元阪神・北條史也選手(三菱重工West) 都市対抗出場に続いて目指す“もう1つのドーム”
ことしで95回目を迎える社会人の都市対抗野球大会。7月19日開幕の東京ドームを目指して、全国各地で約2か月にわたる1次予選、2次予選が開催され、6月13日にすべての代表チームが出揃いました。
ことしから三菱重工West(神戸市・高砂市)に加入した元阪神の北條史也選手(29)は、4月に行われた『第66回JABA岡山大会』の試合中に右わき腹を痛め、次の『第74回わかさ生活JABA京都大会』は登録を外れていたのですが、5月20日からの都市対抗2次予選には出場。
本人は京都大会も「テーピングをすれば出られる」と話していたものの、三菱重工West・津野祐貴監督(37)の「出たいでしょうけど今大会は出しません。都市対抗の予選に万全でいてもらわないといけないので」という意向で欠場。5月4日のオープン戦から実戦復帰したものです。
その『第95回都市対抗野球・近畿2次予選』で、三菱重工Westは初戦で完封負けを喫したものの、そこから第3代表決定トーナメントを勝ち上がって、4年連続40回目の出場を決めました! 16日に行われた組み合わせ抽選会の結果、1回戦は7月23日で相手は王子(春日井市)となっています。
では、三菱重工Westの近畿地区2次予選・4試合を、北條選手のコメントとともに振り返ってみましょう。
まさかの完封負けスタート
三菱重工Westは2回戦からの登場で、まず5月23日に日本生命(大阪市)と対戦。試合前の北條選手は「気合い入れていくで!」と、真剣な眼差しで素振りをしていました。お母さんと、スポーツ用品メーカー勤務の弟さんも観戦されたのですが、残念ながら完封負け。
ちなみに日本生命は以降も連勝で近畿地区第1代表となり、2年連続63回目の都市対抗出場を決めました。63回というのは、もちろん全国最多です。
◆1回戦
5月23日 (わかさS京都)
日本生命-三菱重工West
West 000 000 000 = 0
日生 000 000 11X = 2
北條選手は6番・セカンドでフル出場しました。4回は2死一塁から四球を選び、6回には2死一塁で左前打とチャンスを広げるも得点にはつながらず。3打数1安打という結果です。
初めての都市対抗予選に「やっぱり気持ちが高ぶるというか、緊張感のある中で気持ちも上がっていくのは実感できた」と話しています。
社会人の応援を体感したのも初めて?「初めてです!すごいです。だから余計にやっぱり高ぶっていたし、勝ちたかったですね」
バッティングは?「いや別に状態とかはあんまり。プロの時は“きょうはいい感じで終われた”とか思ったりしますけど、この予選は勝たないと意味がないので。自分の状態とかはもう別として、負けたことが一番悔しいです」
「うわっ、楽しい!」
このあと敗者復活戦に回って、まずは第3代表を目指す戦いとなります。北條選手の果たすべき役割も大きいのでケガをしないように、と声をかけたら「そうですね。実は気持ちの高ぶった分、足がつりかけていたんですよ(笑)」とぶっちゃけ話が出てきました。
「きょうは湿気で汗も結構出た。試合でこんなに汗をかいたのは久々で。最後の方は“あ、ヤバ”って。“ふくらはぎ両足ともヤバ!”みたいな感じでした」。そう言ったあと、ワンテンポおいて続けます。
「でも楽しかったですよ!」
「プロとはまったく違うので、その感じは楽しかったです。プロの時は何というか、1球1球に“うわー”ってならないですけど、今は守っていてピッチャーが三振を取った時に“よしっ!”とかね」
それは久しぶりの感覚?「久々の高校野球、みたいな?そんな感覚になったから、わあ楽しい!って途中で思いました」。へえ~そうだったんですね。
「プロってやっぱり自分のことがまず一番やし、自分がちゃんと“こう打球が飛んできたら、こうやろう”とか考えていたんで。まあプロでも多少はありましたかね。抑えて、よし!となったりすること。でも(きょうは)、それ以上にあったなあ」
思い出してまたニヤリ。楽しかったんですね。それはよかった。「はい。途中ぐらいで“楽しいー!この感じ”、みたいなのは思いましたね」
敗者復活からの…
次の試合は5月31日、敗者復活の第3代表決定トーナメント1回戦です。ニチダイ(京田辺市)に6対1で勝利。5番セカンドでフル出場の北條選手は、3回にタイムリー二塁打を放つなど2打数1安打1打点(2四死球)でした。しっかり仕事ができたようですね。
◆第3代表決定トーナメント 1回戦
5月31日 (大阪シティ信用金庫S)
ニチダイ-三菱重工West
ニチ 000 010 000 = 1
West 005 010 00X = 6
この日は打線が3回につながります。2死一、三塁で2番・古川卓人選手、3番・杉浦有祐選手の連続タイムリーで先制すると、4番・西岡武蔵選手は中越えの2点タイムリー二塁打!さらに北條選手も左越えのタイムリー二塁打と、4連続タイムリーで一挙5点を取りました。
4月末のJABA京都大会では3試合とも完封負け、そして今回の都市対抗2次予選も初戦で完封負けを喫した打線が、ここで爆発した三菱重工West。実は初戦終了後、このままではいけないと津野監督が動いたそうです。そのあたりは次の試合で聞いています。
投打に粘りが出た試合
6月3日の2回戦はNTT西日本(大阪市)相手で、勝てば代表決定戦、負けたら第5代表決定トーナメントへ回り、また2つ勝たないと最後の1枠をつかむことができない大事な試合。北條選手は3番・セカンドでフル出場しました。
◆第3代表決定トーナメント 2回戦
6月3日 (大阪シティ信用金庫S)
NTT西日本-三菱重工West
NTT 010 000 000 = 1
West 011 100 10X = 4
2回に先制されますが、その裏に押し出し四球で追いつき、3回には三塁打を放った2番・朝日晴人選手を北條選手が左前タイムリーで還して勝ち越し!4回は朝日選手のタイムリー、7回に6番・坂之下晴人選手の犠飛と、1点ずつ加えて4対1で勝ちました。
北條選手はタイムリーのあと2四死球で2打数1安打1打点。7回に死球で出塁した際は杉浦選手の左前打で三塁まで走ってガッツポーズをしています。ただ守備で2失策があり、失点にはつながっていないものの、かなり悔しかったようですね。
試合後、津野監督は「まずピッチャー陣が、ひとりひとり最高の仕事をしてくれました。先発の藤居(海斗)も4回を最少失点で抑えて、その後も本当に粘ってくれたんで、あの接戦を勝つことができたと思います」と投手陣を評価しました。
この前の試合から、つながり始めた打線については「初戦で完封負けを喫してから打撃の意識というか、全体的に早いカウントでどんどん強いスイングを入れていこうという話をして、それをしっかりと選手も実行してくれています」と津野監督。
「それで追い込まれたら、何とかボールに食らいつくというバッティングをしていこうと。チームとしてそういう方向性を決めてやった結果、そこから非常によくなってきたかなと思います」
やはりバットの出が悪かったのですか?「どうしても結果を気にしすぎたのか、よくない循環で試合運びしていた印象だったので。もっと腹をくくって早いカウントで、凡打するのはオッケーっていうふうにしました。その結果スイスイ入るようになったかと」
この“敗戦後の野手ミーティング”が奏功したのは明らかですね。以降の試合にもしっかり反映されていたと感じます。
なお北條選手について津野監督は「打つだけでなく走るのもそうですし、きょうはエラーしちゃいましたけど、ここっていうところで守備の要となってくれています。徐々にチームにも溶け込み、リーダーシップも発揮してくれて非常にありがたい」という言葉でした。
早く楽になりたい?
では北條選手のコメントです。同点の場面は「楽な気持ちでというか、何か事を起こせば点が入る確率は高い状況やったんで、内野フライと三振だけはダメかなと思って楽な気持ちで入っていました。しょぼい打球やったんですけど(笑)、まあ点が入ってよかったです」とのこと。
その後の2四死球もいい仕事ですよね?「フォアボールの場面は2球で追い込まれてから粘って、粘って、打ちにいって見逃せたし。結果的に点は入らなかったけど、相手にプレッシャーをかけられたかなと思いますし、そういう打席を増やしていきたい」
7回のデッドボールのあとは、三塁へヘッドスライディング、さらに犠飛でホームイン。ナイスラン?「ナイスランというか(笑)。僕だけじゃなくて、つないで、つないでWestらしい、いい点の取り方をしたかなと。僕はそう思っています」
代表まであと1つ!意気込みを。「もう次の第3代表でしっかり勝って決めて」。そのあと少し間をおいて「…楽になりたい」と言ってから、大きな声で「あはははは!」と笑いました。
楽に?やはりトーナメントのシビアな戦いを痛感しますか?「自分の成績っていうのはあんまり考えてないんで。プロはたとえば、きょうの打撃成績が自分としてはオッケーみたいな。でも(社会人は)負けたら成績の意味がない、という違いですかね。オッケーといっても1軍じゃあダメですけど」
なるほど、やるべきことはやれた?でもここは勝たないとダメなんですよね?「はい。だから僕が打てなくても勝ったらいいし。きょうはエラー2つやっちゃいましたけど、勝ったので感謝します。抑えてくれてよかったです」
楽しかった?「いや、きょうは楽しくなかったです。エラーしたから(笑)。エラーしてドキッとなって、ちょっと怖かった」。2つ目のエラーの時は自分に腹を立てていた?「はい、怒っていたんです。自分にむかついた。グラブをベースの上に叩きつけてやろうとした」
でも最後は「勝ったんで、よかったです。次も勝てるように頑張ります。はい」と締めくくっています。
「先輩、勉強になりました!」
朝日晴人選手(23)は3回に先頭で三塁打を放ち、北條選手の左前打で生還!4回にもタイムリーがありました。本人は「ちょっとヒットが出ていなかったので、1本出てよかった!それが点につながってよかったです」と、本当に嬉しそうなホッとしたような笑顔。
北條選手が「朝日は肩が強いからショートでプロへ行ってほしい。プロに行くなら絶対ショートで」とよく言っていて、朝日選手は「いつも守備を教えてもらっています。自分から聞きにいくこともあって、すごく話しやすい先輩です」と。
この日は2失策だったけど、それも間近で見ていたわけですね?「はい、勉強になりました(笑)」。先輩、頑張って!
朝日選手は試合中、闘争心が前面に出ていてアグレッシブな印象なんですけど、試合後に話を聞いていると、とても穏やかで控えめな人です。人見知りもあるんでしょうね。最近は少し慣れて笑顔が増えました。またよろしくお願いしますね。
代表決定戦でも勝利に貢献
そして迎えた第3代表決定戦は6日、わかさスタジアム京都で同じ兵庫県(姫路市)の日本製鉄瀬戸内との顔合わせ。3月の兵庫県春季大会・決勝で戦った際は完封負けを喫しましたが、今回は6対2で勝利!近畿地区第3代表となり4年連続40回目の本大会出場を決めています。
北條選手は3番セカンドでフル出場。チームは今季初、北條選手も久々のナイトゲームだったのですが「去年もタマスタとか結構あったんで」と、特に気にしていなかった様子。結果は値千金のタイムリー二塁打を放ち、4打数1安打2打点でした。
◆第3代表決定戦
6月6日 (わかさS京都)
三菱重工West-日本製鉄瀬戸内
瀬戸内 000 000 110 = 2
West 000 060 00X = 6
この日は5回の猛攻で試合を決めた三菱重工West。先頭の山下航汰選手が内野安打で出ると、犠打などで2死二塁として1番・古川選手が先制の中前タイムリー!朝日選手の四球に続き、北條選手は中越えの2点タイムリー二塁打を放ちました!
そして4番・西岡選手の左前タイムリーで生還、次の杉浦選手も左前打を放ち、6番・坂之下選手のタイムリー二塁打で2人が還って計6点。そのあとも四球や内野安打があり、この回は2死から打者12人攻撃!しかも7安打、8者連続出塁です。
投手陣は先発の竹田祐投手が6回まで散発5安打無失点と好投。7回と8回に1点ずつ失っています(自責点1)。9回は鷲尾昂哉投手が登板し、いきなり連続四球で心配させたものの後続を断って無失点。
最後は遊ゴロで試合が終わり、マウンド付近に集まった選手たちによる歓喜の輪ができました。北條選手ももちろん笑顔で輪の中にいます。
定めた方向性を実践した選手
5回を振り返った津野監督。「投手戦は想定していたので、何とか先に1点ほしいところで古川にチャンスが回ってきて、その後にやっぱり北條のあのタイムリーが本当に大きかったと思います!いいところで状態のいいバッターに回ってきたイニングでした」
あの猛攻は驚きました。「そうですね、僕自身も思っていなかった(笑)。まあ本当にうまくつながってくれて、やっぱり古川、北條のタイムリーがチームに勢いをつけたと思います。それからは、もうみんな腹くくってバットを振ってくれたかなって」
それはやはり1回戦敗退後のミーティング効果?「はい。初戦が終わった後に野手を集めてチームとしての方向性を決め、早いカウントから強いスイングでいこうという指示を出したんですけど、それを選手がちゃんと試合で実践してくれて。その結果、いい方向に傾いたかなと。本当に頼もしい選手だと思います」
ヘッスラにガッツポーズも!
ついで北條選手。古川選手の先制打に続く2点タイムリー二塁打は、監督も「あれが大きかった!よくつないでくれた」と言われています。どんな気持ちで?「いやもうピッチャーが代わったところで追加点という、まあ大事な打席とは自分でも思っていたんで、必死に行きました」
決定戦はどうだった?「緊張感というか、独特な雰囲気というか、その雰囲気を味わえて。はい、楽しかったです」。珍しくガッツポーズが出まくっていましたね。「いやあ、そうですねえ。プロでもあんまりしないぐらいだったんで。だから楽しかったですよ!」
「どうやって点を取るかという気持ちだけで、その気持ちはみんな出ていて、僕も気持ちが入っていました。勝てたことが一番よかったです」
代表権を取って、ちょっと肩の荷が下りたところもありますか?「まあちょっとホッとした部分もありますし、僕が加入したことによって、今まで(本大会に)出ていたのが出られへんかったっていうのは、やっぱり嫌なんで。よかったです。はい」
その本大会に向けてはどんなことを。「トーナメントは負けたら終わりなので、もう1試合1試合、1球1球に気持ちを入れて、勝つことだけ考えてやろうと思っています」
古巣の阪神タイガースが苦しんでる状況ですが、見ていますか?「見ていますよ、見られる時は。僕は、最後に勝つと信じています。苦しい時を乗り越えて、最後に“あの時があったから”と言えるようなシーズンになると」
達観していますね。「まあ僕は見る側というか、応援する側なので(笑)。僕はもうノープレッシャーで、ただ信じて見ているだけです。はい」
改めて、社会人野球の世界で戦ってみての感想を聞かれ「レベルですか?レベルも別にプロと変わらないし、甘く見て入ってきていないんで。だから必死に。そういう感じ。で、いいですか」と、最後はフェイドアウト気味。はて?
実はその頃、グラウンドで選手たちがグループになって記念撮影を続けていました。その中の一団(おそらく野手陣)は、我々が取り囲んでいる北條選手の背中をバックにして撮ろうと「写真!みんな、写真!」と大きな声。それで北條選手も最後は気もそぞろな受け答えだったわけです。
結局、背中だけを入れ込んだ写真で満足した様子の選手たちを振り返り「写真!撮ってへんって、俺だけ!」と叫ぶ北條選手。真ん中で都市対抗・近畿代表の盾を持ち、みんなと一緒の写真に無事おさまりました。
先制打にも控えめな古川選手
ゲームを動かす先制タイムリーを放った古川卓人選手(27)に、その場面のことを聞くと、ちょっと謙遜しながらの答えでした。
「いや自分はたまたまチャンスで回ってきただけなので、そんな特に何も気にすることなく。逆にツーアウトだからゲッツーもないし、普通に振ろうかなと。点が入らなくてもしゃあないから、そんなに気負うことなく楽にいけたと思います」
「そのあと北条さんが2点タイムリーやから、結局まあ全部いいとこ持っていかれました(笑)。あれが実質、決勝打みたいな感じですもんね。北条さんでよかったと思っています。僕は何とか先制打できたことが嬉しかったので、それでもう」。あらまあ!やっぱり控えめ。
いつも近くにいて、まだ慣れないことも多い北條選手に、いろいろ世話を焼いてくれている古川選手なので、マネージャーさんみたいですねと言ったら「違います」と即答しつつ「これからも北條さんと一緒に切磋琢磨して頑張ります!」と笑顔でした。
ところで、初戦はベンチを外れたそうで。悔しかったでしょう?「はい、でも、それも忘れるぐらい嬉しかったです!ベンチを一度外れた時に監督からも『腐るなよ』と言われて、それで普通にやれました。それで、この一番ええところで仕事ができたのでよかったです」
津野監督も「外れた時もいつもと変わらず、ずっと最後までバットを振りながら備えていて、その姿を見て2戦目以降はスタメンで使った。大事な試合っていうのは結局、人間力で決まってくるんじゃないかな。そのへんが素晴らしい選手だと思います」と絶賛でした。
初戦敗退後に、監督が野手を集めてミーティングをしたことに古川選手は「迷わず初球からどんどんいこうって言われました。珍しいというか、普段はわりと“おのおので頑張れ”という感じなんですけど、今回は監督自身が方向性を示して同じ方向を向けた。それがよかったですね」と振り返っています。
竹田投手はエースらしい仕事ぶり
次は、2次予選4試合のうち3試合で先発し、計21回2/3を投げて5失点(自責4)と好投した竹田祐投手(24)。津野監督は「この大会はかなり状態がよかったので、ある程度の失点も計算できる中で、しっかりと投げて。もう十分すぎる役割を果たしてくれた」と高く評価しました。
竹田投手自身は、この日の代表決定戦で先発を告げられ「去年、第2代表決定戦で自分が投げて負けちゃったんです。その思いもあったんで、ことしは絶対に一発で決めてやるって思いでマウンドに立ちました」という思いだったとか。
都市対抗には苦い思い出があるんですね?「去年は結構打たれたんで(JR東日本戦で先発し、3回2/3で6安打5失点)、JRと当たったらやり返したいと思って、冬もすごく頑張ってきたので、当たりたいです」
この日の3回に自己最速タイである153キロもマークしたそうですが「去年は、ちょっとスピード出してやろうとか要らんことを考えてしまっていて。それで力んで投げていたんですけど、ことしは力を抜いてコントロール重視にしたら、勝手にスピードも出てくるようになったので、いい感じに投げられています」とのこと。
「もう一回、練習を見直して本戦までの期間、頑張りたいです!」と決意を新たにしていました。
北海道で決めたい秋のドーム
最後に、タイトルの“もう1つのドーム”について。社会人野球の選手やチームにとって“ダブルドーム出場”が一番の目標であることはご存じでしょう。都市対抗野球は東京ドームで行われ、もう1つのドームとは、秋の社会人野球日本選手権大会が開催される京セラドーム大阪のこと。
三菱重工Westは昨年まで、『JABA京都大会』で3連覇するなど7大会連続出場していたのですが、ことしは2つのJABA大会とも予選リーグ敗退で、まだ出場権を獲得できていません。そして今、チームにとって最後の対象大会となる『第65回JABA北海道大会』が行われています。
まず18日の予選リーグ初戦は航空自衛隊千歳に3対1で勝ち!コメントをご紹介した古川選手が2回2死満塁で押し出し四球の先制点、続く朝日選手がタイムリー。そして3番・セカンドでフル出場した北條選手も、7回無死一、三塁でタイムリー二塁打!またまたグッジョブの3打数1安打1打点です。
次は20日に西濃運輸、21日に茨城トヨペットと戦い、グループ1位になれば22日の決勝トーナメントへ進めます。もし優勝できなくても、9月の近畿地区最終予選で代表を勝ち取ればいいとはいえ、早く決めておきたいでしょう。
北條選手も「JABA岡山大会、京都大会で全然ダメだったので、北海道大会で優勝して日本選手権出場を決めたいです!」と意気込んでいました。
ちなみに、都市対抗野球の本大会の目標を聞いたところ北條選手は「1試合、1試合楽しんで日本一になることです。簡単ではないのはわかっていますが、社会人野球はどこが勝つかわからないので、チャンスだと思っています!」という返事。
同い年の武田健吾選手(元オリックス、中日)がいる三菱重工Eastも、西関東地区の第1代表で出場します。よく連絡を取っているみたいですよ。また初戦の相手、王子には高校の同級生・大杉諒暢選手がいると楽しみな様子でした。対戦の前に開会式でも会えたら嬉しいでしょうね。
<掲載写真は筆者撮影>