをして、高校卒業のタイミングで何とか弟子にしてもらいました。

禁断の恋

 そこからテレビのお仕事にも恵まれて、周りの方々にも恵まれて、ありがたい日々が続くんです。だけど、私が本当に何も分からず、共演者の方とお付き合いをしてしまったことがきっかけでレギュラーもなくなり、当時はお相手の方と一緒に住んでいたので、別れをきっかけに住むところもなくなりました。

 御法度というか、私がそんなお付き合いをし、そして、別れるということになったので、周りから人もいなくなって。どうしていいか分からなくなって。

 ふと気づいたら、下北沢の駅にいて、駅前で1カ月半座って暮らしました。本当は、どこかで師匠に連絡するべきだったんですけど、あまりにも急な変化だったのと、それをどう師匠に報告したらいいのか。そんな気持ちが相まって、結局、何も告げずに姿を消すようなことになってしまったんです。

 そこから下北沢の駅で出会った人との縁でその人のところに住ませてもらったり、あまり公にはしてこなかったんですけど、体を壊したりして、8年ほど時間が経ちまして。

 そのあたりで「めちゃイケ」(フジテレビ)の企画で私を探し出すことになったということで、それをきかっけに久々に仕事関係の人とお会いすることになり、光浦靖子さんが動いてくれたりもして、またこのお仕事をすることになったんです。

唯一の叱責

 もう一回、仕事することになったので、もう遅すぎる流れではありますけど、寛平師匠に挨拶に行きました。

 十代の頃から、私が何をしても一回も怒ったことがない師匠から、初めて怒られました。「どんだけ心配したと思ってんねん!」と。

 でも、またそこからは本当にありがたい話、本当に、本当に、優しく見守ってくださっています。今年も寛平師匠の新喜劇のツアーにも呼んでいただきましたし、私がキャンドルを始めようと思った時も「そんなすごい才能があるんやから、絶対にやった方がエエって!」と力強く後押ししてくださいました。

 一緒にお仕事をさせてもらっていても、例えば、私が自分が食べるお弁当を持っているだけで「そんな重いもん、運んだらアカン」とおっしゃるくらい、とにかく優しい。

 最近になって、ふと気づいたんですけど、当時、なぜ茫然自失の中、下北沢の駅に降りたのか。その頃、師匠が下北沢に住んでらっしゃったので、直接連絡はできないけど、どこかで会えるかもしれない。そんな思いがあって、無意識にというか、下北沢の駅で降りていたんです。

 何をするのが恩返しになるのか。それはずっと、ずっと、考えていることです。ただ、私なんかが考えても、答えは出ない。それくらい、師匠は大きな存在ですし、富士山みたいな存在だと思っています。

 角度によって見え方は変わったりもするけど、いつもどっしりしていて、きれいで、そして大きい。私が何をやっても師匠は応援してくださるんです。

 それが分かっているからこそ、ちゃんとしたものをお見せしたいですし、応援してくださることにふさわしい自分でいないといけないとも思います。真面目になりすぎちゃいましたかね(笑)。でも、でも、本当に強くそう思うんです。

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(撮影・中西正男)

■本田みずほ(ほんだ・みずほ)

1973年4月22日生まれ。神奈川県出身。吉本興業所属。高校在学中に吉本のオーディションをきっかけに芸能界入り。高校卒業後、間寛平に入門する。93年、フジテレビ「とぶくすり」のレギュラーとなり注目される。その後は音楽や劇場「ルミネtheよしもと」での新喜劇出演を軸に活動する。日本アロマ環境協会認定アロマテラピーアドバイザーの資格も持ちアーティスト名「Em Zed Eych(エムゼットエイチ)」として手作りアロマキャンドル作品も発表している。19人のクリエイターが参加する新作キャンドル展示イベント「みずほ万博」(12月1日~15日、大阪・LAUGH & PEACE ART GALLERY )も開催する。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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