この時代に生きててよかった! TXTのVRコンサート「HYPERFOCUS」で体験した神席超えレポ
この時代に生きててよかったーー。
一本の映画を観終えて、こんな言葉を思わずつぶやいたのは初めてかもしれません。
ライブを最前列で観るのが、ずっと夢でした。高校一年生の時、片道三時間電車を乗り継いで初めてコンサートに行ったのに、スタジアムの天井席から見た推しのアーティストは、豆粒より小さかった。以来、数百回ライブに行ったけれど、チケッティングのスキル不足か、運がないのか、最前列体験はいまだゼロのまま。
そんななか届いた「HYPERFOCUS:TOMORROW X TOGETHER CONCERT」のプレス試写会の案内状。そこには「“最前列よりも近く”で楽しめるVRコンサート」と書かれていたのです。憧れの神席で、TOMORROW X TOGETHERに会える!
……早速、試写会に行ってみました。
会場は、一見普通の試写室です。でも、目の前にはVRのヘッドセットが。テーマパークのアトラクションのようなワクワク感が高まります。
上映に先立ち、担当者からはこんな案内がありました。
「わたしが口で説明するよりも、みなさまに実際ご覧いただくのが一番わかりやすいと思うんですけれども、本当に最前列以上の近さでパフォーマンスを見たり、まるでメンバーに見つめられていたりするかのような体験を、お楽しみいただけるのではないかと思います」
ヘッドセットを着けると、周りの音が遮断され、光またたく宇宙のような空間に一気にワープ。視界に「手の認識画面」が現れて、手を前に差し出すと、あら不思議。バーチャルの画面に手が入り込み、ロボットのようなラインで映し出されます。
「リストバンドをつけてください」という指示に、「あれ、リストバンド持ってないけど。入り口でもらうの忘れたのかな」と思うやいなや、画面に浮かび上がったリストバンドが手首にカチッと装着されたのでした。「おー、これがVRか!」とテンションがUP。周りからも「うわぁ……!」と驚きの声が聞こえてきました。
それだけではありません。「失われた光のかけらを一緒に探しにいくメンバーを選んでください」という画面でメンバーを選ぶと、そのメンバーが至近距離に歩み寄り、MOA棒(ライトスティック)を手渡してくれるのです。MOA棒は手を開くと星屑のように消え、手を握ると掌にシュッと戻ってきます。「おー、これがVRか!」とテンションがMAXに。
メンバーにいざなわれるように神秘的な森の中に入っていくと、そこは自分だけが観客(と、大いに妄想がかきたてられる)の、超プライベートなコンサート会場です。
回し蹴りからほくろまで「全方位」で楽しむ迫力のライブ
代表曲の「Sugar Rush Ride」から最新曲「Deja Vu」まで、妖艶&繊細&パワフルなTXTの魅力を全方位から堪能できるトラックリスト。セットは時空を超えて、森からニューヨーク風の街角、駐車場、そして砂漠へ。
それだけではありません。文字通り、すべてを「全方位」で楽しめるのがVRの醍醐味です。正面からダンスフォーメーションの迫力を味わったかと思えば、突然ぐーんとクローズアップ! 「Good Boy Gone Bad」では、ほぼゼロ距離に立つBEOMGYUが火をつけた薔薇の炎に思わず顔をそらしたり(もちろん熱くない)。「Deja Vu」では、YEONJUNの華麗な回し蹴りを浴びたり(もちろん痛くない)。
さらに驚いたのは、12K解像度の映像が映し出す、リアルな細やかさです。ダンスとともに揺れるBEOMGYUのさらさらの髪、HUENINGKAIのほくろ、YEONJUNの頬にきらめくラメ、TAEHYUNのくりっとした瞳の中でまたたく星、なぜかずーーっと見つめられているような気がするSOOBINの目線……。特筆すべきは、驚愕レベルでなめらかな肌(劇場でご確認を)!
通常のライブ以上の臨場感に圧倒されながら、ライブでは観察不可能なディテールの発見や没入感を味わえるVR、おそるべし。
ちなみに、YEONJUNの回し蹴りは製作陣もイチオシのシーン。VRを手がけたAmazeVRのキム・ホンチャン監督曰く、「YEONJUNさんにたいして、『カメラが壊れてもいいから、観客の方々が身を引くような迫力が伝わるように回し蹴りをしてくれ』と伝えた。本当に壊れるんじゃないかとヒヤヒヤしていたけれど、5cmぐらいのギリギリの距離で見事に決めてくれて感動しました」。
また、肌はなんと、ほぼ無修正。2Dと違ってフレーム数が多い3Dで補正作業をするのは難しく、キム監督によると「VRに映し出される姿は、実際と100%同じといえるでしょう」とのこと。
TOMORROW X TOGETHER、おそるべし!
バリアフリーなライブの可能性を秘めたVR
後半のメイキングシーンも含めて、本編はあっという間の約40分。夢から覚めるのを惜しみながらヘッドセットをはずした瞬間、会場のあちこちから「いや~、すごい……すごかったですね!」という声が聞こえてきました。試写に来た記者や映像のプロたちも思わず語彙を失ってしまうほど。掛け値なしで「すごい」体験だったのです。
そう、この試写レポートもしかり。VRでの立体的で時空を超える体験は、2次元の文字ではとうてい表現が及ぶものではないのかもしれません。上映前に担当者が言った、「わたしが口で説明するよりも、皆様に実際ご覧いただくのが一番わかりやすいと思うんですけれども」というコメント。百聞は一見に如かず。まさに、これに尽きるといえるでしょう。
最前列どころか神席さえも超えてくる、未知との遭遇体験。確信したのは、ライブの楽しみ方を変えるVRの可能性でした。「コンサート会場が遠すぎる」「健康上の問題で遠出ができない」。そんなハードルをひょいと飛びこえるのが、VRコンサート。
ライブ体験はますますバリアフリーになっていく。ヘッドセットさえあれば、映画館はもちろん、自宅でもド迫力かつ全方位で魅せるアーティストと音楽に逢える。そんな夢が叶う未来は、もうすぐそこまで来ているはずです。
「HYPERFOCUS : TOMORROW X TOGETHER VR CONCERT」
主催:HYBE JAPAN
企画:BIGHIT MUSIC
制作:AmazeVR
写真クレジット:HYBE JAPAN