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元WBC暫定ライト級王者のMMA参戦表明

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:REX/アフロ)

 元WBC暫定ライト級チャンピオンのライアン・ガルシアが、UFC王者であるショーン・オマリー戦を希望している。ガルシアは、UFC会長であるデイナ・ホワイトに参戦の意思を告げた。

 2月26日(月)、ガルシア本人が「The MMA Hour」に出演し「既にデイナ会長にテキストメッセージを送った。彼の周囲にいる人たちにも、お願いしてもらっている。これ、やろうよ。デヴィン・ヘイニー戦後に実現させたい」と語った。

 来たる4月20日にヘイニーの持つWBCスーパーライト級タイトルに挑戦する予定のガルシアは、オマリー戦をボクシングマッチではなく、MMAルールでやりたいそうだ。ガルシアはコナー・マクレガーやフランシス・ガヌーら、他のUFCスター選手のボクサーとの対戦は、準備不足であったと指摘している。

Esther Lin/SHOWTIME 昨年4月、ジャーボンテイ・デービスに7回KOで敗れたガルシア
Esther Lin/SHOWTIME 昨年4月、ジャーボンテイ・デービスに7回KOで敗れたガルシア

 ガルシアは話した。

 「オマリーをボクシング技術でノックアウトするつもりだが、それは不公平だな。あくまでも、MMAで自分自身を試すべきだよ。自分がMMAに本気で取り組めることは分かっている。3~4カ月ほしい。毎日MMAのトレーニングに集中すれば、オマリーを倒せる。

 俺は凡人に理解できないコンディショニングを保っている。自分のすべてを懸けて、相手の土俵でショーン・オマリーを倒すよ」

ショーン・オマリー
ショーン・オマリー写真:ロイター/アフロ

 ガルシアの発言を受けたオマリーも、即、反応した。

  UFCチャンピオンは、「ガルシアがこちらの世界で通用すると信じているのなら、気が狂っている。愚かな妄想でしかない。もし、戦うのであれば、数分以内にお前を殺すことになる」とコメントした。

 ガルシアがUFC王者と戦うことになれば、確かに話題にはなるだろう。PPVの売り上げも期待できる。とはいえ、似て非なる競技だ。ルールが違うのだから、トレーニング方法も、体のつくり方もまるで違う。

 ジャーボンテイ・デービスに完敗したガルシアは、もはや主役となれないことを悟り、ボクサーとしての実力をアップさせることよりも、いかにカネを生むかにフォーカスしているように映る。

写真:REX/アフロ

 敗北から学び、足りない点を補う努力を見せることこそ、名ボクサーへの道ではないか。オスカー・デラホーヤへの文句を述べる前に、足元を見詰めてほしい。

 ゴールデンボーイも、付き合いきれない思いだろう。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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