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NY原油3日:OPEC総会を前に調整売りが膨らみ、急反落

小菅努マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

NYMEX原油7月限 前日比1.62ドル安

始値 61.02ドル

高値 61.43ドル

安値 59.34ドル

終値 59.64ドル

為替相場はドル安傾向を維持したが、5日の石油輸出国機構(OPEC)総会を前に買い玉整理の動きが強く、期近主導で急反落した。

OPEC総会を受けてOPECの産油政策が大きく変わることまでは想定されていないが、現在のOPEC産油糧は日量3,150万バレル前後と推計されており、3,000万バレルの公式生産目標値を引き上げる可能性葉十分に考えられる。また、イランが経済制裁の解除・緩和を見据えて増産傾向を強めている一方、OPEC他加盟国はイランの減産期に行った増産分を維持する意向を示しており、今後はイランの増産分がそのままOPEC全体の供給水準を底上げする可能性が高い。

既にサウジアラビアは日量1,000万バレルを超える大規模増産を行っているが、イラクも5月に日量20万バレルの増産を行ったのに続き、6月には更に生産・輸出量を拡大する以降を示している。こうした中でイランも増産傾向を強めれば、国際需給バランスに対しては改めて強力な緩和圧力が働くことになる。確かに米国ではシェールオイルの増産に歯止めが掛かっているが、それ以上にOPECが増産に踏み切れば、その需給引き締め効果は失われることになる。

米エネルギー情報局(EIA)発表の原油在庫(5月29日現在)は前週比-195万バレルと減少傾向を維持したが、APIの統計では逆に+180万バレルとなったことも、在庫減少を受けての一段安を想定していた向きの失望を誘っている。

原油需給に関しては、季節要因から米国の原油在庫に減少圧力が強まり易いことがポジティブ、国際需給の緩和状態が維持されていることがネガティブとなり、マーケットがどちらにより強い関心を向けるのかが焦点になる。ただ、5月上旬までみられたドル安の支援が薄れる中、引き続き下落リスクの方が大きい相場環境とみている。ドルが急落前の高値水準を回復すれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。

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マーケットエッジ株式会社代表取締役/商品アナリスト

1976年千葉県生まれ。筑波大学社会学類卒。商品先物会社の営業本部、ニューヨーク事務所駐在、調査部門責任者を経て、2016年にマーケットエッジ株式会社を設立、代表に就任。金融機関、商社、事業法人、メディア向けのレポート配信、講演、執筆などを行う。商品アナリスト。コモディティレポートの配信、寄稿、講演等のお問合せは、下記Official Siteより。

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