【オートバイのあれこれ】カワサキ初の「TT-F3風」マシン!
全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。
今日は「カワサキ初の“TT-F3風”マシン!」をテーマにお話ししようと思います。
カワサキの『ZX-4』というオートバイを知っているでしょうか。
現行モデルの『ZX-4R』ではありませんよ。
末尾に「R」が付かない、『ZX-4』です。
ZX-4は、1988年(昭和63年)にカワサキが400ccクラスにおいて初めて生み出したレプリカ“っぽい”モデルです。
(当時のカワサキにはTT-F3(4スト400cc)のワークスレーサーが無かったので、「レプリカモデル」ではなく「レプリカっぽいモデル」と呼ばせていただきます)
カワサキは、’80年代にレーサーレプリカブームが盛り上がるようになっても、依然として“公道重視”のバイク作りを貫いていました。
1984年(昭和59年)に2スト250ccの『KR250』をリリースしたことはあったものの、4ストロークの分野ではヤマハ『FZ400R』やスズキ『GSX-R』等が出現してもなお、公道派スポーツの『GPZ400R』などを作っていたのです。
ただ、際限無く過熱するレプリカブーム・レースブームのなかにあって、カワサキもとうとうロードレースへの出場を視野に入れたZX-4を開発することにします。
当時カワサキの400ccクラスには先述のGPZと後継の『GPX400R』がありましたが、カワサキはこれらの延長でZX-4をこしらえるのではなく、完全なるブランニューモデルとしてZX-4を開発。
エンジンもフレームもゼロから新たに設計され、完成したZX-4は「それまでのカワサキには無かったタイプの400」に仕上がっていました。
特筆すべきは車両重量で、なんとZX-4の乾燥車重は152kgに抑えられていました。
これは、当時の400ccクラスにおいて最軽量。
(比較対象を挙げておくと、’88年登場のホンダ『CBR400RR』(NC23型)は162kg、ヤマハ『FZR400』(1WG型)は165kgでした)
ここまで軽くできた秘訣は、新開発のアルミ製ツインスパーフレーム『e-BOX』が投入されたことです。
GPZ400Rの『AL-X(アルクロス)』フレーム、GPX400Rの『FAST(ファスト)』フレームはどちらもダブルクレードルフレームを発展させたような形となっていましたが、『e-BOX』は当時の他社レプリカモデルがこぞって採用していたフレーム(ツインスパーフレーム)と同様の構造となっていました。
また、エンジンも同じく新設計品で、軽量コンパクト化が図られながら59psというピークパワーを獲得。
ZX-4はやはりその軽さが武器となり、熟成が進んでいた他社のレプリカマシンをも脅かすパフォーマンスを備えていました。
その戦闘力が実証されたのが’88年の鈴鹿4時間耐久レースで、ZX-4はエントリーしたSP400クラスにおいていきなりの優勝を飾ります。
その完成度の高さでもってして、ZX-4はカワサキがレプリカを“作れない”のではなく“作らない”だけだったことをキッチリ証明するオートバイとなったのでした。
画像引用元:カワサキモータースジャパン