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【オートバイのあれこれ】カワサキ初の「TT-F3風」マシン!

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は「カワサキ初の“TT-F3風”マシン!」をテーマにお話ししようと思います。

カワサキの『ZX-4』というオートバイを知っているでしょうか。

現行モデルの『ZX-4R』ではありませんよ。

末尾に「R」が付かない、『ZX-4』です。

▲レプリカ路線にはほとんど乗らずにいたカワサキが、ついに!
▲レプリカ路線にはほとんど乗らずにいたカワサキが、ついに!


ZX-4は、1988年(昭和63年)にカワサキが400ccクラスにおいて初めて生み出したレプリカ“っぽい”モデルです。

(当時のカワサキにはTT-F3(4スト400cc)のワークスレーサーが無かったので、「レプリカモデル」ではなく「レプリカっぽいモデル」と呼ばせていただきます)

カワサキは、’80年代にレーサーレプリカブームが盛り上がるようになっても、依然として“公道重視”のバイク作りを貫いていました。

1984年(昭和59年)に2スト250ccの『KR250』をリリースしたことはあったものの、4ストロークの分野ではヤマハ『FZ400R』やスズキ『GSX-R』等が出現してもなお、公道派スポーツの『GPZ400R』などを作っていたのです。

▲スペック面だけでなく、実用性や快適性も追求されていたGPZ400R。’85年に発売され、大人気に
▲スペック面だけでなく、実用性や快適性も追求されていたGPZ400R。’85年に発売され、大人気に

ただ、際限無く過熱するレプリカブーム・レースブームのなかにあって、カワサキもとうとうロードレースへの出場を視野に入れたZX-4を開発することにします。

当時カワサキの400ccクラスには先述のGPZと後継の『GPX400R』がありましたが、カワサキはこれらの延長でZX-4をこしらえるのではなく、完全なるブランニューモデルとしてZX-4を開発。

エンジンもフレームもゼロから新たに設計され、完成したZX-4は「それまでのカワサキには無かったタイプの400」に仕上がっていました。

▲GPZやGPXにはある程度のウェイトを持たせていた一方、ZX-4はかなり軽く仕上げられていた
▲GPZやGPXにはある程度のウェイトを持たせていた一方、ZX-4はかなり軽く仕上げられていた

特筆すべきは車両重量で、なんとZX-4の乾燥車重は152kgに抑えられていました。

これは、当時の400ccクラスにおいて最軽量

(比較対象を挙げておくと、’88年登場のホンダ『CBR400RR』(NC23型)は162kgヤマハ『FZR400』(1WG型)は165kgでした)

ここまで軽くできた秘訣は、新開発のアルミ製ツインスパーフレーム『e-BOX』が投入されたことです。

GPZ400Rの『AL-X(アルクロス)』フレーム、GPX400Rの『FAST(ファスト)』フレームはどちらもダブルクレードルフレームを発展させたような形となっていましたが、『e-BOX』は当時の他社レプリカモデルがこぞって採用していたフレーム(ツインスパーフレーム)と同様の構造となっていました。

▲エンジンパワーは他社400レプリカと同等の59psを発揮。軽量ハイパワーが妥協なく追求されていた
▲エンジンパワーは他社400レプリカと同等の59psを発揮。軽量ハイパワーが妥協なく追求されていた

また、エンジンも同じく新設計品で、軽量コンパクト化が図られながら59psというピークパワーを獲得。

ZX-4はやはりその軽さが武器となり、熟成が進んでいた他社のレプリカマシンをも脅かすパフォーマンスを備えていました。

その戦闘力が実証されたのが’88年の鈴鹿4時間耐久レースで、ZX-4はエントリーしたSP400クラスにおいていきなりの優勝を飾ります。

その完成度の高さでもってして、ZX-4はカワサキがレプリカを“作れない”のではなく“作らない”だけだったことをキッチリ証明するオートバイとなったのでした。

画像引用元:カワサキモータースジャパン

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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