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阪神ファームの2014年を回顧 その1・記録編

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

2月の安芸キャンプ、早朝練習から始まった今年の阪神ファーム。3月21日には、あられが舞う極寒の神戸サブでウエスタン・リーグの開幕を迎えました。シーズンを振り返ると、チーム打率がなかなか上がらなかった印象はありますね。終盤には良くも悪くも「今季初」や「何年ぶり」という言葉が続出しました。まずは、その“記録”に関して書き出してみます。

【チーム記録】

◆今季最多の10得点で10勝到達

5月5日 オリックス7回戦(北神戸)は、北條選手の2号ソロで先制したあと中谷選手の3号2ランなど計10点。なお10勝到達はリーグラストでした。

◆17安打で12失点の今季ワースト

6月3日 広島11回戦(甲子園)。先発の白仁田投手をはじめ6投手全員で17安打を浴び、今季4度目の2ケタ失点を喫しました。一方、5安打しかできなかった打線は内野ゴロ、相手エラー、犠飛による3点のみです。

◆8年ぶりの1試合4本塁打!今季最多の16安打

6月5日 広島13回戦(鳴尾浜)。原口選手、黒瀬選手、陽川選手、中谷選手がホームラン。1試合4本は2006年以来8年ぶりのことです。また西田選手を除く先発全員が16安打を放ち、今季2度目の2ケタ得点をマーク。

◆今季初の6連勝

6月14日 ソフトバンク12回戦(甲子園)。2対1で勝ち今季初の6連勝、貯金も今季最多の3となりました。秋山投手が7安打無四球1失点で2試合連続完投、6勝目を挙げています。

◆今季チーム初の毎回安打

6月25日 オリックス16回戦(鳴尾浜)で、梅野選手の3安打など今季チーム初となる毎回の13安打。

◆6回からの4イニングで15失点

7月2日 中日16回戦(鳴尾浜)。6回は白仁田投手が3安打4失点、7回と8回は伊藤和投手が8安打5失点。9回の久保田投手も6安打6失点。5回までは岩貞投手と藤原投手で3安打1失点だった試合ですが、6回以降に17安打されて15失点。16対1の大敗でした。

◆15年ぶりリーグ最長の4時間48分

8月1日 オリックス21回戦(鳴尾浜)。阪神18安打、オリックス17安打の打ち合いで延長10回に陽川選手の2点タイムリー二塁打により8対7のサヨナラ勝ち。1999年にウエスタン・リーグが延長10回制になってから、10回でのリーグ最長記録(これまでは4時間28分)を更新。過去に15回までやって5時間13分という記録はあります。

◆今季初7連敗からの……

8月20日 ソフトバンク22回戦(鳴尾浜)は4安打で相手エラーでの1点のみ。2012年3月24日から4月7日にかけ、引き分け1つを挟んで8連敗して以来の7連敗です。そして8月26日広島21回戦(由宇)では、その前に大学との交流試合2つで連勝したものの8連敗を喫してしまいました。引き分けなしで。さらに…8月27日広島22回戦(由宇)も8対2で敗れて9連敗。確認できた1991年以降のデータによれば最多のようです。つまり、この24年間ではワースト記録の9連敗。1971年に12連敗というのはあったけれど、1972年から1990年の間は記録が残っていないため、12連敗がワーストかどうかは不明です。

◆今季初の先発全員安打

9月7日 広島25回戦(鳴尾浜)。森田選手の先制2ランや、小宮山選手と横田選手の連続弾など先発野手全員の13安打で9得点。5回にリーチがかかり、7回に西田選手が打って達成です。

◆20安打と6イニング連続得点

9月10日 オリックス25回戦(神戸サブ)。とにかく打って打って打ちまくった試合で、6回までに16安打13得点。2009年4月22日の22安打以来、5年ぶりとなる20安打を放ち、今季2度目の毎回安打でした。そして1回から2点、3点、2点、4点、1点、1点と6イニング連続得点。2007年に同じく1回から6回まで得点して以来、7年ぶりのこと。ウエスタンでは中日の8イニング連続が最多だそうです。また代打で登場した6人(高山、原口、中谷、陽川、阪口、小豆畑)も全員ヒットを放ちました。

◆対広島、3年ぶりの4連勝で終了

9月17日 広島26回戦(鳴尾浜)。お得意様だったはずのカープですが、2011年に16勝8敗2分けと大きく勝ち越したあと、2012年は10勝14敗2分け、昨年は10勝15敗1分けと負け越し。その2年間は2連勝までしかありませんでした。ことしは約2か月ぶりに勝った9月5日と、翌6日で連勝(その時に「今季このカード初の連勝」と書いたんですけど…連勝は一度ありました。すみません!)、続く7日で今季初の3連勝となり、これが2011年6月から8月にかけて5連勝して以来3年ぶりのこと。ってのも情けない話ですね。

◆4年ぶりのシーズン勝ち越し

9月29日のソフトバンク25回戦(雁の巣)は李杜軒選手に満塁弾を打たれるなど1点差負け。翌30日の最終戦は3安打完封負けを喫し、連敗で今季公式戦を終えた阪神。51勝50敗8分けと貯金は1つだけですが、リーグ優勝した2010年以来4年ぶりの勝ち越しとなりました。ちなみにソフトバンクはリーグ新記録の68勝、牧原選手もシーズン最多の119安打、さらに120安打も出て新記録で終了です。

続いてプロ1号などのホームランについて。先に時系列で並べたチーム記録と別でわかりにくいかもしれませんが、とりあえず古いものから順にご紹介します。それと投手の記録も合わせて書きました。

【“1号”ホームラン】

◆4月15日のソフトバンク2回戦で、北條選手が甲子園プロ1号。その前にも先制のタイムリー二塁打を放ち、平田監督から「きょうは北條デー!やっぱり甲子園に来ると違うね」と絶賛されました。

◆4月18日の広島3回戦(由宇)、荒木選手が4年目で公式戦1号。昨年5月の育成試合(IL選抜戦)でプロ初ホームランを打って以来。

◆4月23日の中日4回戦、一二三選手も甲子園プロ1号。「高校3年の時と、まったく同じとこに飛んだ!」

◆5月7日オリックス9回戦(神戸サブ)、西田選手が「人生初」の満塁ホームラン。東明投手から、ライトへ。その10日後、17日のオリックス戦(鳴尾浜)では森本投手から、またしてもライトへ2号満塁弾!

◆5月10日の広島戦(由宇)で陽川選手が公式戦プロ1号。江草投手のチェンジアップをセンターへ運びました。その前に4月27日の育成試合・Honda鈴鹿戦(鳴尾浜)で、ドラフト4位の守屋投手からプロ1号を打っています。

◆5月13日の中日戦(ナゴヤ)で森田選手がようやく今季1号。この日は3安打4打点でした。

◆5月31日の巨人戦(甲子園)で1年ぶりにホームランを打った小宮山選手は11年目で甲子園初アーチ

◆6月20日の広島14回戦(由宇)。秋山投手がプロ1号の2ランを福井投手から。試合は8回に自身がつかまって3対2と逆転負けです。

【横田のホームラン】

◆8月3日オリックス22回戦(鳴尾浜)で横田選手が満塁ホームラン!育成試合や練習試合でもなかったので、正真正銘のプロ1号。ベンチ前でバシバシと手洗い祝福を受け「あれは痛かったです」と言いながら笑顔。

◆8月31日の中日24回戦(姫路)、横田選手が今度は1試合3本塁打!すべて2ランで、すべてレフト方向でした。ウエスタンでは2003年7月2日の中日・田上秀則選手が打って以来11年ぶり(リーグ最多は1969年6月4日の広島・水谷実雄選手の4本)、阪神ファームでは1997年8月15日のダイエー対阪神(雁の巣)でフィル・ハイアット選手がソロ3本を記録して以来、17年ぶりの快挙。ただし横田選手は「そんな人、知りません(笑)」…そりゃそうですよね。

【同期のホームラン】

◆6月28日のソフトバンク戦で、中谷選手が地元・小郡で初ホームラン。

◆7月9日の広島17回戦(鳴尾浜)、1対1の9回裏2死から代打・一二三選手が中村恭投手のカットボールをホームラン。サヨナラ打は人生初!

◆9月26日のオリックス26回戦は鳴尾浜で今季最後の公式戦。その7回に黒瀬選手の代打で出た阪口選手が公式戦プロ1号を放ちました。試合後に「言葉が見つからないよ。ひたむきな努力が最後に出る」と何とも言えない表情を見せた平田監督が忘れられません。

【投手の完封、完投、初勝利】

◆6月8日のオリックス14回戦(わかさ)で秋山投手が今季チーム初完投、初完封!許した安打は2回までの2本だけ、奪三振8に与四球1という素晴らしいピッチングでした。その6日後、14日のソフトバンク12回戦(甲子園)でも無四球で1失点完投勝利。

◆6月13日のソフトバンク11回戦(甲子園)で二神投手も4安打完封勝利。相手の東浜投手も4安打で1失点完投(8回に代打・原口選手が三塁線を破るタイムリー二塁打)。2時間16分の今季最短試合だったのも頷けます。

◆8月31日の中日戦(姫路)で島本投手が公式戦プロ初勝利!1軍昇格の歳内投手に代わって急きょ先発、5回3安打4三振無四球で無失点の好投です。5月15日の中日戦(ナゴヤ)で公式戦にプロ初先発してから6試合目のこと。

◆9月26日の鳴尾浜最終戦(対オリックス)で、秋山投手が8回を投げ3安打無失点。7回1死まで二塁も踏ませぬ内容、しかも2試合連続無四球でリーグトップタイの9勝目を挙げました。

阪神ファームの2014年回顧、次は“記憶編”をお送りします。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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