韓国海軍、次世代イージス艦の模型を初公開 主要装備も明らかに
韓国海軍は次世代イージス艦「正祖大王(チョンジョデワン)」のモックアップ(模型)を初めて公開した。同艦は、製造会社の現代重工業が7月下旬に進水式を行ったばかり。就役中の世宗大王(セジョンデワン)級イージス艦3隻に比べて、北朝鮮の弾道ミサイルへの迎撃能力が向上する。
モックアップは8月17日から19日までソウルで開かれた無人機システムの国際展示会Unmanned System World Congress(UWC 2022)で、韓国海軍がブースを設けて初公開した。世界の軍事情報を扱う「ネイバルニュース」と「ディフェンスニュース」のソウル特派員を務める李大韓(リ・テーハン)氏が同展示会で写真を撮影し、筆者に提供した。
正祖大王は、韓国国産駆逐艦開発計画「広開土III」(KDX―III)バッチ2の1番艦で、2024年11月の引き渡しが予定されている。世宗大王級イージス艦に継ぐ正祖大王級は、全3隻の建造が韓国海軍によって計画されている。
韓国メディアによると、基準排水量は8200トン、全長は170メートル、幅21.4メートル、最大速力34ノット。韓国初のイージス艦である世宗大王級の基準排水量7650トン、全長165.9メートルよりも船体が大型化する。乗員は約300人。建造費は1兆3000億ウォン(約1325億円)。
2024年から導入されるMH-60R「シーホーク」ヘリコプターの搭載が可能になり、対潜水艦作戦能力も強化される。推進システムは既存の世宗大王級のガスタービンエンジン4基にハイブリッドの電気推進システム2台を加え、燃費の節約で効率的な航行を図る。
韓国海軍での勤務経験のある李氏は、「正祖大王は満載排水量が1万トン以上に及ぶ。前級で第1世代のイージス艦である世宗大王級に比べ、排水トン数や武器装備、弾道ミサイルの迎撃能力の面において、大型化し、能力が向上している。VLS(ミサイル垂直発射システム)のセルには、レイセオン社の弾道ミサイル迎撃用のSM6ミサイルと、2021年9月に試験発射に成功した国産の超音速対艦ミサイルを搭載する」と述べた。
7月28日に現代重工業本社のある韓国南東部蔚山(ウルサン)で実施された進水式には尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫妻が出席、同艦への期待の大きさがうかがえる。尹大統領は、同艦について「最先端の戦闘システムを基盤とし、弾道ミサイルの探知や追跡、迎撃能力を備えた国家戦略資産」と述べた。
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