明日は韓国検察総長の「運命の日」 解任か、「無罪」か!
明日(15日)、韓国では史上初の法務部長官(法相)による検察総長への懲罰の是非をめぐる2回目の懲戒委員会が開かれる。
秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が11月24日に尹錫悦(ユン・ソギョル)検察総長に職務停止を命じ、懲罰委員会に懲戒を請求したことによって10日に開かれた1回目の懲罰委員会では尹総長への処遇に関する結論が出なかった。
懲戒処分には解任、免職、停職、減給、譴責(戒告)がある。減給以上の重い処分となれば、大統領の裁可が必要となる。譴責処分ならば、大統領は関与しないで済むが、解任や免職などの場合は文在寅大統領の決裁を仰がなければならない。
秋法相は尹総長の解任を迫っているが、世論調査会社「リアルメータ」の世論調査(11月26日公表)では、秋氏の懲戒措置について「正しい」と答えた人は38.8%で、56.3%が「間違っている」と答えていた。
一方、尹総長の処遇を巡っては国民による大統領府(青瓦台)への請願も始まっているが、14日午前11時30分現在、「懲戒賛成」が21万9418人、「懲戒反対」が21万5324人と「賛成」が4千人ほど多い。しかし、4日前には「賛成」(20万6572人)と「反対」(18万9461人)の差が約1万7千人だったことを考えると、差が縮まっていることがわかる。
「懲戒賛成」請願は11月27日からスタートし、「懲戒反対」請願は12月4日から始まっている。請願受付期間は1か月に限定されているので「賛成」請願は今月26日に閉め切られるが、「反対」請願の期限は来年1月3日までなので「懲戒反対」が「懲戒賛成」を逆転するのは時間の問題とみられている。
青瓦台への「賛成請願」は「民主市民ら」の名で出されているが、懲戒を求める理由として以下7つ挙げている。
1.司法部への査察は3権分離への違憲行為である。
2.検察は反民主的な情報政治を行っている。
3.尹総長は検察改革に反対し、検察権力に対する民主的な統制を拒否している。
4.尹総長とその指揮下にある勢力に対しては壊滅的な清算が必要である。
5.検察改革の指揮者は法務部長官にあるので秋美愛長官を最後まで守ってもらいたい。
6.検察改革の全面戦は始まった。一歩も引き下がらず、決着を付けてもらいたい。
7.検察改革の整理は必要で、尹長官の解任は最も重要な最初の措置である。
文政権を支えるコンクリート層と称される進歩派の主張を代弁していることがわかる。
一方、一市民による「反対請願」の理由は極めて簡単明瞭である。
「秋美愛法務長官が推進している尹錫悦検察総長に対する懲戒手続きと懲戒委員会決定後に予想されている検察総長の解任は理由の如何を問わず即時中止し、尹総長に与えられた任務が無難に終えられるよう切に大統領に望む。万が一、こうした建議を黙殺し、国民の熱望を踏みにじるような結果が出た場合は、予想される後爆風は『4.19』(李承晩政権を倒した学生・民衆デモ)『6.10』(全斗煥軍事政権を退陣に追い込んだ民主化デモ)に次ぐ国民の一大決死抗戦が全国至る所で燃え上がることになるだろう」
懲戒は過半数の賛成で決定されるが、懲罰委員長も含め全員が秋法相による人選なので懲罰は避けられそうにないとの見方が有力だ。
一方、尹総長としては解任や停職ではなく、最も軽い戒告という処分であっても秋法相を相手に行政訴訟を起こすものとみられている。「検察の政治的中立を守るため、これまで一点も恥じることなく検察総長の任務を全うしてきた。違法・不当な処分に対し最後まで法的に対応する」と宣言しているからだ。
明日結論を出せるのか、それともまたもや結論が出ず、3回目の委員会に持ち越されるのか、支持率の急落に苦しむ文在寅政権にとってはどちらに転んでも頭の痛い問題だ。