「金正恩護衛に深刻な打撃」エリート将校を公開処刑
北朝鮮の歴代政権は、独裁体制を維持するため恐怖政治の有力な手段として公開処刑を繰り返してきた。近年、国際社会の目を気にして一時的に減らすこともあるようだが、体制の都合に応じて続けられている。
そして、深刻な食糧難により民衆の不満が増大しているとされる最近、公開処刑がまたもや活発になる兆候が見られるという。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、鏡城(キョンソン)に駐屯する、金正恩氏の特閣(別荘)の警備にあたる護衛局の旅団に所属する40代のB中隊長が9月、民家の建築に旅団の兵力を動員し、ワイロを受け取った容疑で、隊員の前で公開処刑されたと伝えた。
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この旅団は、特閣につながる1号道路(金正恩氏専用道路)の警戒を担当していたが、B中隊長は部下を建設工事に派遣したり、出張証明書を発行する見返りにワイロを受け取ったりするなど、私腹を肥やしていた。
公開処刑に立ち会った軍幹部によると、その場では「首脳部護衛に深刻な打撃を与えることが起きた」「中隊長の不正腐敗で軍機が瓦解した」などとの説明があったとのことだ。処刑後、中隊は解散させられ、別の兵力が1号道路の警備を行うようになった。
一方、江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の元山(ウォンサン)では9月末、50代男性のAさんが公開処刑された。Aさんは医薬品の深刻な不足を受けて、中国製の材料を使ってペニシリン、マイシンなどの抗生剤を大量に製造し、患者に販売してかなりの利益を得ていた。
北朝鮮当局は5月に国内で新型コロナウイルスの感染者が発生したことを初めて認めて以降、民間人の医薬品密造と販売を厳しく取り締まるようになっている。
一連の公開処刑は今までと同様、民衆の恐怖心を煽ることで当局の指示と命令に従わせようとするものだが、昨今の経済難と食糧難で噴出した不満を抑え込む目的もあると見られる。
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特に金正恩氏が政権の座についてから10年が経ち、成果を出すための命令に従わなければ、地位を問わずに処刑するという恐怖心を植えつけることで、不満を抑え込んでいるというのが、情報筋の説明だ。