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台風9号発生でまたもや台風と熱帯低気圧が渋滞する列島…20日は全国的に傘が必要:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
20日9時の予想天気図(気象庁HPを元に作成)。日本列島に暖湿気が入りやすい構図

19日3時、沖縄付近の熱帯低気圧が台風9号となり、さらにはその南側でも熱帯低気圧が北上していて、今月何度目かの台風と熱帯低気圧が"渋滞"する天気図になっています。

台風も熱帯低気圧も低気圧の仲間なので、反時計回りの風が吹き、日本列島に南から暖かく湿った空気を流入させます。
台風の影響を直接受けない地域でも雨が降りやすく、関東北部を中心に雷雨や突風などの激しい現象に注意が必要です。

台風9号は北上して朝鮮半島付近で温帯低気圧に

台風9号の予報円(気象庁HPより)
台風9号の予報円(気象庁HPより)

台風9号はこのあと、ほぼまっすぐ北上する予想で、明日21日(水)夜までには朝鮮半島付近で低気圧に変わる見込みです。

少し細かい話ですが、いったん熱帯低気圧に変わったあと、寒気と混ざりあって温帯低気圧として発達しながら東へ進み、日本海そして北海道付近まで到達する予想。
活発な前線も伴って進んでくる可能性もあり、今週後半は全国的に雨が降りやすく、特に北日本や日本海側を中心に雨の量が多くなるおそれがあります。

20日は全国的に曇りや雨に

20日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
20日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

20日の天気は、簡単に言うと「どこで雨が降ってもおかしくない」という状況です。

沖縄~奄美は熱帯低気圧から変わった台風に向かう南風によって暖湿気が流れ込み、いったん天気が回復しても再び雨が降るおそれがあります。

九州~関東・東北南部は台風周辺の暖湿気や上空の寒気の影響で、広く大気の状態が不安定に。特に関東北部や中国地方・九州北部で発雷確率が高くなっています。

さらに東北北部から北海道では気圧の谷に伴う雨雲が通過するため、午前は北海道中心、午後は東北北部中心に雨になりそうです。なお北海道では前日と比べ気温が大幅に低いところもあるでしょう。

台風通過後は季節が進む?

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

台風9号はこのさき北上しながら朝鮮半島付近で低気圧に変わったあと、23日(金)~24日(土)頃には北日本や日本海側を中心に広い範囲で雨を降らせてから、東へ抜けていく見通しです。

そのあとの予想にはまだブレがありますが、この低気圧が抜けたあと、日本海から秋雨前線が南下してきそうです。
秋雨前線が日本列島を通過していったあとは、ようやく猛暑のピークを抜けそうです。
ただ、台風から変わる低気圧同様、秋雨前線によっても雨の量が多くなるおそれがあるため、引き続きこまめに情報を確認してください。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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