短縮シーズンでも4割打者誕生は期待薄? 開幕60試合で4割超えは過去18年間でたった1人という現実
【スポーツ専門サイトがデータを元に検証記事を公開】
MLBの2020年シーズン開幕が正式に決まった。今シーズンの公式戦は60試合に留まり、1シーズンの試合数が100未満になるのは1880年代以来となる。
短縮シーズンということで、日米のメディアが1941年のテッド・ウィリアムス選手以来となる4割打者誕生の可能性で盛り上がりを見せているが、スポーツ専門サイト「the Score」のC・ジャクソン・コワート記者が過去のデータを駆使し、興味深い検証記事を公開している。
【開幕60試合で4割到達者は過去18年でたった1人】
コワート記者は、2002年から2019年までのシーズンで、いずれかのチームが60試合を消化した時点で打率首位に立つ選手の打率をチェックしている。ちなみに調査対象の選手は、60試合消化時点で規定打席(186打席)に到達していることが条件になっている。
そのデータによれば、過去18年間で開幕60試合を消化した時点で4割を超えていた打者は、2008年のチッパー・ジョーンズ選手(.409)しか存在していないのだ。
さらにジョーンズ選手を含め、過去18年間の開幕60試合時点での首位打者の平均打率は.369に留まっており、ここ最近の傾向では短縮シーズンといえども4割到達は相当に厳しいことが理解できる。
ただコワート記者によれば、昨シーズンのコディ・ベリンジャー選手(ドジャース)は60試合が終了した時点で、249打席で打率.376を記録しており、仮に5つのアウトが安打になっていたら4割に到達しており、まったく実現不可能な絵空事というわけではなさそうだ。
【60試合スパンなら現役選手5人が4割に到達】
また開幕から60試合という考え方ではなく、シーズン中いずれかの時期での60試合というスパンで見てみると、現役選手の中で5人が打率4割を上回っているという。
ESPNによれば、2003年のアルバート・プホルス選手、2009年のヘンリー・ラミレス選手、2012年のアンドリュー・マカチェン選手、2016年のジョーイ・ボット選手、2017年のホゼ・アルトゥーベ選手が60試合スパンで打率4割を上回っているようだ。
つまり60試合というスパンなら現在でも、打撃好調を維持しながら打率4割を超える可能性がある打者が存在しているということなのだ。
だがその一方で、彼らはシーズンのどこかで打撃好調のピークを迎えていたものであり、今シーズンに関してはそのピークをシーズン開幕に合わせなければならない。かなりの“ロケットスタート”が求められることになる。
【3週間のキャンプは圧倒的に打者有利?】
そういう意味で今シーズンは、間違いなく打者有利なかたちで開幕することになりそうだ。
各チームは3週間のキャンプを実施してシーズンに臨むわけだが、報道によれば各チームともオープン戦は3試合に限定され、後は紅白戦で実戦感覚を戻していかなければならない。
打者の場合短期間でも試合に連続出場することが可能だが、投手の場合実戦を再開したばかりの時期は、誰もがある程度の登板間隔が必要になってくる。先発投手なら尚更のことだ。どう考えても3週間のキャンプで、投手たちが万全の準備ができるとは思えない。そうなれば必然的に開幕当初は、“打高投低”の傾向が強まるというわけだ。
果たして開幕と同時に、ロケットスタートを切れる打者は出現するのだろうか。それでも4割打者誕生が、相当に厳しいことに変わりはない。