シーシェパード元代表、日本へ引き渡し拒否「日本以外の海外では、当然」今、世界の世論の仕組みを知る時
デンマーク司法省は12月17日、デンマーク自治領グリーンランドで勾留中の反捕鯨活動団体シーシェパードのポール・ワトソン元代表(74)の日本への引き渡しについて、応じないことを決めた。6回もの延長を重ねた結果である。
仮に今回、日本に送られても批判だけが強まり、何も手の施しようがなかったのではないだろうか。
これまで彼はテレビ番組や映画など映像を駆使して、「海が死ねば、我々、人間も死ぬ」
クジラを守ることが、環境を守るシンボルとされ、世界へ広げてきた人物である。
今回の件でデンマーク政府へ引き渡しを日本が主張してもデンマークはEUとの関係がある。日本がIWC(国際捕鯨委員会)を脱退直前、デンマーク側の発言から捕鯨には賛成でも独自に判断できない背景がうかがえる。
[IWCで否決]、[国際裁判で敗訴]、日本は捕鯨をするのならば対策を練る必要がある。
「科学が正しい」、「法律だ。彼は犯罪者である」、では通じない世界。
元々、捕鯨問題が始まったのは、日本の高度成長期である70年代。
アメリカ政府が活動家をロビー活動に利用した。
アメリカ政府の後ろ盾を証明するようなドキュメンタリー映画が存在する。
「HOW TO CHANGE THE WORLD」(2015年)がある。
ポール・ワトソン元代表は、以前、グリーンピースに所属していた。仲違いをし、彼がグリーンピースを去る際、グリーンピースとCIAの繋がりについて語っている。
もともと、グリーンピースは、1971年、[アラスカでの核実験に抗議]するための活動家たちであったが、米国のCIAが歩み寄りクジラ問題に彼らを利用しだしたのである。
さらには、CIA に所属していたスノーデン氏も、NHK の取材に応じ、同盟国であるはずのアメリカが日本で沖縄の基地を利用し、スパイ活動していると証言。沖縄の基地で収集した情報は「ファイブアイズ」と呼ばれるアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5 カ国にクジラの問題についても、機密情報共有をしているとのことだ。
ポール・ワトソン元代表は、グリーンピースを去った後、シーシェパードを創設し「カメラは武器」として、瞬く間にクジラを守ることが環境保護だとし世界中へ広めた。
クジラをシンボルにし、クジラを守れば環境が守れる印象づけに成功したのである。
TV番組「Whale Wars」やドキュメンタリー映画「The COVE」にみられる映像で、世論の反捕鯨への強化に努めた。
彼は、「違法」、「絶滅」と言いたい放題であった。日本からディベートの映画がでると思っていなかったのだ。しかし、拙作「Behind THE COVE」がJapanTimes誌に取り上げられると、即座に「Behind THE COVE」の否定に走ったコメント出しをした。
また、たまたま筆者が、「Behind THE COVE」をマーケットに出している時だった。
彼は、カンヌ国際映画祭でメディアを集めて日本の捕鯨が違法であるとする映画の最新作について説明をしていた。彼には財閥の友人も多くワトソン元代表に対して「日本政府から虐められてかわいそうなんだよ」と周囲は同情的であった。
そして、フランスのマクロン大統領も彼を国際指名手配者であっても擁護している。
ワトソン元代表は、イルカ・クジラを守ろうとしている海外ではヒーロー扱いである。
彼を日本へ引き渡す、釈放、は関係ないのではないか。彼らの活動の裏には、各国の政治的な思惑がある。映像による捕鯨のダメージを払拭することが最優先ではないか。
この国家間による根深い問題は、法律や国際会議では解決できない。半世紀そうだった。
映像によるディベートなくして、捕鯨の将来に世論の変化や理解は不可能である。