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永瀬叡王防衛で歴史的死闘決着か? 豊島挑戦者追いついて史上初第9局突入か? 叡王戦七番勝負第8局開始

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月6日。神奈川県秦野市「元湯 陣屋」において叡王戦七番勝負第8局▲豊島将之竜王(30歳)-△永瀬拓矢叡王(28歳)戦が始まりました。持ち時間は各6時間(チェスクロック使用)です。

 千日手1局、持将棋2局(引き分け)をはさんで異例の長丁場となった今シリーズ。第7局は永瀬叡王が勝って3勝目をあげました。

 もし本局で永瀬叡王が勝つと4勝目をあげて初防衛達成となります。

 永瀬叡王はつい3日前の9月3日、同じ陣屋で王座戦五番勝負第1局も勝っています。

 9月5日が誕生日の永瀬叡王。1つ年齢を重ねて、28歳となりました。

 永瀬叡王の2020年度成績は17勝5敗2持将棋(0.773)。

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 ランキング上、対局数24は1位、勝数17は2位です。(対局数2位、勝数1位は藤井聡太二冠で20勝3敗)

 豊島竜王は叡王戦第7局のあと、名人戦七番勝負第6局を戦い、渡辺明挑戦者に敗れ、2勝4敗で名人位を失いました。

 その後はA級順位戦で幸先よくリスタートを切っています。

 豊島竜王の今期成績は8勝9敗2持将棋(勝率0.471)です。

 9時47分頃、豊島挑戦者が入室。続いて49分頃、永瀬叡王が姿を見せ、上座に着きました。

 永瀬叡王のかたわらにはいつもと変わらずバナナが置かれているのが目立ちます。

 永瀬叡王の近くには、バナナ以外にお茶(キリン生茶)4本、スポーツドリング6本、缶コーヒーが4本がずらりと並べられています。

 3日前の王座戦の時にはお茶、スポーツドリンク、水のペットボトルが合わせて7本。缶コーヒーが3本でした。

 立会人は先崎学九段。立会人は和服を着ていることが多いものですが、先崎九段はスーツです。永瀬叡王は対局時和服ですが、対局が始まってからどこかのタイミングで着替えるのが定跡となっています。

 タイトル戦で対局開始の声をかけるのはおおむね立会人です。本局では記録係の齊藤優希三段がそれをおこないました。

「それでは時間になりましたので、豊島先生の先手番でお願いいたします」

 両対局者が一礼して、第8局が始まりました。

 戦型は角換わりに進んでいます。

 今シリーズ、永瀬叡王が後手番となった対局のうち、第1局(指し直し局)、第2局は角換わり。第4局と第6局は横歩取りでした。

 10時半過ぎ。23手目。豊島挑戦者は3筋の歩をつっかけて、果敢に仕掛けていきました。

 本局でもし永瀬叡王が勝てば防衛を決め、長丁場の七番勝負がついに終わりを迎えることになります。もしそうなれば永瀬叡王はタイトル獲得通算3期(叡王2期、王座1期)で、規定により八段から九段に昇段します。

 もし豊島挑戦者が勝てば両者3勝3敗2持将棋。史上初の「七番勝負第9局」がおこなわれることになります。

 その際には第8局終了後、すぐに振り駒がおこなわれ、先後が決められます。持ち時間は後手番となった側が3時間、5時間、6時間の中から選ぶということが、事前に決められています。

 第9局は9月21日、東京・将棋会館でおこなわれることが予定されています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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