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各年の「ポストシーズン本塁打王」はワールドシリーズで優勝!? 現在最多は4本塁打のタティースJr.

宇根夏樹ベースボール・ライター
フェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)Oct 8, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 10月8日、フェルナンド・タティースJr.(サンディエゴ・パドレス)は、ディビジョン・シリーズ第3戦の2回裏に、ウォーカー・ビューラー(ロサンゼルス・ドジャース)からホームランを打った。

 ポストシーズンに入ってから、4本目のホームランだ。1本目はワイルドカード・シリーズ第1戦の1回裏、2本目と3本目はディビジョン・シリーズ第2戦の1回表と9回表に打った。

 ここまでのポストシーズンで4本塁打以上は、タティースJr.しかいない。前日が終わった時点の3本塁打は、チームメイトのカイル・ヒガシオカと並んでいて、10月8日のドジャース対パドレスが始まる前に、ピート・アロンゾ(ニューヨーク・メッツ)も3本目のホームランを打った。ちなみに、ヒガシオカは、第3戦で無安打ながら、犠牲フライで1打点を挙げた。

 2001~23年の各ポストシーズンに最も多くのホームランを打った「ポストシーズン本塁打王」は、以下のとおり。ちなみに、そういうタイトルは、存在しない。

筆者作成
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 卵が先か、鶏が先か、ではないが、各年のポストシーズン最多本塁打は、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズまで進んだチームの選手だ。その前に敗退した場合は、試合数も打数も少なめ。ホームランの本数も、多くなりにくい。

 延べ32人中27人(84.4%)は、チームがリーグ・チャンピオンシップ・シリーズも勝ち上がり、ワールドシリーズに進出している。

 ワールドシリーズに進めなかったのは、2003年に5本塁打のトッド・ウォーカー、2004年に8本塁打のカルロス・ベルトラン、2018年に4本塁打のジョージ・スプリンガー(当時ヒューストン・アストロズ/現トロント・ブルージェイズ)と、2021年に5本塁打の2人、ラファエル・デバース(ボストン・レッドソックス)とキーケー・ヘルナンデス(当時レッドソックス/現ドジャース)だ。

 ただ、ワールドシリーズに出場した27人のうち、優勝メンバーとなったのは、その3分の1の9人にとどまる。ワールドシリーズで優勝したチームも、敗退したチームも、進出までの試合数が同じであれば、そこからは対戦するので、ポストシーズン全体の試合数は同じになる。

 その年のポストシーズンで最も多くのホームランを打ち、ワールドシリーズ優勝も味わったのは、2001年に3本塁打のルイス・ゴンザレス、2005年に5本塁打のポール・コネルコ、2012年に6本塁打――半数の3本はワールドシリーズ第1戦――のパブロ・サンドバル、2013年に5本塁打のデビッド・オティーズ、2017年に7本塁打のホゼ・アルトゥーベ(アストロズ)、2018年に4本塁打のスティーブ・ピアース、2019年に5本塁打のホアン・ソト(当時ワシントン・ナショナルズ/現ニューヨーク・ヤンキース)、2021年に5本塁打のフレディ・フリーマン(当時アトランタ・ブレーブス/現ドジャース)と、2023年に8本塁打のアドリス・ガルシア(テキサス・レンジャーズ)だ。

 なお、2020年にランディ・アロザレイナ(当時タンパベイ・レイズ/現シアトル・マリナーズ)が記録した10本塁打は、1度のポストシーズンにおける最多。20世紀を含めても、1度のポストシーズンで9本以上のホームランを打った選手は、4年前のアロザレイナ以外にいない。

 タティースJr.は、今年のポストシーズンで、ここまでに7打点を挙げている。こちらは、最多タイ。マーク・ビエントス(ニューヨーク・メッツ)と並んでいる。パドレスは5試合、メッツは6試合だ。

 10月8日、パドレスとメッツは、どちらも勝利を収め、ディビジョン・シリーズを2勝1敗とした。両チームとも、あと1勝を挙げると、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズ進出となる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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