日本代表復帰へどうアピール? 勝負強さの秘密は? 山田章仁が移籍後初実戦。【ラグビー旬な一問一答】
ラグビー日本代表としてワールドカップイングランド大会などで活躍した山田章仁が、6月23日、現在離れている同代表への復帰へアピールした。
東京・秩父宮ラグビー場で国内最高峰トップリーグのカップ戦・第1節に、新加入したNTTコムの一員として後半11分から出場した。
大歓声に手を挙げて応えるや、ファーストプレーでは持ち前のばねをいかしたハイパントキャッチを披露。試合は東芝に24―31で敗れたが、終了のホーンが鳴った瞬間も鋭いランで防御を切り裂いていた。
ワールドカップ日本大会を今秋に控え、日本代表は6月9日から宮崎合宿をスタートさせている。休暇をはさみながらの長期キャンプで、連携とフィジカリティを鍛える。
しかし山田は、その輪には加われず。同時期はサンウルブズの一員として国際リーグのスーパーラグビーの終盤戦に挑み、17日に帰国後は新天地に合流。全体練習に参加していた。
仲間のピンチと味方の作ったチャンスに顔を出すウイングは、日本大会出場を諦めていない。試合後は、自らの「勝負強さ」に関する所感も残した。
以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。
――ホンダ、前所属のパナソニックに続く、3チーム目での初陣です。
「新鮮な気持ちでした。楽しかったです」
――タフな日程下で試合に挑みました。
「1試合でも多く、ワールドカップに向けてアピールしたかったので。それに、早くチームの一員にもなりたかったので。
ゲームタイムもまだまだ少ないので、しっかり重ねていけばもっといいプレーもできる」
――今日の出来には。
「大満足とまではいっていないですけど、しっかりやれました。南アでの試合からリザーブが続いている。あまり経験はないですが、ひとつひとつ勉強させてもらっています」
――ファーストプレーでは、相手のキックパスを高い位置で捕球。味方に繋ぐや、ボールのゆく先々のパスをもらえそうなコースへ顔を出していました。
「いま、リザーブで、どうしても勢いも欲しかった。時間(帯)によって色々変えたり(する)」
――ブレイクダウン(接点)へのサポートにもよく入った。
「代表に限らず、ブレイクダウンもしっかりやらなきゃいけない。チームとのバランスも見てやっていきたいです」
――新しく入ったNTTコムはどんなチームか。
「めちゃくちゃポテンシャルがあって、凄くまじめで、いいチームです。皆、学ぶ姿勢がある。スタッフの方も選手に歩み寄って、よりまとまって作ろうとしている」
――6月上旬に代表メンバーから外れた後、スーパーラグビーでも短時間ながらアピールしました。
「思いは詰めた。ちょっとでも伝わればいいかなと」
――5月中旬までのウルフパック(日本代表候補チーム)での活動が終わった時、首脳陣の方からレビューはありましたか。
「直接はないですね。ただメールなんかではしっかりコミュニケーションは取らせていただいています」
――代表復帰へ。
「チャンスがあればしっかりやりたいですね。9月20日(ワールドカップ日本大会の開幕戦)は絶対に行きたい。まだ、時間はある。
代表に関連したプレーもしながら、チームのプレーもやらなきゃいけない(例えば防御ラインを前にボールを持った場合、日本代表のウイングは15メートル線付近でラックを形成する傾向が強い。一方でNTTコムはタッチライン際でラックを作る)。バランスをみてやりたいです」
――その9月20日以降、どんなプレーをしたいですか。
「キックが多くなるとは思うので、捕る、走る。普通のプレーを」
山田はよく、「大舞台に強い」と評される。トップリーグのプレーオフや強豪とのテストマッチで活躍した経緯を踏まえそう言われているのだが、本人も別な場所で「大きなステージは好き」と話している。
では、その資質はいかにして作ったのだろうか。幼少期に様々な習い事をしたり、小倉高校時代に英語のスピーチコンテストに出たり、慶応義塾大学時代に単身でオーストラリア留学をしたりした過去を踏まえてか、こう語った。
――自分に「実力を発揮する実力」があるとしたら。
「小さい頃から、色んな所へ行くのが好きだったので、その経験がいきていると思います。緊張するステージに自分の身を投げてきたので、いまになってもどんどん前に出て行けるのは、そのおかげかなと」
代表首脳へ、プレーだけでなく文明の利器によるアピールも重ねているのがたくましい。