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渡辺王将防衛か、広瀬八段奪取か?――第69期王将戦七番勝負最終第7局展望

古作登大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員
渡辺明王将は三冠堅守なるか(筆者撮影)

 渡辺明王将(35)に広瀬章人八段(33)が挑戦する第69期大阪王将杯王将戦七番勝負(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は第6局までを終え3勝3敗のタイ。最終第7局は3月25、26日に新潟県佐渡市「佐渡グリーンホテルきらく」で行われる。

 大一番の勝負を左右するポイントと戦型を各種データから予想してみた。

調子は両者いま一つで互角か

<渡辺王将の最近10局>

2月13日 叡王戦挑戦者決定戦第2局

対豊島将之竜王・名人 ●

2月16日 棋王戦五番勝負第2局

対本田奎五段 ●

2月20、21日 王将戦七番勝負第4局

対広瀬八段 ●

2月24日 叡王戦挑戦者決定戦第3局

対豊島竜王・名人 ●

2月27日 順位戦A級

対三浦弘行九段 ○

3月1日 棋王戦五番勝負第3局

対本田五段 ○

3月5、6日 王将戦七番勝負第5局

対広瀬八段 ●

3月13、14日 王将戦七番勝負第6局

対広瀬八段 ○

3月17日 棋王戦五番勝負第4局

対本田五段 ○

3月20日 竜王戦1組出場者決定戦

対三浦九段 ●

<広瀬八段の最近10局>

1月25、26日 王将戦七番勝負第2局

対渡辺王将 ○

1月29日 順位戦A級

対佐藤天彦九段 ○

2月5日 竜王戦1組

対佐藤天彦九段 ●

2月8、9日 王将戦七番勝負第3局

対渡辺王将 ●

2月20、21日 王将戦七番勝負第4局

対渡辺王将 ○

2月27日 順位戦A級

対木村一基王位 ●

3月5、6日 王将戦七番勝負第5局

対渡辺王将 ○

3月11日 竜王戦1組出場者決定戦

対阿部健治郎七段 ●

3月13、14日 王将戦七番勝負第6局

対渡辺王将 ●

3月23日 棋聖戦本戦1回戦

対三浦九段 ●

 渡辺王将は王将戦と同時に棋王戦五番勝負でも防衛戦を戦っていたが新鋭本田五段を3勝1敗で降し8連覇を達成した。しかし直近10局の数字を見ると4勝6敗の負け越し。過密スケジュールで調子を維持することは三冠(棋王、王将、棋聖)のトップ棋士であっても難しいようだ。

 同様に広瀬八段の直近10局も4勝6敗で。両者トップ棋士との対戦ばかりとはいえお世辞にも順調とはいえず互角であろう。

最終局は振り駒が焦点

 タイトル戦の最終局は公平性を期するため改めて振り駒が行われる。番勝負では「先手番キープ」が重要とされるが不利とされている第5局の後手番で広瀬八段が勝ち、第6局の先手番では1日目に広瀬八段が早々と優勢を築き「タイトル奪取の可能性が高い」と多くの関係者は予想していた。

 だがそこから渡辺王将は巧みに粘って広瀬八段のミスを誘い、終盤で逆転勝ちしたのはさすがの勝負術だった。この流れは渡辺王将にとって防衛のプラス材料だ。

 互いに先手番を「1つずつブレーク」しての最終第7局、シリーズを通じ先手番が序盤からリードする展開が続いているので振り駒で先手になった方がかなりのアドバンテージを得るだろう。

 戦型は渡辺王将先手なら矢倉か角換わり、広瀬八段先手なら渡辺王将が後手雁木などの「変化球」で応じると予想する。

大阪商業大学アミューズメント産業研究所主任研究員

1963年生まれ。東京都出身。早稲田大学教育学部教育学科教育心理学専修卒業。1982年大学生の時に日本将棋連盟新進棋士奨励会に1級で入会、同期に羽生善治、森内俊之ら。三段まで進み、退会後毎日コミュニケーションズ(現・マイナビ)に入社、1996年~2002年「週刊将棋」編集長。のち囲碁書籍編集長、ネット事業課長を経て退職。NHK・BS2「囲碁・将棋ウィークリー」司会(1996年~1998年)。2008年から大阪商業大学アミューズメント産業研究所で囲碁・将棋を中心とした頭脳スポーツ、遊戯史研究に従事。大阪商業大学公共学部助教(2018年~)。趣味は将棋、囲碁、テニス、ゴルフ、スキューバダイビング。

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