お金持ちになれそうにない、結婚も出世も難しそう…未来展望が暗い日本の若者達
異様に低い日本の「将来は明るい」回答率
内向的、自己表現が苦手、ネガティブな思考…日本人は諸外国の人達と比べ、そのような性質を持ちやすい。2014年6月に内閣府が発表した、日本や諸外国の若年層を対象にした意識調査「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」からも、その実状を知ることが出来る。回答時に13歳から29歳の男女の若者が頭に思い浮かべる、40歳位の回答者自身の姿・状況について、どこまで楽観的な状態をイメージできるかの差異をデータから確認していく。
回答者それぞれに自分自身が40歳位の歳になった時、「お金持ち」「自由にのんびり暮らしている」「世界で活躍している」「子供を育てている」など幸せを象徴する、ポジティブな状態になっているか否かについて、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の4選択肢から1つを選んでもらい、そのうち肯定的意見、つまり「自分はそうなっているだろう」と考えている人(そう思う派)の回答率を算出した結果が次のグラフ。それぞれの項目で、各国の若者がどれだけポジティブに自分の将来を見据えているかを示す指針でもある。
日本以外では、例えば韓国における「お金持ち」の異様な高さや、アメリカが多くの項目で高めの値が出ており、アグレッシブな様子が把握できること、フランスでは「自由にのんびり暮らす」「親を大切」「育児(子供を育てている)」で特異な高さを有し、家庭内におけるスローライフ的なイメージを強く抱いていることなどが分かる。それらの動きとは別に、日本がずば抜けて「低い」値をしており、他国との比較でイレギュラーな状態にあることが分かる。
特に「お金持ち」「世界で活躍」「有名」「出世」のような、他人から抜きんでて、目立つ形でのポジティブな状態には、「自分がそうなっている」と思う日本の若者は少ない。また他の調査項目の低さと、「幸せになっている」との項目の低さの連動性が報告書でも指摘されている。つまり日本の若者は、個々の項目への期待、可能性の低さ、ネガティブな思考を有するがために、「将来自分は幸せになっているだろう」との思惑も持ちにくくなるという次第である。
他にも例えば、他項目で問い合わせている「就職や仕事継続への不安」が高い人は、「結婚」や「育児」における将来像をイメージしにくいとの連動性も現れている。それぞれの不安要素が単独で存在しているのではなく、互いに連動し結びつき、相互作用的に影響(日本の若年層の場合は多分にマイナス方面)している。元々の心理的な傾向に加え、この「負の連鎖反応」が、日本の低い値を導いたものと考えられる。
報告書の分析による日本の若者の現状
報告書ではこれら「日本の若者が海外と比べて幸福な将来像を描きにくい、ネガティブな考えに走りがち」な現状に対し、「日本の若者の結婚・育児の(ポジティブな)将来イメージを育んでいくためには、家族への支援の充実や家族の大切さなどについての理解促進、就労面の不安を解消していく支援策が期待される」と説明している。これは大切、これは後回しで良いという類の優先順位を付けた選別は難しいが、将来への不安を少しでも軽減するためには、金銭面、そしてそこから連なる結婚や出世、育児にも容易に連動しうる、雇用の安定と十分な対価の保証を優先すべきかと思われる。
対策に投入できるリソースが限定されているのなら、プラスの波及副次効果・連鎖反応が期待できる手立てを選ぶのが道理にかなうのは言うまでもあるまい。
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