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映画「シン・ゴジラ」は怪獣映画ではなく政治映画だった

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
六本木ヒルズで初日公開を鑑賞

KNNポール神田です!

2016年7月29日金曜日 映画「シン・ゴジラ」が日本で公開された。

公式サイト

http://shin-godzilla.jp/

ある意味、渡辺謙氏も出演した、あの「ガッジーラ」こと、「GODZILLA(2013)」ギャレス・エドワーズ監督作品の完成度が高かっただけに、新たな期待をかけられている。そして、総監督がエヴァンゲリオンシリーズの庵野秀明氏、そして、監督は、ガメラシリーズの特撮で知られる樋口真嗣氏。二人は、短編映画「巨人兵東京にあらわる」でもタッグを組んだ。この作品をきっかけに東宝側からオファーがあったそうだ。さて、この二人が手掛ける21世紀の新しい東宝ゴジラはどんなゴジラになるのだろうか?

最新シン・ゴジラのモーションキャプチャーアクターは野村萬斎氏

野村萬斎氏が演じるシン・ゴジラ
野村萬斎氏が演じるシン・ゴジラ

シン・ゴジラは100パーセントCGで作成されるということだった。公式ツイッターで公表されたのが、モーションキャプチャーでゴジラを演じたのは、狂言師の野村萬斎氏だった。

https://twitter.com/godzilla_jp

映画でのシン・ゴジラの動きを、考えると、今までのゴジラとは全く別物だ。おそらくハリウッド版のゴジラとは、まったくちがった見え方がしたのは野村萬斎氏の力量だったのかもしれない。

ウェブでのプロモーションは、自分が「シン・ゴジラ」になって東京に上陸できる

シン+○○○でタイトルがジェネレート
シン+○○○でタイトルがジェネレート

公式サイトでは、ネットプロモーションとして、シン・ゴジラに変身できるサービスがある。自分の写真をアップロードし、着ぐるみを選ぶだけ。「進撃の巨人」の実写版も、樋口真嗣監督だったので、シン・ゴジラというよりも、「シン・進撃の巨人」といったほうがよさそうだ。カタカナでジェネレートしてくれるロゴだけでも映画の雰囲気を見せてくれる。

https://extra.shin-godzilla.jp/

シン・ゴジラというよりも進撃の巨人
シン・ゴジラというよりも進撃の巨人

日本の政治・官僚システムを描いた映画「シン・ゴジラ」

ニッポンVSゴジラ
ニッポンVSゴジラ

「シン・ゴジラ」は、まさに、ニッポンの政治システムVSゴジラであった。

「シン・ゴジラ」は、ありとあらゆる未曾有の想定外の国難の権化を象徴している。それに、我が国が、対峙した時に、どういうプロセスで、どういう意思決定のシステムでアクションがとられるかが、このシン・ゴジラでは描いている。

通常、ゴジラ映画のプロットは、「ゴジラ+対応する政府+報道メディア+逃げ惑う国民」という比率だが、庵野+樋口シン・ゴジラは、対応する政府にフォーカスを絞り込んでいる。その中でも、最高決定者の総理大臣。関係閣僚、官僚、学者、そして外圧というそれぞれのレイヤーによって生じる意見の衝突もシニカルに描いている。1954年の初代東宝「ゴジラ」のオマージュもたくさんだが、現在の法律によって、縛られている自衛問題もこの映画が一番こだわりを持って描かれている。現在の自衛に関する法律が、巨大生物を想定して作られていないなどの庵野総監督ならではの指摘も垣間見せる。総理大臣、東京都知事の役割などのセクショナリズム、そして、国連決議となった場合の想定に至るまで…。非常時の社会システムの決定者とプロセス、それをささえる官僚たちと、311東北大震災を彷彿させる御用学者たち。あの311の時の、連日の記者会見もこのようにおこなわれてきたのだろうと類推させてくれる。「シン・ゴジラ」は憲法改正問題も含めて、この国の社会システムは、本当に機能しているのかと、我らニッポンに問いかけている怪獣映画ではなく、政治映画であった。

明日は、東京都知事選挙の投票最終日、あの都知事ポストに誰がいたら東京が守れるのかとも思い、候補者を再検討したくなった「シン・ゴジラ」であった。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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