「全方向美少女」の乃紫が語る「TikTokで一番バズりやすい仕掛け」とは
「全方向美少女」という楽曲にあわせて様々な角度で顔を映す動画がTikTokを中心に話題となっている。
「全方向美少女」は「正面で見ても 横から見ても 下から見てもいい女」というフレーズが印象的な一曲。TWICEやNiziUのメンバー動画を投稿するなど流行を巻き起こし、TikTok内での総再生回数は14億回を突破した。
この「全方向美少女」を手掛けたのが、現在23歳のシンガーソングライター乃紫(noa)だ。2023年に本格的に音楽活動をスタートし、作詞・作曲・編曲・歌唱・アートワークの全てをセルフプロデュースする。先日彼女に取材することができたのだが、これまでのミュージシャンのあり方とは一線を画する「TikTokネイティブ」とも言うべき新世代の発想の持ち主で、非常に興味深い話を訊くことができた。
乃紫が作曲を始めたのとTikTokの投稿を始めたのはほぼ同時だ。最初に20〜30秒のサビを投稿し、その反響を見ながら後から他の部分を広げて完成させるという曲の作り方をしている。
(THE MAGAZINE「乃紫 インタビュー」より)
https://magazine.tunecore.co.jp/stories/362494/2/
実はTikTokで注目を集めた若い世代のアーティストの中ではこうした制作手法は珍しくない。「NIGHT DANCER」で脚光を浴びたimaseや「Overdose」がヒットしたなとりも同様の作曲方法をしている。
乃紫は「全方向美少女」について「完全にTikTokのUGCを意識した曲」だと言う。UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは「踊ってみた」や「歌ってみた」など楽曲を用いた一般ユーザーの動画投稿のことを言う。これが増えることが楽曲が“バズる”ための必須条件であり、その仕掛けを計算して用意した楽曲ということだ。
(同前)
K-POPアイドルのメンバーが動画を投稿したことをきっかけに楽曲のブームは韓国にも広がり、先日には同曲の韓国語版もリリースされた。若い世代の間では日本と韓国のカルチャーや流行は一体化してきていると言う。
(同前)
憧れの対象のアーティストには椎名林檎を、同世代で刺激を受ける存在としてはVaundyやWurtSの名を挙げる。曲だけでなくアートワークや映像などトータルでセルフプロデュースを手掛けるのがポイントということだ。「音楽だけじゃなく世界観の全部を作り込むのが活動の醍醐味だと思う」と語り、TikTokに投稿している映像も自ら制作している。映像や写真やキャッチコピーへの興味が音楽活動よりも先にあったということだ。
(同前)
4月25日には初となるライブも予定している。先々ではより大きな場所でライブをするのが目標とのことだ。アーティストとしてのさらなる飛躍にも注目したい。