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【アイスホッケー】試合開始午後6時 試合終了深夜2時半 世界記録を更新した史上最長のマラソンゲーム!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
世界ランキング11位のノルウェー男子ナショナルチーム(写真:ロイター/アフロ)

NHLを筆頭とする北米のプロリーグでは、プレーオフ進出を目指し、レギュラーシーズン終盤の戦いが続いています。

その一方で、国際アイスホッケー連盟(IIHF)が主催する「世界選手権」が、来月から5月にかけて開催されることから、ヨーロッパやアジアの各国では、まさに今が、“プレーオフシーズン真っ只中” です!

▼試合時間8時間30分にも及ぶ超ロングゲーム

北欧のノルウェーでも、10チームが加盟するトップリーグでプレーオフが行われていますが、週末の日曜日にハーマルで行われた試合は、

試合開始 → 3月12日(日曜日)午後6時(現地時間)

試合終了 → 3月13日(月曜日)午前2時半一部の報道では 2時32分

という「8時間30分」にも及ぶ超ロングゲームになりました。

▼平均的な試合時間は?

IIHF(と所属する国)が主催するアイスホッケーの試合は、(年代などのカテゴリーによって異なりますが)1つのピリオドは20分。間に15分のインターミッションを挟みながら、3つのピリオドの合計得点によって勝敗を決めます。

オフサイドやペナルティなどによって、試合中にプレーがストップした際には、ゲームクロックもストップするため、上に記した時間の合計よりも試合の時間は長くなります。

参考までに、同じく日曜日に国内で行われたアジアリーグの試合時間を見ると、「2時間14分」「2時間19分」で、これが、おおむね平均的な試合時間だと言えるでしょう。

▼ゲームウイニングショットで決着

もし、3つのピリオドを戦い終えても決着がつかなかった場合は、5分間のサドンビクトリー方式(どちらかが得点した時点で終了)によるオーバータイムを行い、それでも勝敗が決まらなかった際には、サッカーのPK戦にあたる「ゲームウイニングショット」によって決着をつけます。

そのため試合時間は長くなりますが、それでもほとんどの試合は「2時間半前後」で終了します。

▼プレーオフはゴールが決まるまで続く

ところがプレーオフでは決着のつけ方が異なり、ゲームウイニングショットは行わず、オーバータイムを繰り返していきます。

プレーヤー(FW&DF)の数を減らして「3on3」で戦うレギュラーシーズンと違い、オーバータイムに入ってからも、通常どおり「5on5」。プレーヤーの人数を減らすことなく、20分のピリオドと15分のインターミッションを繰り返すだけに、言い換えれば「第4ピリオド」「第5ピリオド」と、どちらかのチームがゴールを決めるまで繰り返す「サドンビクトリー方式」で争われます。

▼NHL最長試合は第6オーバータイム

創設100年目の戦いが続くNHLでは、かつてのモントリオールフォーラムで行われた 1936年のプレーオフ(3月24日・デトロイトレッドウィングス vs モントリオール マルーンズ戦)で記録した「第6オーバータイム16分30秒」(3つのピリオドを戦ったあとにオーバータイムを戦っているので、第9ピリオドまで及んだことに!)

インターミッションを除いた総試合時間「116分30秒」が、これまでの世界記録となっていました。

▼世界記録を大きく更新!

ところが、ハーマルで行われたノルウェーリーグのプレーオフの試合は、NHLの記録をはるかに上回り「第8オーバータイム(=第11ピリオド)17分14秒)」で、ようやく決着。

インターミッションを除いた総試合時間は、「217分14秒」

81年前の「116分30秒」という従来の記録を大きく更新する世界新記録となりました!

▼ふくらはぎが痙攣を起こす中、決勝ゴール!

歴史的な一戦に決着をつけるゴールを決めたストルハマーのジョアキム・イェンセン(FW・30歳)は、試合後に受けたテレビ局からのインタビューに、冗談めかして「家に帰って寝られるのが待ち遠しい」と答えていたそうです。

しかし、その一方で、「第5オーバータイムを過ぎた頃から、ふくらはぎが痙攣(けいれん)を起こしていた」ことも明かし、史上最長の試合を戦い抜いた想像絶する厳しさも垣間見せました。

▼もう二度と破られない !?

プレーヤーだけでなく、両チームのGKも、およそ100本ずつシュートを浴びるなど、試合後のイェンセンの言葉を引き合いに出さずとも、選手たちの疲労度はピークを超えてしまっていたのは明らか。

そのため、オーバータイムのフォーマット改定を検討する意向が報じられているだけに、今回のような “マラソンゲーム” を見ることができない可能性も?

ひょっとしたら「第8オーバータイム(=第11ピリオド)17分14秒」に飛び出したヨンセンの決勝ゴールは、もう二度と破られない記録かもしれません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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