Yahoo!ニュース

「子どもが長時間の音声通話で高額請求」携帯キャリアはどう対応する?

山口健太ITジャーナリスト
子どもの高額利用、携帯キャリアはどう対応する?(筆者撮影)

子どもが携帯電話で長時間の通話をしたことで、高額の料金請求が届いたというツイートが話題になりました。このような場合、返金などの対応は受けられるのでしょうか。携帯キャリア4社に聞いてみました。

携帯の高額利用、各キャリアはどう対応?

携帯電話の音声通話料金は、さまざまなオプションはあるものの、基本は税込22円/30秒で各社横並びです。

音声定額のオプションを契約しない場合、通話料金は1時間で2640円。毎日すると1か月で約8万円と非常に高額になります。

これに対して、LINEやDiscordなどのアプリではデータ通信を用いた音声通話機能が提供されており、これなら通話料金はかからないと認識する人が増えています。

子どもの場合、携帯電話の通話料金が高くつくことを実感する機会がないことから、LINEの感覚で長時間通話してしまうのは十分にあり得る話といえます。

似たようなケースとして、子どもによる高額のアプリ課金について、アップルやグーグルは条件次第で取り消しに応じる場合があるようです。

そこで、「子どもが高額の利用をした場合、申し出に応じて請求を取り消したり料金を減額したりすることはあるか」と質問したところ、各キャリアからは以下のような回答がありました。

・NTTドコモ 「お客さまの状況をお聞かせいただき、適切なご案内をしております」

・KDDI 「お客さまのご事情を踏まえ、適切なご案内をしております」

・ソフトバンク 「子どもが高額の利用をした場合、請求を取り消したり減額したりする措置は原則的に行っていませんが、お申し出の内容によっては対応を検討させていただく場合もあります」

・楽天モバイル 「当社においては、お客様からお問い合わせいただいた際に個別に対応させていただいております。詳細については差し控えさせていただきます」

また、パケット通信を高額利用した場合、1回に限って過去に遡ってパケット定額を適用する救済措置を受けられた、との話もあります。

同様に、音声通話についても過去に遡って音声定額のオプションを適用することはできないのでしょうか。この点も各社に確認しました。

・NTTドコモ 「お客さまの状況をお聞かせいただき、適切なご案内をしております」

・KDDI 「原則として遡っての適用はできませんが、お客さまの個々のご事情をお伺いして対応しております」

・ソフトバンク 「過去に遡って音声定額を適用するような措置は原則的に行っていませんが、お申し出の内容によっては対応を検討させていただく場合もあります」

・楽天モバイル 「当社において、音声通話について過去に遡って音声定額を適用いただくことはできませんが、場合によってはお客様の状況を鑑みて判断しています」

8月25日追記:

楽天モバイルより追加の情報提供があったので反映しました。

このように、利用状況などに応じて対応する余地を残しつつも、各キャリアの回答は「原則としてはできない」となっています。

それでは、子どもの使いすぎを防ぐために保護者が利用できるサービスはないのでしょうか。各キャリアからは以下のようなサービスの案内がありました。

・NTTドコモ 「一定額到達通知サービス

毎月の通信・通話料などの合計金額が設定した金額(1000円以上、1000円単位)を超えた場合にメールで知らせる。申し込みが必要、利用料は無料。

・KDDI(au) 「料金安心サービス

通話料・パケット通信料の合計金額が4段階の到達額を超過するごとにEメールで知らせる。申し込みが必要、利用料は無料。

一定額を超えた場合に利用を停止する有料オプションあり(月額110円)

・ソフトバンク、ワイモバイル 「一定額お知らせサービス

携帯電話などの利用金額が設定額を超えた場合にメールで知らせる。初期設定は10万円。利用料は無料。

一定額を超えた場合に利用を停止する有料オプションあり(月額110円)

・楽天モバイル 「あんしんコントロール by i-フィルター

フィルタリングや利用時間の設定が可能。18歳未満の方が利用する際には契約が必須となっている。料金は月額330円

現状では、こうした音声定額や利用額についてのオプションサービスを契約するなど、利用者側で対策する必要がありそうです。

通話料金「青天井」のままでいいのか

携帯電話の通話料金は総務省も問題視しており、22秒/30円という料金は10年以上変わっておらず、高止まりしているとの指摘があります。

また、電波は限られた資源とはいえ、音声定額が月額2000円程度のオプションで提供されていることを考えると、従量制で青天井となる料金体系には疑問を感じるところです。

たしかに、通話をしない人やLINEで十分という人にとっては、音声定額は料金の元が取れないので、従量制のほうが適している場合はあるでしょう。

一方で、音声定額を契約せずに何万円分も通話したい人というのは、あまりいないはずです。そういう使い方をしている場合、意図的にやっているのではなく、理解不足や誤解に基づいている可能性が高いといえます。

その場合、料金が一定額に達した場合に自動的に停止するとか、それを超えて使いたい場合には制限解除の手続きが必要な仕組みになっていれば、意図しない高額請求を防ぐことができます。

子どもや高齢者を含め、誰もがスマホを手にする時代であることを考えれば、最初からこれくらい親切な設計になっているべきではないでしょうか。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

山口健太の最近の記事