バルコニーの手すりに横桟が増えて、また姿を消しつつある理由は「転落」ではなかった
マンションバルコニーの手すりに「横桟(よこさん)」が増えだしたのは、10年ほど前から。それまで、バルコニーの手すりにスチール柵を設けるときは縦桟ばかりだった。
縦桟が当たり前となっていたのは、安全面の配慮から。横桟だと、ハシゴと同じで、小さな子供が上ってしまいがち。そのまま転落するようなことが起きたら大変だ、と横桟は採用されなかったのである。
一方で、できれば横桟を採用したい、という思いはマンションを設計する側に根強くあった。それは、「横桟ならば、下からの視線を遮ることができる」からだ。
縦桟の場合、道行く人が見上げれば、バルコニー内が丸見えになりやすい。その点、横桟は桟の形状や間隔を工夫することで、下からの視線を遮ることができる。結果、バルコニー内のプライバシーを守りやすいというメリットが生まれるわけだ。
そこで、10年ほど前から登場したのが「足がかりのない横桟」。横桟の間隔を狭くする、1本1本の桟に傾斜を付けるなどの工夫で、「足をかけて上ろうとしてもつま先が入らない」とか「足をかけようとしても滑り落ちてしまう」横桟にしたわけだ。
これで、横桟が設置できるようになった、と設計者は喜び、多くのマンションで横桟が採用された。
ところが、今、新規分譲されるマンションのバルコニーや開放廊下で、横桟の手すりをみることはほとんどなくなった。
そこには、「なるほど、それでは仕方ない」と、あきらめざるを得ない理由があった。
思いもかけなかった、横桟の短所とは
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