金正恩お得意の「残酷ショー」 高校生3人を見せしめ処刑
北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市で韓流ドラマや映画などを視聴し、拡散させたとして摘発された高校生ら3人が、10月に公開処刑されていたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が3日付で報じた。
処刑された3人のうち、2人は韓流コンテンツやアダルトビデオを流布したとして摘発された。もうひとりは継母を殺害したとして逮捕されていたという。
RFAが北朝鮮国内の複数の消息筋からの情報として伝えたところによると、韓流コンテンツのまん延など反社会主義・非社会主義行為を取り締まる82連合指揮部は飛行場の滑走路に群衆を集めて公開裁判を実施。死刑判決が下され、銃殺刑が即刻執行されたという。
まさに、恐怖政治で国民を支配してきた金正恩体制お得意の「残酷ショー」である。
(参考記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面)
両江道の消息筋はRFAに対し、「10代の学生が韓国映画を視聴して摘発されると、最初は労働鍛錬隊(軽犯罪者用の刑務所)送りの処罰を受ける。再び摘発されると5年の労働教化刑(懲役)を受け、両親も責任を問われ教化所(刑務所)に収監される。しかし、韓国映画とドラマを流布したり販売したりして摘発されると、未成年者でも死刑になる」と説明したという。
韓流コンテンツを密売したとして摘発され、死刑になった例はこれまでにも複数、伝えられている。しかし、高校生が処刑された例は近年、報告されていなかったと思う。
北朝鮮の最高人民会議常任委員会は2020年12月4日の第14期第12回総会で、「反動的思想・文化排撃法」(反動思想文化排撃法)を採択した。同法の詳細は明らかになっていないが、韓国デイリーNKは北朝鮮当局が作成した同法の説明資料を入手している。
資料では、例えば同法27条について、次のように説明されている。
「南朝鮮の映画、録画物、編集物、図書、歌、図画、写真などを直接見たり聞いたり保管したりした者は5年以上15年以下の労働教化刑(懲役刑)を宣告され、コンテンツを流入させ流布した者は、無期労働教化刑(無期懲役刑)や死刑など最高刑に処す」
北朝鮮当局はこうした決まりを厳格に実行しているということだが、高校生までが容赦なく処刑されるとはいっそう衝撃的だ。
言うまでもなく、同法の内容は金正恩総書記が承認したものであり、82連合指揮部も同氏の特命機関だ。すなわち、処刑は金正恩氏の意思であり、最大の責任を問われるべきも同氏だということだ。