Bitcoin振り込めのWannacryは北朝鮮という米国政府
KNNポール神田です。
2017年5月、Bitcoinを要求するランサムウェアとしての「ワナクライ(Wannacry)」は、北朝鮮の仕業と米国政府が発表している。
この報道を聞き、2003年の「イラク戦争」を想い出した。米国の言いがかりほど恐いものはない…と筆者は思う。悪の枢軸としてイラクを「大量破壊兵器」を保持していると発表し(2002年1月)、一年後の2003年3月19日にイラクを攻撃した。結果として「大量破壊兵器」は見つけられなかったという前科をアメリカは持っている(筆者は当時のバグダットを取材している)。
そして、「WannaCry」そもそもの誕生の原因は、米国家安全保障局(NSA)の国民情報収集ツールの「エクストラベーコン」にあると言われる。
米国は、自国で核を保有しながら核開発の国を非難する。米国家安全保障局(NSA)の監視ツールを保有しながら、悪用する国を非難する。
米国家安全保障局(NSA)の監視ツールがハッキングされ、その亜種として「ワナクリプト(WannaCrypt)」が誕生したと言われる、そして、何者かに悪用され猛威を奮った。そしてその犯人が北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」であると米国は断定する。
ここでも注目されるのが、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」だ。
北朝鮮のロケット開発が常に話題になるが、筆者は、むしろロケットよりもこのハッカー集団「ラザルス」の方が気になる。いや、「クラッカー集団ラザルス」と呼ぶべきなのだ。ロケット開発の資金とハッカー集団の育成のどちらが合理的かだ。また、北朝鮮が莫大な報奨金を払って天才ハッカーをリクルートしたほうが、実質経済への影響度はロケットを飛ばすよりも、はるかに大きい。ロケットで不安を募るよりも、クラッカーがこぞって、仮想通貨市場へのクラックを試みたほうが実入りも大きいはずだ。中国の北朝鮮への経済制裁も2018年1月末から効果しはじめる…。中国からの外貨がなくなるとサイバーテロの可能性が高まると考えることもできる。また、北朝鮮のなりすましをして便乗する集団もいるかもしれない。防衛レイヤーからセキュリティレイヤーへのシフトのほうが、世界のパワーバランスが強まることだろう。
日本の防衛庁の来年度(2018年平成30年度)の予算請求は、5兆1900億円程度。防衛関係の予算を過去最高額とし、護衛艦2隻の建造費としておよそ1055億円を計上しているが、「情報セキュリティ庁」を自前で作った方が、はるかに防衛に貢献するように筆者は思う。憲法を改正することもなく、世界最高のハッカーを集めてセキュリティ大国を目指すのは、日本の未来に投資するひとつの方法ではないだろうか?