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1万円で世界中の株を運用する手数料は年間たった6円!投資信託運用コスト引き下げ合戦の勝者は誰か

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
eMAXISSlimシリーズで、運用コストが大きく引き下げられてました。(写真:イメージマート)

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eMAXISslim 運用コストを大幅引き下げで大競争時代

8月18日、三菱UFJ国際投信の提供する投資信託シリーズeMAXISslimが運用コストを大幅に引き下げスることが公表され、話題となっています。

2023/8/18 三菱UFJ国際投信 プレスリリース 業界最低水準の運用コストをめざす『eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)』信託報酬率の引き下げを実施

投資信託とは、ひとりひとりは小口の資金をもって購入し、大きくまとまった資金(ファンド)で予め定めた運用方針にもとづく運用を行う金融商品です。つみたてNISAやiDeCoの多くは投資信託で運用されています。ちなみに100円レベルからの購入が可能なので、金額的制限はほとんどないといっていいでしょう。

さて、今回は下記3つの投資信託について、運用コストにあたる運用管理費用(信託報酬)の率を

0.1133%以内 → 0.05775%以内

に引き下げるとしています。これは年率で設定されている運用にかかるコストです。運用会社の人件費やシステムコスト、売買手数料などが含まれます。実際には日割り計算して毎日の資産残高から引かれています。対象となる投資信託は、

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)

eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)

です。引き下げの理由のひとつは、同種の運用対象での投資信託で低コスト設定が行われていることです。日経新聞の記事では、野村アセットマネジメントの「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」をにらんだ対抗値下げとみています。

どちらも世界中の上場企業を幅広く投資ができる、「世界中の株主になる」ような投資信託です。

2023/8/18 日本経済新聞(有料記事) 三菱UFJ国際、主力投信手数料下げ 野村アセットに対抗

さて、投資信託を比較検索するときは、資産額が大きいことと運用コストが低いことをチェックして欲しいところです。ここではYahoo!ファイナンスのリンクを貼ります。

Yahoo!ファイナンス 国際株式型に分類される投資信託

   純資産残高ランキング(多い順)

   信託報酬(低い順)ランキング

これを見てみると、資産規模では圧倒的に上位にあるeMAXISSlimシリーズが、運用コストが0.05720%となっている「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」と同水準設定にして追随したことがよくわかります。

投資信託市場は近年急速に拡大していますが、その中でコスト引き下げ競争が行われるのは私たち個人にとっては朗報です。

なにせ1万円を投資したとして、年間に運用会社に払う費用が5.775円なのですから! 信じられますか?

投資信託での運用コストは20年でどれだけ下がったか(100万円で比較してみると)

運用コストがどれだけ下がったかを20年前と比較してみましょう。

2000年の初期、グローバルに株式投資をしようとすれば、ほとんど選択肢がありませんでした。また手数料が高いのも難点でした。例えば、

販売手数料 2~3%

信託報酬  年2~3%

のような投資信託は割とあったものです。販売手数料稼ぎを目的としたセールスもしばしば行われていました。

仮に20年前に100万円でこの投資信託を買って、1年経ったとすると、購入時に別途2~3万円を払い、内枠で年2~3万円を払ったことになります(実際には信託報酬は日割り計算かつ日々の時価の変動により変動するのであくまで概算です)。

今回運用コストの値下げを行うeMAXISSlimの投資信託を100万円買った場合と比較してみると、「購入時の費用はゼロ円」かつ「1年間の概算コストは580円程度」ということになります。100万円をプロに代わりに運用してもらっても1年間で500円くらいしか払わなくてもいいのです。

これを言い換えれば、あなたの運用の採算分岐点は「20年前:4~6万円の値上がりでようやく利益」「現在:1年で500円の値上がりでそれ以上があなたの利益」ということになります。

投資をする環境がどちらがいいか、はもう明白です。繰り返しますが、投資コストの引き下げ競争の勝者は私たち個人なのです。

投資をやるか、やらないか、あなた自身が最後で最大のハードル

投資をするためのハードルは大きく下がってきました。1年間で世界の株価が0.06%値上がりさえすれば私たちの儲けとなるわけです。

また、金額的ハードルも下がっています。ネット証券の多くは100円以上で定期購入(積立投資)の設定をすることができます

さらにネット証券などでは、クレカ積立投資を設定すると、購入額に応じたポイント還元もありますので、初年度の実質コストはさらに下がります(還元率、対象商品、対象とするクレジットカードなどは各社により異なるので要確認)。

NISA口座を開設しておけば、運用収益にかかる税金もゼロになります。通常、運用で得られた利益については20.315%もの税率がかかるのでこれをゼロにする選択肢は必須です。

さて、そうなってくると、「投資で儲かるかどうか」のハードルは運用商品や証券口座のほうにはほとんどないことがわかります。

最後に残っているのは「あなた自身が、投資をするか、しないか」のハードルです。

  1. 証券会社を選んでNISA口座を開設する(書類の面倒なやりとり含む)
  2. 購入する投資信託を選ぶ(悩んだら今回取り上げた投資信託でもいい)
  3. 購入資金を入金する(積立投資信託にすれば自動引き落としも可)

3つのステップを踏むことさえできれば、あなたも「投資をする側」の仲間入りになります。

とにかく、これほど低コストで世界中に投資ができる環境は未だかつてありませんでした。

最後はあなたが「やるか、やらないか」だけです。この機に投資デビューをしてみてはいかがでしょうか。

※YouTubeでも本記事について解説動画を配信しています。チャンネル登録よろしくお願いします。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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