【丸亀市】合わせて168歳!80代の2人が「毛筆と写真で競演」 12月17日までカフェで二人展開く
人生100年時代、何歳になっても趣味や仕事を楽しみたい時代になりました。丸亀市津森町のカフェ「Mu(ムー)」で12月6日、「二人で168てん満点 佐藤道子85才と樋笠幸三83才の二人展」が始まりました。アマチュア写真家の佐藤さんの写真に、墨アーティストの樋笠さんが毛筆を添えた作品展です。二人合わせて168歳という異色のコラボを楽しんでみませんか。
佐藤さんの写真に樋笠さんが毛筆をプラス
フグのアップの写真には、河豚の文字。海に夕陽が沈む風景には、山の文字。佐藤さんと樋笠さんが生み出したコラボ作品です。カラフルな写真に墨が入ることで、引き締まった印象をもたらします。
樋笠さんは「写真を見て、素直に感じたことをそのまま墨で描きました」と解説してくれました。一方の佐藤さんは「私の写真には何かが足りないと感じていたのですが、墨が入ることで写真が生きたと思います」と嬉しそうです。
2人の出会いは、2022年。佐藤さんが取り組んでいる写真の方向性について、墨アーティストとして尊敬している樋笠さんにアドバイスを求めたことが、今回の展示のきっかけです。
70歳で写真撮影を始めた佐藤さんは多度津町在住。好奇心のおもむくままに身近な風景を一眼レフカメラで撮影しています。佐藤さんは「高齢になったので、趣味を一緒に楽しむ仲間が体調を崩してしまうこともあります。そんな時、好きな時に一人でできることとしてカメラを選びました」と話しました。
一方、善通寺市出身の樋笠さんは小学5年生の時に書道を始め、個展開催などの経験も豊富な墨アーティスト。書に向き合って70年にもなるベテランです。「佐藤さんが80歳を過ぎて自分の方向性を見つけようと模索していることに共鳴し、まだ元気な80代の二人で展覧会をしようということになりました」と樋笠さん。「佐藤さんの画像には、墨の世界にはない奇想天外な彩(いろ)がありました。すぐに競演してみたいと思いました」と振り返りました。
続けられたのは「好きだから」
二人展を持ちかけられた佐藤さんは「個展の経験がないので不安でした」と言います。でも、樋笠さんに「作品が自分の視点で撮られていて面白い」と励まされ、思い切って二人展を開催することを決めたそうです。
実は、樋笠さんは要介護2の認定を受けており、体調が万全とは言えない中で佐藤さんとのコラボ作品を手掛けました。今回展示されている40枚ほどの作品は、佐藤さんが見守る中、2時間ほどで一気に描き上げたそうです。
樋笠さんは「筆を持ったら元気になりました。ここまで続けられたのは、墨で描くことが好きだから。私も佐藤さんと同じように、これから新しい表現に挑戦したいと思っているので、佐藤さんと出会えたことは、私にとってもターニングポイントでした」と話していました。
佐藤さんは健康に不安はないものの、以前のようにアクティブに活動できなくなったと感じています。それでも「まだ納得できる写真を撮れていません。納得できる写真を撮りたい」という気持ちを抱き、一眼レフカメラを片手に好きな風景を探す日々。樋笠さんが写真に毛筆を添えていく様子を「どんな表現が生まれるのだろう」という思いで見つめたそうです。
「今回のコラボでは、『1たす1』が3や4になっていると思います。作品を見に来てくれた人が自由に何かを感じてもらえたら」と樋笠さん。「何百枚もの作品の中から、心を込めてシャッターを切った作品を選びました。一人でも多くの人に見てもらいたいです」と佐藤さん。
今回の二人展では、およそ40枚ほどの作品が展示されています。会場はカフェですが、料理やドリンクを注文せず、展示だけを見て帰ることも可能です。佐藤さんと樋笠さんも会期中は会場にいる予定なので、気軽に話しかけてみてください。
「好きなこと」を忘れず、元気に活躍している80代の2人。作品に触れてみたら、「明日も頑張ろう」と元気を分けてもらえるような気がしました。
基本情報
名称 : 「二人で168てん満点 佐藤道子85才と樋笠幸三83才の二人展」
住所 : 香川県丸亀市津森町815-14 カフェ「Mu(ムー)」
アクセス : JR丸亀駅から車で5分程度(駐車場あり)
開催日 : 12月6日から12月17日まで(11日と12日は定休日。最終日は午後3時まで)
時間 : 午前11時から午後3時(水曜から金曜)、午前11時から午後8時(土・日曜)
入場料 : 無料