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サンウルブズ堀江翔太キャプテン、開幕メンバー発表後に「寝付けなかった」と告白【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
都内では家族とともに居住。チーム一丸の意を発信する。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

世界最高峰リーグのスーパーラグビーに今季から初参戦する日本のサンウルブズは、2月27日、東京・秩父宮ラグビー場でライオンズとの開幕節を迎える。当日のメンバーが発表された25日、同・サントリー府中グラウンドで堀江翔太キャプテンが共同取材に応じた。

ライオンズは南アフリカがベースとなったチームで、昨季は15チーム中8位。18チームが4つのカンファレンスに分かれて戦う今季は、南アフリカカンファレンス2に参画。

同1に入っているサンウルブズは、堀江キャプテンがフッカーで先発するほか、ロックの大野均、ウイングの山田章仁ら、昨秋のワールドカップイングランド大会の日本代表が10人、メンバー入り。元レッズのエドワード・カークがナンバーエイトに、サントリーでプレーするトゥシ・ピシがスタンドオフに入るなど、13日のトップリーグ選抜戦(愛知・豊田スタジアム、52―24で勝利)で活躍した選手のうち体調万全な選手が先発する。チームは14日から9日間の沖縄合宿をおこない、23日、上京していた。

過去にレベルズの一員として同リーグへ参加していた堀江は、身長180センチ、体重104キロの30歳。昨秋のイングランド大会では日本代表の副キャプテンを務め、過去優勝2回の南アフリカ代表などから3勝を挙げている。2月5日、新生チームの初代キャプテンに任命されていた。

スクラムの最前列中央に位置するフッカーという黒子役的なポジションを務めながら、球を持った際のランニングやパスの技術でもファンを魅了する。時には相手守備網の裏へ短いキックを転がすなど、スキルフルなプレースタイルの持ち主だ。

以下、会見時の一問一答。

――メンバーが決まりました。

「試合をやってみたいとどうなるかわからない部分もある。とにかく、ここまでの短い期間にしては100パーセントの準備はした(チームは2月上旬に本格始動)。あとは選ばれた選手がどんなパフォーマンスをするか。グラウンド上でいい判断、いいプレーをして、いいゲームができたらなと思いますね」

――いよいよ2日後に開幕。仕上がりは。

「いい感じですよ。沖縄キャンプで細かいところまで詰められて、大分コミュニケーションも取れるようになった。100とはいかないまでも、90までは来た。実際、グラウンド上に出たら、僕らのやりたいことが通用するか、逆に足りないところはどこかがわかる。しっかり、チャレンジしたいですね」

――当日までは。

「キャプテンズラン(前日練習)はたくさんし過ぎてもいいことはないので、いままでやってきたことの確認ぐらい。しっかり相手をリスペクトするんですけど、『スーパーラグビーだからと言ってビビらずに、自分たちのプレーに集中しよう』『個人個人、いいところはあるんだから、それを出せるような試合にしたい』と。その辺のことは伝えたいです」

――スーパーラグビーのシーズン中、苦しい時に助けてくれそうな選手は。

「キンさん(大野)、ハル(センターの立川理道)、ユウ(センターの田村優)と、去年のワールドカップに出ている選手は、話さなあかんことや助け合うということをわかっている。頼りにしようかな、と。選手は皆、サポートしてくれる。だんだん僕が言わなくても喋れる雰囲気は出てきている。もっと、喋っていきたい」

――チームとしての強みは。

「全員が戦術理解をしているってところじゃないかと思いますね。どう動くかは、毎練習、毎練習、確認してきましたし。自分らの役割も確認してきた。自分らの戦術略さえ守ればボールも動くし、ディフェンスでも前に出られる。個々の激しさに関しては、実際にやってみて(相手の力関係が)出てくるところかなと思います」

――チームには日本でプレー経験のない外国人選手もいますが。

「外国人には勝手にやりそうなイメージを持っていたんですけど、意外とここの選手は、チームとしてやらなあかんということがまず頭にある。それを態度や言葉に出してくれる。黙々とラグビーをやっている。もっと、自由にどんどんコメントをしてくれてもいいと思うのですけど、まぁ、助かっていますね」

――試合では、外国人選手がキーになるか。

「激しさは僕らより持っている。先頭に立ってガツガツ行って欲しいですね」

――キャプテンとしての役割は。

「判断が求められると思うんですけど、僕1人で判断しない。ハル、ユウ、トゥシ、キンさん、カーキ(カーク)など、周りの声を聞いていい判断をしていきたい。個人としては先頭に立って身体を張るところで張らなだめ。頭を使うことと身体を張ることのバランスは取っていきたい」

――気持ちと意気込みは。

「楽しみですね。緊張してますよ。変な緊張で、なかなか寝付けなかったりもしますし。でも、やってみないとわからない。僕らはチャレンジャー。いい試合をしたいと思います」

(以上、代表質問への回答。以下、当方含む参加者との質疑)

――緊張。レベルズでのデビュー時の緊張とは違いますか。

「あの時は自分の仕事だけをひたすらやっておけばよかったけど、今回は、ねぇ。キャプテンだし、初めてのチーム。通用するのかしないのかが、楽しみでもあり不安でもあり、というところです」

――寝付けない、と仰っていましたが。

「住むところが都会ってのが理由かもしれないです(チームが貸与した住居は都内にある)。都会が、合わないかもしれないです。はははは。近づくにつれて緊張が増してきてるんでね。まぁ、ここまで準備が終われば後はやるだけ。きょうまでは毎練習、どれだけ質を高くできるか、そのためにどんな言葉をかけたらいいのかを考えてえしまいました。もう、やることはやったので、緊張は大分ましになるかもしれないです」

――短い準備期間でしたが、そのなかでの仕上がりとしては…。

「ですね。練習、観てました? 大分、皆の声も出ていたので。(チームがまとまるのは)早いんじゃないですか。ここからも、歩みを止めずに行きたい。試合をするたびに前進をしながらいければいいかなと」

――(当方質問)沖縄合宿の頃からそうでしたが、実戦練習で控え組同士も声を掛け合っています。この状態を作るためにどんな工夫を。

「ですね。工夫ってことでもないですけど、話しやすい雰囲気を出したいので。例えば、去年の代表選手だけで固まってしまうと、(ワールドカップまでの道のりが)きつかった分、その話で盛り上がっちゃうことがある。僕は、代表選手じゃなかったトップリーグの選手が話しやすいようにしたかった。誰かがコメントを出したら『いいね』とか、『間違ってないよ』と言ったり。いい事も、悪い事も、そいつが何かを起こしたら、何か反応しようとは心がけましたね」

――(当方質問)合宿序盤、そこを意識したのですね。

「そうですね、そうですね。でも、僕自身も(すべきことを)ピッと頭に入れてしまえば、それを普通の行動としてできたりする。あまり意識せんでもそうなっているかもしれないです」

――セットプレーと守備の完成度は。

「ディフェンスは、ハルが13番(不慣れなアウトサイドセンター)だったりで、あまり慣れてないところもあると思うんですけど、ラグビー選手としての能力は高い。どれだけ順応できるかというところ。セットプレーは、やってみてどれくらい通用するか。スクラムは、プロップの稲垣(啓太)と垣永(真之介)と話しながらやっていく。スクラム、キーになるので、あまりプレッシャーを受け過ぎないようにやっていこうかなと」

――19日、マーク・ハメットヘッドコーチが母の死去のため離日。影響はありますか。

「はじめはドタバタしましたけど、リーダー陣とフィロ(ティアティア アシスタントコーチ)のサポートもあって、取り戻せたと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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