かつて世界史上に存在した信じられない税5選
正確な記録はなされていませんが、税制度は人が共同体を営むようになってから実在していたと考えられています。
例えば狩猟や採集で得た収穫物はそのまま自分たちで食べるのではなく、一度神様に捧げられてから民に再分配されていたという説がありますが、この形態も一種の税と考えられているそうです。
また労働対価として納める税もあります。
今回は、そんな長い歴史を持つ少し変わった税、取り入れられそうになったやばい税について紹介します。
ひげ税(ロシア)
17世紀後半、海外進出と交易を一手に握るようになっていた西ヨーロッパを中心に「髭を剃ること」が流行していました。強大な国家を作り上げたいと考えたピョートル1世は交易で成果を挙げていた西欧に注目し、皇帝でありながら自ら西欧を視察すると「近代化させるため」髭を剃ることを強制します。
とはいえ、当時のロシアで髭のない男性は信用されません。高額な「ひげ税」をかけて貴族や国民に髭を剃らせようとしました。
乳房税(インド)
19世紀初頭に課せられたインド南部の国にあったとされる税で、乳房を隠すために税金を払わなければなりませんでした(カースト下位の女性に限られています)。
廃止された理由は、納税を強要する税務調査官の前で乳房を切り落として死亡するという事件が起こったからとも言われています。
トイレ税(古代ローマ)
古代ローマ人たちにとって尿は衣服の洗濯や歯のホワイトニングなどに使う欠かせない液体でした。
皇帝ウェスパシアヌス(在位69−79年)は、これに目をつけ公衆トイレに溜まった尿を取引する業者に税を課しています。あまりにも衝撃的だったのかイタリアでは「ヴェスパシアーノ」が男性用公衆トイレを意味する言葉となりました。
※尿にも含まれる尿素という成分は加工されて現代でも歯磨き粉などに使われているほか、アンモニアも水で落ちないスーツやジャケットの丸洗い、血液のシミ落としに使われています。
臆病税(イングランド)
中世のイングランドで課せられた「王と共に戦争に行きたがらない騎士」に対する税。
ヘンリー1世の統治下から始まったとされますが、状況が大きく変わったのは失地王ジョンの時代です。なんと税率300%にまで引き上げたということで、かの有名な『マグナ・カルタ』が突きつけられた一因とも言われています。
空気税(フランス)
最後に紹介するのが衝撃の空気税。ルイ15世の財務総監エティンヌ・ド・シルエットが提案した税金です。当時はイギリスを中心とした国との戦いで敗戦が続いて財政難になっていた事で取り入れようとしましたが、周囲から大反対を受け導入には至りませんでした。
そんな無茶な税を取ろうとしたために『無能大臣』とあだ名が付けられ、すぐに辞任する事となりました。その汚名返上のためなのか、節約に努めたことでお金のかからない影絵で肖像画を描く技法『シルエット』が編み出されたという逸話が残っています。
以上、おかしな税金5選の紹介でした。他にも長い歴史の中で煙突税、カエル税、窓税、子ども税など不思議な税が作られては消えていきました。